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おでかけ徒然なるままに~千葉大学OPERA成果報告シンポ

「自然に健康になれる環境・まちづくり」

2023年8月1日、千葉大学西千葉キャンパスのけやき会館にて、千葉大学OPERA成果報告シンポジウムに参加してきました。
5月に訪問したむつざわスマートウェルネスタウンのプロジェクトの報告も期待しつつ、これまでメールでしかやり取りしたことのない他領域の先生方にもご挨拶をと思いつつ。名刺を刷って、いざまいります。

千葉大学OPERA(共創プラットフォーム育成型)の成果は、WACoコンソーシアムの構築ということになるようです。ちなみに、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム=OPERAで、WACoとは、「Well Active Community」の略語です。
略語が多くて説明になっているのかいささか不安ですが、一応、千葉大学では、「ゼロ次予防戦略に基づく健康で活動的な地域のデザインと構築技術の創出」というのがプログラム全体のテーマになっております。特に、人を取り巻く環境面からアプローチし、健康をより維持・増進させていくという考え方で、「健康への悪い影響の低減」と「健康の維持・増進」の両方からHealth & Well-beingを目指すというコンセプトでした。
私の研究でも、認知症を有する人本人やケア提供者ががんばるというより、そもそも環境面からアプローチしたり、環境の捉え方を変えたりに焦点を当てているので、親和性を感じます。

テーマ1 健康コミュニティのデザイン手法の開発と実装

健康まちづくりのデザインでは、空間デザインツールの開発に向け、「エビデンスの整備(データベースの構築)」「ツール開発」「ツールのまちづくりへの実装」とガンガン進められてて、なんと開発したツールだけでも22あるとか。規模がすごい、、同時に、これらの評価手法も開発しているとのこと。どんな評価指標なのか気になるところです。参画企業も、工務店やUR、商業施設など複数あり、「まちづくりへの実装」段階が企業やまちぐるみでできてしまうところが圧巻です。どうやって、プロジェクトマネジメントするのか想像できません。。

テーマ2 施設類型に応じた健康空間のハード・ソフト開発

施設類型別にもプロジェクトが組まれていて、オフィス、商業施設、教育施設とユニークな取り組みが今でも進行中とのこと。今後は高齢者施設、健康シニアレジデンスへの参入も検討されていました。
どうにか、そのプロセス、私も入れないかしら、、と淡い期待が。今の研究をちゃんと進めて、成果報告していかないと参画できなそうだなと、改めてモチベーションにつながったりしました。

テーマ3 次世代に向けた健康住宅の開発

健康住宅ということで、柏の葉ケミレスタウンを基盤にした研究プロジェクトも紹介されていました。ケミレスタウンについては、実はOPERAのキックオフシンポジウムの時にも少し話を聞いていたところで、化学物質を低減し空気配慮型の仕様になってる住居なのだそうです。まさに、「住んでいるだけで健康になる」の具現化例です。シックハウス症候群の発症が減り、リラックス効果がある(かも?)と。とはいえ、なかなか明らかな結果は出にくいところでしょうか。環境は物質的環境だけにしぼっても、多面的で要素が多いですから、、
また、研究で取り扱うには、データとして室内環境の測定が必要なわけですが、やはり複数の環境要素を測定するためにセンサも複数必要に。研究過程で、複数のセンサを統合して利用しやすくするために、調査用のデバイスの開発も進めていたとか。機器を置くと配線も多くなりますし、居住エリアで進めるには見た目もなんだか、、リアルワールドでセンサデータをいろいろと取るためには、デバイスの工夫も重要なファクターですね。

テーマ4 コミュニティに実装可能な食を中心とした健康増進プログラムの開発

食と胎児や小児への影響のテーマで取り組まれたプロジェクトは、予防医学センターで担っている出生コホートのデータを活用しているとか。予防医学センターでエコチル関連の研究されている先生がいらっしゃると聞いたことがあったのですが、こういうこれまでのセンターが持っているデータやノウハウ、研究課題をうまく新しいプロジェクトの一部に据えていくというのも大型プロジェクトの中では必須戦略とみました。
全部白紙からやります、では、実現可能性が低いし、かといってあまりにもこれまでやってきた事業をそのまままとめました、では新規性がないし。その塩梅、みたいなところがあるのでしょうか。。

テーマ5 健康コミュニティの評価システムの構築

これらのプロジェクト全体の評価システムの開発も大変興味深い論点でした。エビデンスに基づく環境・まちづくりも介入(実装)して終わりでは、本当にまちにとってよいのか、継続性はどうか、その後誰がどのように続けていくのかという研究に対する社会的要請に応えられないと思います。
このプレゼンの中で、効果評価のロジックモデルを描き、データ収集プロトコルをつくり、ノウハウとして蓄積していったというのを聞き、またロジックモデルをぱっと拝見し、それ自体も価値があると思いました。どの評価指標は何年くらいで効果がみれるかなどを図示しておいて、介入のその評価のセットが考えやすくなっていました。今後、ビッグデータを評価に活用したり、あるいは数年しないと評価できないような介入の予測モデルを開発して活用したり、そんなことも視野に入るそうです。

最後に、WACoコンソーシアムの今後の展開と展望についてシンポジストらが壇上にそろって発言していました。ちらちらと、ポストコロナを迎え、やっぱり対面重視したいという意見が聞かれており、個人的には賛同しつつも、懇親会や飲み会といった夜の席推しなところが。なんというか、、この会でおっしゃっていた「多様性」ってどういう意味なのでしょうかと問いたくなったりいたしました。
ともあれ、地域での実装を含む大型研究プロジェクトの概要を聞けて、そして対面でお会いできていなかった先生方にも直接ご挨拶できて、十分な収穫を得られた日でした。

外部者OKのゼミのご紹介もいただけたので、今度は他研究室のゼミに参戦します。楽しみ~


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