母子家庭密集地帯

小学校二年生の時、図工の授業で、家族全員の似顔絵を描くという課題が出されたことがあった。

作品が全て教室に貼られたとき、クラスの三分の一が母子家庭であることがわかった。

4人家族が一番多く、少しだけ減って3人家族が次に多かった。3人家族は、母と2人兄弟という構成が圧倒的で、両親と一人っ子という組み合せはほとんどなかった。

2人家族は、私ともう一人の2家庭だけであった。もう一人は男子であったし、お互いいじめられっこ同士で反目しあっていたので、仲が悪かった。

数少ない仲良しは、母と弟がいる3人家族だった。中学卒業まで、仲良くなった子達は、ほとんどそういう家族構成だった。

中学校に進学したら、母子家庭の割合がガクンと減った。母子家庭の子達は同じ小学校からの持ち上がりの子ばかりで、他の小学校からの子にはほとんど母子家庭がいなかった。私は驚いた。

私は、小学校6年生の途中から、母の再婚によって母子家庭でなくなったが、親しくなれるのは母子家庭の子供達ばかりであった。

高校に進学してからは、学年でも母子家庭がほとんどいなくて尚更驚いた。そして、親が医者とか弁護士だという人が多くて愕然とした。小学校近くでは、医者や弁護士の子供なんていなかったから。

高校を卒業し、県外に行くと、更に母子家庭が珍しがられて唖然とした。母子家庭自体が非常識な扱いを受けるのだった。

私の小学校の経験を話すと非常に驚かれ、その地区は母子家庭密集地帯だったのだな、と認識を改めるに至った。

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