ミルクティとダイアモンド
缶のミルクティを飲むと、地元の駅前にあったパチンコ屋ダイアモンドのじゃんじゃん流れる大音量の軍艦マーチとじゃらじゃら機械に吸い込まれていくパチンコ玉の音に包まれた、やさしいおじちゃんやおばちゃんたちのたばこのにおいを思い出す。
ひとしきり打ち終えるまでの数時間、隣の台の席に座って手のひらにおさまるミニゲームでテトリスをやったり、本を読んだり、寝落ちしたり。台に滑り込むように消えていく夏目漱石をみるのも飽きると、店内をさんぽしながら、ときどき落ちている玉を拾い集める。1990