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「お客さん物語」を読んだ。イナダさんはやさしい人。

私はアルコール類が苦手だ。洋菓子に入っている少々の洋酒もダメだ。
なので飲食店で酒は注文したことがない。
下戸でも誘ってくれたりお会計の時に考慮してくれたりという友人には感謝しかないが、ソフトドリンクは酒のように次々おかわりもできないので(お店に対して)肩身が狭い。

稲田俊輔著「お客さん物語」を読んだ。
カレーの名店「エリックサウス」総料理長。10年以上前になると思うが八重洲で美味しい本格的なインドカレー屋があると友だちに連れられて行ったのがエリックサウス。
何を食べたか覚えてないけど、「なんかわからないけど美味しいし、こいういうお店初めて」と思ったのは覚えてる。

さて本の内容は、飲食店側の立場でありながら、お客さん目線がリアルで頷きポイントが多い。
特に、後半はタイトル通りまさに「お客さん物語」という感じで良かった。

ネタバレにならない程度に、どんなことが書いてあったかメモしておきたいと思う。

・ひとり客にまつわる話。「カウンターが濃い店」という表現が秀逸。

・コース料理の一枚絵を撮りたい客。「格式vs映え」問題。

・ドリンクを頼まない客。下戸の私には耳が痛いが、最近はノンアルのメニューも増えたのが救い。

・Googleレビューで批判的なコメントを残す客についての考察はなるほど!だ。

・「はいよろこんで!」のマニュアルが蔓延している件。ふむふむ。

・スナックやクラブでの会話。常連客の連携プレーなど、オーナーとの信頼関係のなせる技かも。

・説教する客についての考察。面白い

・カフェで繰り広げられるネットワークビジネスへの勧誘パターン。

・英国パブの人種差別的な面。

・神谷バーの章は小説のようで素敵。

などなど。稲田さんの洞察力がすごいし、本音が書かれているのに誰も傷つけない文章表現がすばらしくて、私もそんな感じで書けたらなあ。

感想は、個人の飲食店は大手チェーン店とは儲けの仕組みが違うことを理解して利用しなければということ。

おいしいものを食べることはしあわせだ。いろんな人が集まるお店で、しあわせに過ごすための本でもあるかも。


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