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【読んでみた11】しずく/西 加奈子

西加奈子さんの
短編集。しずく。

単行本ver.の猫もかわいいけど、

クレパスで描かれた猫に一目ぼれして
文庫本ver.をメルカリで購入。

CDのジャケ買いならぬ
装丁買い。
色づかいもかわいいー

省スペースだし
解説が加わってるから
たいていは文庫本ver.を選ぶけど、

今回は大きめサイズの
単行本をチョイス。

単行本の良いところは
カバーをめくる楽しみがあること。


めくってみると..

表題作「しずく」に出てくる
二匹の雌猫が!

この瞬間が嬉しい。

--

「女どうし」を描く
六つの物語。

迷っても、つまずいても、泣きそうでも、
人生って、そう悪くない

本書、帯より

いろんな女どうしが出てきて
わかるーかっこいいなーの
連続でしたが、

一番よかったのは
メス猫どうしのお話「しずく」。

同棲をはじめた男女が
飼いはじめる猫、フクとサチ。

飼い主二人の
生活が変わっていき、

フクとサチの
変わらぬ日常も
少しずつ変わっていく。

昔うちで飼ってた猫も
キッチンのシンクにあがって
水をよく飲んでましたが、

シンクの水と涙が
本編のキーワード。

猫語でじゃれあい、
猫目線で見た世界。

飼い主の変化、
環境の変化、
心の変化の描写が秀逸で
最後の展開はホロリ。

あらがえない現実は
猫だけでなく
人間にもたくさんあるわけで。

もがきながらも
誰かを想ったり、

遠い記憶を
思い出したり
おぼろげにさせながら、

自分に馴染ませていく感じが
いいなぁと思いました。

--

本書のタイトルが
「しずく」というだけあり、

どのお話にも出てきたのが
さりげない涙。

自分と葛藤して
心の声を言葉にできた時に

自分と向き合えたり
一歩踏み出せるんだろうなーと
思える本でした。

涙と共にうまれる
小さな覚悟
大きな覚悟

意志ある一歩を
踏み出す人はかっこいい。

猫好きの方、
人知れず泣きたい方、

オススメです。

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