バンドマンがステージ上で40歳を迎えた話 (後編)
ようやくライブ本編の話です。
(この記事はほぼほぼphoto by さとみんでお送りします)
↓この人
RIDDLEメンバー3+サポートギター4+ゲストギター2+スタッフやら遊びに来たバンドマンでごった返した楽屋から
最早押し出されるかのようにステージに上がりました。
先にセットリストを載せておきます。
重要なのは 序盤の流れ。
頭4曲で全部違うギタリストが次々登場する
ギタリスト回転寿司
お客さんはこれを観て初めて理解する事になる。
あ、今日こんな感じでやるの??!!何コレ?!!
って魅せられたら成功。
逆に言うとここで失敗するとこのワンマン自体がグダグダになってしまう大事な頭4曲。緊張感がとてつもなかった。袖で見守るイシバシ楽器倉持さんの顔も強張っていた。
ライブが始まり、僕等は躍動した。
ミヤと演奏する一曲目が最高の演奏で終わったその瞬間
アンプの裏に控えていたフエンがイントロを弾きながら飛び出した。
↓(動画です)
物凄い歓声が上がった。
本当に皆驚いた顔をしていた。
そして3曲目で関村が、4曲目でバギオが登場する度にその歓声は大きくなっていった。
ギター回転寿司!大成功だ!!
文章にすると簡単だが、あのスピード感とスムーズさはあの場に居た人なら分かってくれると思う。
最初のmcで客席からこんな声が飛んだ。
「おい!逆手に取りすぎだろ!!」
一瞬 は??って思ったけど、
このギタリストが辞めてしまったという本来ピンチな状況を逆手に取って面白い事やるなあ!!て意味なんだと理解した。
ニヤリとした。
そうだよ。ピンチを逆手に取る。これがRIDDLEだよ。
ミヤには、いわゆるRIDDLEの代表曲達。
discommunication.starfield.clarity.supersonic…そして重要なこの日初披露の新曲「my name is」を弾いて貰った。
RIDDLEを知ってる人からしたら彼が一番馴染みが薄い。素晴らしいプレイヤーだからこそ沢山の人に彼という人間を知って欲しかった。曲数も最多だ。
自分が憧れたRIDDLEと言うバンドの為に凄まじい努力を重ねた彼と言う真っ直ぐな人間を、知って欲しかった。
フエンには、いわゆる「起爆剤」な曲を弾いて貰った。
mistake.RED. reach to the horizon.anoter wish…
長年RIDDLEのライブの激しいターンを担って、熱量を上げてきた楽曲達と彼の燃えるようなステージングは最高に相性が良かった。
自分の担当じゃ無い時はフロアでクラウドサーフをしていた。ケガしたらどうすんねん。
関村には レアな曲。
ここ6〜7年。つまりHiROが在籍していた時代に一度も演奏しなかった曲を中心に演奏した。
prelude. iolite. melt with you等…
特に「entities」というアルバムの曲。彼がRIDDLEとして過ごした時期に心血注いでレコーディングしたフレーズが、長い長い時を越えてまた彼の手から鳴らされる事にグッと来てしまった。
バギオには、RIDDLEの中でも割りかしメロウな、歌で聴かせるタイプの曲を任せた。
entity.mystery.like a movie…
ぶっちゃけ彼のプレイスタイルはRIDDLEと真逆だし、多分弾けない曲も結構ある笑
でも、彼は出てくるだけで人を幸せにする。それは世のバンドマン達が喉から手が出るほど欲しがっている才能だし、歌心あふれるプレイでやり慣れた曲に彩りを増してくれた。
本当に誰に何の曲を弾いてもらうかは滅茶苦茶悩んだし、スタジオに入る度に組み直したけど、ベストな割り振りだったと胸を張って言える。
ただどうしても、「この曲にはコイツにもコイツにも弾いて欲しい」って曲が出てきたのも事実。
そういう曲を終盤に固めた。
トリプルギターにしてみたり。
曲中にギタリストを交換してみたり
鬼の早業↓
僕がピンボーカルをやったりした。
てんやわんやなターン。みんなは見てて楽しんでくれたのだろうか。
そして、アキラ。
彼はFILTERというバンドのドラマーをずっとやっていて、この時期はFILTERもレコーディングやら新譜のリリース発表などが詰まっていた時期だった。
↓FILTER
彼のレパートリーでもワンマンは出来たが、流れや構成を考えると新たに覚えて欲しい曲が5〜6曲ある事を伝えたら、過密スケジュールの中キチンと覚えてきてくれた。
そして新曲のアレンジにも参加して、初披露の為に練習を繰り返した。
生半可な努力ではなかった。会う度にやつれていった。
ステージで彼の加入を発表した瞬間 歓声が上がった。ああ。皆喜んでくれるんだなあ。
