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若い劇伴作家のための映画案内#9

映画好きおじさんはブレード・ランナーの夢を見るか

(第三回)

前回は、デザイン・美術の凄さについて、(専門でもないくせに)ちょっと
まとめたりしました。今回もその続き的に、知っておくと良いかもなキーワードを紹介していきます。

フランスの「メビウス」という人のコミックの影響という話をしましたが、
そこに至るには、ホドロフスキー監督が企画して途中で制作が中止になった映画「DUNE」のために集められたメンバーと映像イメージ→ そのスタッフが「エイリアン」に引き継がれる→ そのイメージが「ブレード・ランナー」につながる というようなことだったかと。
ホドロフスキーのDUNE』(原題:Jodorowsky's DUNE)2013年 という
ドキュメント映画がありますが、本当に興味深い内容。クリエイティブなモチベーションが上がります。
「エイリアン」のデザインはスイス人のデザイナー/イラストレーター、H.R.ギーガーが担当したわけですが、ホドロフスキー監督のDUNEに本格的に参加することになっていて、もうその時のデザインにも「エイリアン」な感じはあります。音楽でいうと、エマーソン・レイク&パーマーなどのアルバムジャケットも多数手がけています。

と言いつつ、「ブレード・ランナー」では、美術スタッフなどはエイリアンから引き継がれていたりしたけれどデザイナーは、シド・ミードが採用されます。
元々はフォードとかでインダストリアルデザイナーをしていましたが、「ブレード・ランナー」で映画に抜擢されるわけです。
そして、雨のイメージなどの映像イメージの基調はシド・ミードによるものなわけです。その後も映画、建築、商品などのデザインを大量に手がけて、のちに与えた影響も大きいと。
ガンダムとかのデザインもやってます。

「VISUAL FUTURIST: Syd Mead」というドキュメントもありますが、検索したらDVDが2万円以上してました。これもかなり面白いです。

ということで、映画が、「誰がデザインを担当したか」という角度で語られる場面はなかなかないかなあと思うわけですが、音楽の発注が映像イメージの単語で始まることもあり(ある意味では、中途半端に音楽用語で言われるよりもわかりやすい時もあるし)アニメとかやっているとシド・ミード的、ホラー系とかをやるとギーガー的 というようなワードが出る場合もあると思うので、うまく音に変換していきたいものです。ちなみにエイリアンの音楽はジェリー・ゴールドスミスで、なんというかプロな正統な映画音楽という感じなので、ギーガーのデザインみたいに明らかに特殊だという感じはしないんですが、あちこちに、あの液体が滴っている映像を思わせる音も入っていて、なんかそれがシンセじゃなくて何かしらの生音な感じがするのも興味深いところです。まあ、当時、CGじゃなくてSFXと呼ばれていた特殊効果の映画は、それまで見たことがなかった表現が突如現れる感じで、新しい映画が公開される度に、その特殊効果が話題になり、そして見に行くとめちゃ怖かった!という記憶があります。エイリアン、映像も音楽も怖かったなあ。高校生か。。。わかりやすい例だとマイケルのスリラーとか。
「ブレード・ランナー」と同じ年に公開された『遊星からの物体X』(原題: The Thing)ジョン・カーペンター監督 のSFXもマジで怖かった。長いこと見てないけれど、今見てもチープじゃないはず。そしてこの映画の音楽がモリコーネだったことを最近知りました。うーん、見直すか。

次回で、最終回にしたいと思います笑

映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。
音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。
何か、間違っていたことを言ってたりしたら、ぜひ、ご指摘いただければと
思います!

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