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卒業式の語り はい!の返事はプレゼント

卒業式まであと1週間、どの小学校でも練習が行われていると思います。

卒業式は、今までの学校生活を振り返り、自分の成長を見つめるとともに、その成長を関わってくれた方々に見せることで感謝の気持ちを伝える場だと思っています。

卒業の節目に式を行うことで、4月からの新たな生活に向かうことができるようになります。

今日は子どもたちにとってよい式にしていくための語りについて書いていきます。卒業生に向けて話す鉄板の語りです。ぜひ最後までお読みください。


卒業式ってどんな場?

まずは、卒業式とはどんな場なのかを問いかけながら、子どもたちに説明をします。

みなさん、卒業式ってどんな場ですか?

うんうん、なるほど、感謝を伝える場。確かにそうですね、今まで育ててくれた家族やいろいろなことを教えてくれた先生方に、ありがとうの気持ちを伝える場でもありますね。

他には?

そう、成長を伝える場でもあります。育ててくれた家族にとっては12年間、小学校の先生にとっては6年の成長を見せる場でもあります。

感謝の気持ちは、呼びかけの言葉によって伝えることができます。

では、成長はどう伝えますか?

成長はみんなの姿に現れます。歩き方・立ち方・座り方・表情・呼びかけ・歌で伝わるはずです。どんな姿が卒業生としてふさわしいのか、どんな姿を家族に見てもらいたいのか考えてみてください。

式の中で唯一、一人一人が主役になれる場面があります。卒業証書授与です。そのときの歩き方・立ち方・座り方・表情が大切です。

そして、何より大切なのは「はいっ!」という返事です。

声はすごいです。

みんなの声は、空気を振動させて、直接届けたい相手の耳へ入り、鼓膜を震わせます。

いいですか。直接届けることができるんです。その「はいっ!」という2文字に、みんなの6年間の成長を詰め込んでください。


大きな声を出すためのコツ

小さい声と大きい声、どちらが成長を伝えられますか?

そうです。大きい声です。

大きい声を出すためにはコツがあります。

それは息を吸うことです。

「息」という漢字はどう書くか分かりますか?

自分の心と書きます。昔から、息という文字が入った言葉には心の状態や気持ちを表す言葉がたくさんあります。

「息がつまる」「息が通う」「息をつく」「息を弾ませる」などの言葉は聞いたことがあるかもしれません。

息は、その人の心の様子を表したり、吐けば言葉となって口から出たりします。

息を吐き切ってしまえば言葉は出ません。みんなの感謝の気持ちを表現することはできなくなります。

ぜひ、胸いっぱいに息を吸って、気持ちのこもった「はい!」という返事をしてみましょう。

大きな声という話をすると、大きい声を出すことが苦手な子が不安に思います。そこで、次のような声の小さな子でも取り組める方法を話します。


声の小さい人、安心してください

「実は大きな声苦手なんです」っていう人手をあげてみてください。

安心してください。大丈夫ですよ。

気持ちが伝わるか伝わらないかは声の大きさだけじゃありません。

実は、大きくても伝わらない「はい」、小さくても伝わる「はい」があります。

それは、小さい「っ」を入れるかどうかです。

やってみるよ。どっちがいいかな?

「はい〜〜」(大きな声でやすこさんのイメージで)

「はいっ!」(中くらいの声の大きさで歯切れよく)

どちらがいいか一目瞭然でしょう。

小さい「っ」を入れることを意識してみましょう。
そうすることで、たとえジャイアンのように大きな声は出せなかったとしても、張りのある凛とした声が出ますよ。

ここまで話をすると、子どもたちも試してみたくなってきます。うずうずして目をキラキラさせている子も出てきます。

みんなで練習

いきなり個人では緊張するので、まずは全体で練習をして体を温めていきます。

では、みんなで練習してみましょう。心の準備はいいですか?

6年生の皆さん

はいっ!

いいですね。息をしっかり吸うことを意識して、もう一度行ってみましょう。

6年生の皆さん

はいっ!

さらに良くなりました。次は、小さい「っ」をつけることを意識してみましょう。

6年生の皆さん

はいっ!

いいですね。次で最後にしましょう。体育館中に響き渡る声の大きさで言ってみましょう。「はいっ!」といった後に、響きの余韻が聞こえたら最高です。(6年生から一番離れた場所まで移動する。離れることで、先生が目標となりさらに大きな声が出るようになります。)

6年生の皆さん

はいっ!

余韻、感じられましたか?最高です。

では、この後は、一人ずつ実際のコースを歩きながらやってみましょう。

一人一人が勇気を出して「はいっ!」と返事ができるといいですね。


返事のバトン

前の人がよい返事をすると、それはリレーのバトンようにつながっていきます。

後に返事をする人は、「○○君ががんばって返事したんだから自分も」と勇気が湧いてきます。

そんな姿を見ていると、みんなの家族は「ああ我が子はなんていい仲間たちと一緒に学ぶことができたんだ」と、とてもうれしい気持ちになります。そして、「我が子もきっと次の子へつないでくれるはず。がんばれ!」という気持ちになります。

そして、我が子の「はいっ!」という気合の入った返事を聞いて、「ああ、立派に成長したなぁ。本当に良かった」と感じてくれるはずです。

何を隠そう、僕も、娘の中学の卒業式に参加して同じことを感じました。次々につながる「はいっ!」という返事のバトンに、よい仲間とともに学べたことに感謝したい気持ちで胸がいっぱいになりました。

そして、ついに、悩んで悩んで願いを込めてつけた娘の名前が呼ばれました。

「はいっ!」という声が体育館に響きました。その返事と凛とした姿は、娘からの自分たち親への最高のプレゼントだなと感じました。

みんなも、プレゼントができます。プレゼントを渡すつもりで今日は練習をしてみましょう。

まとめ

①卒業式はどういう場か考える
②大きな声を出すコツ(息を吸う)
③小さい「っ」をつけて凛とした返事を
④全体で練習
⑤返事のバトンをつなぐ

語りを通してこの5ステップで進めていくと、気持ちが入り、驚くほどよい声が出るようになってきます。卒業式の指導をするときは、ぜひ、技術的な面と内面の両方からアプローチしてみてください。


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