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【ベスト3アルバム】1986年4月〜1987年3月

はじめに

前回の記事で高校3年生のときに聴いていたアルバムをリストアップしましたが、今回はあのリストの中からベストアルバム3枚を紹介します。

「あのリスト」を書いた記事はこちら。

高校3年生のときに聴いたベスト3アルバム

一般的に1986年から1987年のベストアルバムと言えば、U2の大出世作となる"The Joshua Tree"や前の記事でも取り上げたPrinceの大作"Sign o' The Times"あたりでしょうが、個人的に当時メチャクチャ嵌まって、今でも度々聴いている3枚のアルバムはこんな感じです(わざと捻った訳ではありません)。

1位:Infected (The The)

Infected (Released at 17 November 1986)

The Theのベストバイアルバムと言えばJohnny Marrが加入していた"Mind Bomb"が取り上げられることが多いですが、個人的にはThe Theと言えばコレ。ロックとダンスミュージックを完璧に融合させたサウンドはカッコ良く、忖度を一切排除したリリックも尖り具合が半端ない。

一番好きなのは他よりも若干攻撃性を抑え気味のサウンドに乗せて、「ここはアメリカの51番目の州だ」と当時のイギリスの状況を生々しく歌う"Heartland"。これ以外にも、Neneh Cherryをゲストボーカルに迎えた"Slow Train to Dawn"やラストの"The Mercy Beat"など、全編を通して叩き出されるソリッドな音と言葉のエネルギーは強大。

スタジオアルバムは2000年の"Nakedself"から20年以上リリースされておらず、「時々シングルをデジタル配信し、サウンドトラックばっかり作ってるオジサン」の印象が強くなっているけれど、このアルバムを聴く度にいつ聴けるかも分からない新作に期待を寄せてしまう、そんな作品。

2位:So (Peter Gabriel)

So (Released at 19 May 1986)

その昔、Genesisのボーカルで脱退後にソロアルバムを何枚かリリースしていたことや前衛的であることは「文字的には」知っていたものの、当時はYouTubeもサブスクもなかったので気軽にそれらの作品を聴くこともできず、「音的には」前提知識ゼロの状態での初Peter Gabriel

様々な音を細かく散らした空間を広く感じさせる”Red Rain"、サンプリングした尺八と地を這うようなリズムのイントロが印象的な"Sledgehammer"、音数を減らしてKate Bushの声を活かした"Don't Give up"の序盤3曲で心を鷲づかみ。その後も、リズムトラックと女声コーラスで攻める"Big Time"、音の密度を抑えたアンビエントな"We Do What We're Told"など、「次はどんなのだろう」というワクワク感が収まらず。

多種多様な音楽的要素を取り込んでいるものの、ベースとなるメロディーが親しみやすく、エッジがクッキリと立ったシンセサイザーとしゃがれ気味のボーカルとの相性が思いのほか良いこともあって、自らの変態性をポップミュージックとしてわかりやすく表現することに成功。新しさと懐かしさ、東洋と西洋といった対極的な要素が同居した楽曲群は時空間を股にかけた46分20秒の音の万国博覧会。

3位:Skylarking (XTC)

Kamakura (Released at 27 October 1986)

内容的にもセールス的にも地味さが否めないけれど、Todd Rundgrenをプロデューサに起用したXTCの9thアルバムが1986年の3枚目のベストアルバム。オーケストラを迎えたサウンドによって全体的に穏やかさと芳醇さを感じさせつつ、彼らの「ポップマニア的ひと癖」は埋め込まれていて、Peter Gabrielの"So"と同様に音楽的変態性をポップミュージックとして巧みに表現。

レコーディング中に、リーダーのAndy PartridgeTodd Rungdrenがサウンドプロダクション面で激しく衝突したらしいけれど、この素晴らしい内容を聴くと、そんな衝突も良い作品を作るために必要不可欠なプロセスだったという印象。コンセプトアルバムということもあり、個々の楽曲だけではなく、アルバム全体の流れ、統一感も素晴らしく、全体で一曲と言っても良いくらい。必聴。

おわりに

XTCはオフィシャルに解散は表明していないものの、2000年中期以降は目立った活動はなく、The ThePeter Gabrielは活動はしているものの、寡作なアーティストとして有名(?)です。ところが、そんなThe ThePeter Gabrielが今年に入って動きを見せています。

The The(というかMatt Johnsonと言った方が良いかもしれないが)は、今年2月に3年ぶりの新曲"$1 ONE VOTE!"をリリースしました。ここ数作は落ち着いた感じのサウンドになっていましたが、この曲では1990年代頃のように、攻めたギターの音と歌詞を聴くことができます。新鮮味は全くありませんが、「まだ、こういう曲も作れるんだ」というのが分かって何か嬉しかったです。

Peter Gabrielは近々22年ぶりの新作"i/o"をリリースされる予定で、既に何曲かが公開されています。ツアーも行うようなので、奇跡的に来日するようなことがあれば、見に行ってみようかな。

次回から高校3年生のときの音楽にまつわる出来事を書いていこうと思います。高校3年と言えば大学受験ですが、苦しいときにも音楽に随分助けてもらいました。特に、受験直前に起こったアクシデントのときには、音楽が心の支えだったりも…したような気がします。

次回、そんなことを思い出しつつ、綴っていきます。

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