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エレベーターにおける既存不適格について

先日に耐震対策のエレベーター工事についてご紹介する記事の中で、既存不適格という用語が出てきました。(相談事例記事:耐震対策のエレベーターリニューアル工事
文字からその内容が何となくは理解いただけるかなとは思いますが、エレベーターについても大きく関わることなので、今回はその既存不適格について説明したいと思います。

既存不適格とは

主に法律や規制の文脈で使用される用語で、既に存在する事柄や状況が、新たに制定された法律や規則、基準などに適合していない状態を指します。
つまり、ある時点で合法で適切であったものが、新しい法律や基準が導入された結果、それに適合しなくなることを意味します。
この状況は、技術的な基準の変更、環境保護規制の強化、建築基準の改正など、さまざまな分野で起こり得ます。

建築物に関する既存不適格の場合は、新しい建築基準法が施行された際に、既に建設されている建物が新しい基準に満たない場合があります。このような建物は「既存不適格」とみなされ、基本的には新しい基準に合わせる必要があるものの、すぐに全ての基準を満たすことが求められるわけではありません。ただし、建物を大幅に改修したり、用途を変更する場合などには、新しい基準を満たす必要が生じることが一般的です。

既存不適格の扱いには慎重さが求められ、法的な解釈や地域ごとの規制によって対応が異なる場合があります。したがって、既存不適格の状況に直面した際は、専門家のアドバイスを求めることが重要です。

マンションの既存不適格について

マンションにおける既存不適格は、上記の内容に即して考えると、そのマンションが建設された時点では法律や建築基準に適合していたものの、後に法律や規則が改正された結果、現行の基準に適合しなくなることを指します。
この状態になると、マンションは「既存不適格」とみなされ、新しい基準に合わせるための改修や変更が必要になる可能性があります。
多くの場合は、大規模修繕や何らかの設備の改修時あわせて、基準を満たすように工事が行われます。

マンションで想定されるの既存不適格ケース

  1. 耐震基準
    マンションが建てられた当時は合格していた耐震基準が、新たな科学的知見や過去の地震の教訓により厳格化され、そのマンションは新しい耐震基準に適合していなくなったしまうケースが考えられます。
    耐震基準の変遷はエレベーターの耐震工事の記事でもふれています。

  2. 防火基準
    建築時には満たしていた防火基準が、後に改正された場合、マンションの建材や構造が新しい基準に適合しなくなってしまう場合があります。

  3. 設備基準の変更
    バリアフリー設計に関する基準が強化された場合であったり、エレベーターの機能や安全基準が見直された場合あったり、様々な設備においても、法改正等の見直しにより、マンションがその基準に適合していない状態なってしまうケースがあります。

エレベーターにおける既存不適合

エレベーターにおいては、耐震免震等の地震対策、緊急時に対応する性能など、 安心安全が向上される基準の改定が行われると、既存不適合となってしまうケースがほとんどです。
こういった既存不適合となってしまった。エレベーターは、大規模修繕や大きめな改修に合わせて、適切な工事を実施していく必要があります。

安全基準

緊急停止装置の追加や耐震性の向上など、安全基準に適合するための改修を行います。

バリアフリー化

手すりの設置や操作パネルの位置の調整など、バリアフリー基準に適合させるための改修を行います。

省エネルギー対策

照明のLED化やエネルギー効率の高いモーターへの交換など、省エネルギー基準に適合するための改修を行います。

エレベーターの既存不適合に対応するには、大きな費用や長期間の工事が必要になることがあります。特に、建物自体が古い場合や複数のエレベーターを同時に改修する必要がある場合、その負担は大きくなります。
なので、エレベーターの既存不適合が発生してしまった場合は、管理会社や外部専門家の意見やアドバイスを参考にしながら、費用や工事期間、工事期間の利用者への影響とその対応を慎重に検討し、改修計画を立てて、理事会や修繕委員会等で取り組んでいく必要があります。

エレベーターの既存不適合のご相談はエレベーター専門のコンサルタントへご相談ください。

まずはお気軽にご相談ください!


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