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【短編】星降り平原 ー星降りの町ー【架空の町1】

世界の果てにある台地が垂直に陥没して出来た星降り平原。

名前の通り、毎夜この平原にはいくつもの星が降り注ぎ、冷たく青い炎が平原の至る所に揺らめく幻想的な風景が見られます。

昼間には星は降らず青い炎も消えてしまいます。

しかし、この美しい炎に触れてはなりません。ひとたび触れば、冷たい炎で焼き尽くされてしまいます。

死にたくなければ炎に触れてはなりません。星を避けたければ点在する白い木の下で一夜を過ごしなさい。

白皮樹は星の女神からの恩恵である。


この平原の中には町があります。星を避けるために自然と人々が集まった町です。建物はすべて白皮樹(はくひじゅ)と呼ばれる木の下に建っているため、一見ただの森のように見えるのです。

この木のある場所には星が落ちてこないため、長年植樹され、その木の下に家を建ててゆく為、そのような形になったそうです。


名物は、白皮樹の実を輪切りにして乾燥させたドライフルーツ。

この実は輪切りにすると星の形をしていて、食べれば星に当たらない。と言われ、災い除けとして人気があります。

反対に幸運に当たらない。とも言われ商人達には嫌厭されています。


家の壁は、近くの湿地で取れる泥で作られたレンガに、白漆喰を塗った真っ白な街並み。
昼間は木漏れ日が気持ちよく木のトンネルの中のお散歩も楽しいです。

外の白と打って変わって、家の中は赤や橙、青や緑の原色を基調としたタペストリーやカーペットで彩られています。

街の奥へ行くと、ひときわ大きな白皮樹があります。その木の根元に、なかば木に飲み込まれるように、星の女神を祀る神殿が建っています。


-終-

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