見出し画像

ワードローブの森の中から(54)「ジャン=ミシェル・バスキアの超薄手のパーカー」

 毎年、5月の連休が終わった頃、そして梅雨が始まる前に、冬服から夏服への衣替えをとりおこないます。厚手のアウターたちとは晩秋までおさらばです。ただ、年中ワードローブに置かれている衣服もあり、そのうちの一つが超薄手のパーカーです。
 春や秋なら「ちょっと寒いな」という時に重宝しますが、夏場もまた使うことがあります。例えば、海辺の夏キャンプの夜はタンクトップの上からサクリと羽織ったりします。昼の太陽で焼け熱った身体は夜風に鈍感になっているので要注意です。
 現在、私のワードローブには6枚の超薄手のパーカーが用意されています。ニューバランスやナイキなど、それなりのブランドものですが、中でもお気に入りなのが写真のジャン=ミシェル・バスキアがデザインしたものです。もう5年以上前のことだったか、特に用事もなく無目的でUNIQLOにふらりと入ると、私のハートをガシッと掴んだのがこのデザインでした。
 ジャン=ミシェル・バスキアは1960年にニューヨーク・ブルックリンで生まれ1988年にヘロインのオーバードースで亡くなりました。一時期、共同制作をしていたアンディ・ウォーホールの死去の翌年のことでした。
 バスキアの作品を鑑賞していると、彼の自我のほとばしりが痛いほど突き刺さってくるのですが、何故か心地良い温かさも感じさせてくれます。そして、この超薄手のパーカーを羽織っていると、その温かさに包まれます。
 真夏日の夕暮れの浜辺で、半パンにタンクトップ姿にこのバスキアをはおると、私の夏がやってきます。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?