アキラがマイクで
「うぎゃべるあーー!!」て叫んだ時は大丈夫かコイツって思ったが。
後で確認したら
「俺がRIDDLEだあー!!」って言っていた。
そうだよ。厳密には俺と俊輔もだけどね
ギタリスト回転寿司
レア曲復活
アキラ加入発表
新曲初披露
ニューシングル配信
と、とてつもない情報量がステージから発せられた結果。お客さんは多分
僕らの40の誕生日って事を忘れていたと思う。
いや、確信をもって言える。お前ら絶対忘れてただろ。
ゲストの2人にも触れておく。
柿沼(BIGMAMA)
BIGMAMAとして多忙な時期でのオファーにも関わらず即決してくれた漢気。
今の彼が小さな箱で客演するメリットなんてあるんだろうかって言われたら多分無い。
でも彼は「お祝いさせて欲しい」と言ってくれて、めちゃくちゃ練習してくれたことも伝わった。
アレンジがカッコ良すぎて俺たちが萎縮した。
「accelerator.」
BIGMAMAが僕らの居たRx-recordsに初めてのレーベルメイトとして入ってきてくれた時。
本当に嬉しかったし、このバンドをずっと応援していきたいって思ったんだ。
その2006年に出た曲を一緒に演奏出来た事は俺に取って何よりのプレゼントだ。
余談だが、ステージの裏に実はコーラスマイクを一本置いていた。
サポートギター達がコーラスまでする余裕が無くなった時に、他のギタリスト達がそれをカバーする為に置いたものだ。実際結構このマイクは活躍した。
acceleratorの時にモニターから懐かしいコーラスが響いていた。俊輔でも柿沼でもアキラでも無いその声は、
RIDDLEの初代ギタリスト。修平だった。
父親として多忙の中で彼もお祝いに駆けつけてくれた。CDと同じ声がする!てビックリしたわ。
そして、石毛(the telephones)
沢山の人に目撃されてしまったからもう言うが、僕は石毛が隣にギターを持って立っている姿を観て、ステージで泣いてしまった。
お互い無名で地方のライブハウスに溜まる少年でしか無かった頃。何度も「俺達いつか何者かになれるんだろうか」って話をした。
あれから23年経った今もお互いまだバンドマンとしてこうやってステージに立っているその事実と、あの時と全く変わらない石毛の照れた笑顔を見たら溢れてしまった。
何者になれたかは解らないけど、40の石毛の友達でいれてるんだ。って。
あと、たぶん俊輔とは死ぬまで兄弟だ。当たり前だけど。
石毛とやる曲は一曲しか考えられなかった。
「close my eyes」俺たちのデビュー作の一曲目。始まりの曲だ。
全26曲 1時間57分のライブが終わった
終わった後しばらくの時間。
皆がステージの上で、お互いの健闘を讃えあっていた。
楽屋が狭い&暑過ぎて戻りたくなかっただけかもしれない
フロアを埋め尽くしていた顔の中には、何年振りに来てくれたんだろう?て人もたくさん居た。スーツで仕事終わりに駆けつけてくれた人も、子供を誰かに預けて来てくれた人もいただろう。普段から来てくれてる人は勿論最大感謝だ。
UKPの元スタッフや、LOCAL SOUND STYLEの荒関なんかは直前で都合がついたからとわざわざ当日券で来てくれた。
10代の頃からの友達も来てくれて、俺と石毛を当時から知ってる奴の中には涙ぐんでいた奴もいた。何でお前が泣いてんだよ。
ああ、大変だったけど今夜はきっとやって良かった夜なんだ。沢山の人の記憶に長く刻まれる夜になったんだなと思った。
こんなバカでかい声↓忘れられないよ
打ち上げではACBの林さんから大量の打ち上げ飯のプレゼントを貰った。
40歳おめでとうっつって。
少年だった俺は…
俺だけじゃない、俺も俊輔もアキラも、そしてミヤもACBの皆さんにバンドマンに育てて貰ったようなものだ。感慨深かった。
しばらくは沢山の人から連絡が止まらなかった。おめでとう。最高に楽しかった。良いライブだったって言ってくれた。
参加した皆んながSNSで嬉しい事を言ってくれた。
RIDDLEの21年目が始まった。
来年の七月までは20周年イヤーだから、色々と考えている。
もう卑屈になんてならない。RIDDLEは愛されてるって事をしっかり受け止めた。
RIDDLEって名前とともにバンドってもののカッコよさを求めて、またじっくり前に進もうと思う。
新曲も出た。たくさん聞いてほしいです!
ありがとうございます。励みになります。よければブログもどうぞ。http://blog.livedoor.jp/riddle0929/ バンドもやってるのでそちらも宜しくお願いします。http://riddle-web.com/