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刑法#17 共同正犯②

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共同正犯と共謀共同正犯


→前者は現場で共犯者がいる。後者は現場にいない共謀者もいる。
→最高裁判決S33.5.28
特定の犯罪を共謀した者は直接実行行為をしていなくても共同正犯の罪責を負う。
また、複数人の間で順次に共謀しても共謀共同正犯が成立する。
→共謀があれば本来幇助犯に過ぎない見張りにも、共同正犯が成立する。

共同正犯と間接正犯


→後者について、日常暴力的に従わせていた者に事理を弁別できる能力があっても、抑圧により弁別に基づいて行動できない場合、その者を犯罪として用いていた者は間接正犯が成立する。S58.9.21
→事理に基づいて行動できる者で、特に共謀者に抑圧されていない実行者が犯罪をした場合、両人ともに共謀共同正犯が成立する。実行していない者は教唆とはみなされない。
H13.10.25

承継的共同正犯


→ある者が犯罪をしている場合、それに後発的に参加した者に共同正犯が成立するかという論点で、学会でさまざまな意見がある。
→判例は
①後行者が先行者の行為を認識
②犯罪実行に積極的に共謀荷担
した上では肯定されうる、としている。

過失犯の共同正犯


→判例は肯定している。責任主義に反しないとされるが、講学上批判がある。
→例としては、共同経営者が過失で危険物を販売した場合、業務中に引火物を回収しなかった複数人の作業者などに過失の共同正犯が認められた。

結果的加重犯


→暴行罪や傷害罪、強盗罪など。故意が先述のものでも、結果により、それぞれ傷害致死、強盗致死、強盗殺人と罪刑が加重変動する。
→結果的加重犯の場合、共謀者や共同実行者も加重犯として共同正犯となる。なお、共謀なく、一方が故意で行った犯罪において、共犯者は重なりあう部分で軽い罪が適用される(共犯と錯誤)。
→教唆により結果的加重犯となった場合、その加重犯の教唆となる。

補記
予備罪や準備罪でも共同正犯は成立する。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①甲と乙は窃盗行為を共謀した。甲は窃盗のために住居に侵入し財物を窃取した。乙はその間見張りをしていた。この場合、甲の罪責は窃盗罪の既遂だが乙の罪責はその従犯となる。

→✕ 共謀があるため、乙に関しても共同正犯となる。

②甲及び乙が共謀して対象の建造物を損壊している際に、甲及び乙の知らないところで、丙が甲乙に加勢するつもりで当該建造物を損壊する行為を行った時は、丙には建造物損壊罪の共同正犯は成立する。

→✕ 共謀がないため、丙の単独犯である。

③甲と乙は態度が気に入らないとして丙を痛め付けようと考えてそれぞれが暴行を加えていたが、甲は途中で暴行をやめて乙に「もう帰るから」とだけ言い残してその場を離れた。乙はその後も丙を殴り続けて、丙は死亡した。丙は死亡の原因が甲乙どちらの暴行によるかわからなかったところ、甲には乙との間で傷害致死罪の共同正犯が成立する。

→行為の後に「もう帰るから」の一言で共犯関係を離脱できない。たとえ、乙の暴行がはっきりしていても傷害致死罪の共同正犯となる。

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