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若い劇伴作家のための映画案内#13

初期のハンス・ジマー(タイトル変更)


(第三回)

続いては89年公開の「ブラックレイン」
サントラCDの帯には、
「摩天楼のNYからイルミネーションきらめく大阪へー
89年秋の超話題作、監督リドリー・スコット 主演マイケル・ダグラス/高倉 健「現代(いま)」を鋭く描く豪華ラインアップは、AV世代をノック・アウト!!」
これ読むだけでワクワクしますね笑 ちなみにAV世代は、オーディオ・ビジュアルだと思われます笑。あっちじゃなくて。
僕もレコード会社のディレクターやっていたことがあって、CDの帯の紹介文書くのが結構大変だったなあ。自分でディレクターやったアルバムに、傑作!とか書かなきゃいけなかったり苦笑 もちろん傑作のつもりで作ってましたが、でも担当して5枚とかアルバム作っているのに、毎回傑作ってのも、、とか。
このCDも歌ものがたくさん入っていて(大物ばかり)ジマーさんのトラックは4トラックですが、アクション映画ということもあって現在のスタイルに繋がる、パーカッションを多用する的な作風が始まります。パーカッションとシンセ。そして日本が舞台ということを意識してかのちょっと和風な楽器とメロディ。(ただしどうも海外の方がやると中国風メロになりやすいです)
なんとなく「戦メリ」っぽい雰囲気のメロも。。戦メリは1983年です。
ちなみに坂本龍一さんの曲も一曲入っています。こちらは流石に日本感が強いですが、でも、架空のサウンド。日本風メロって難しいのかも。
歌謡曲のメロがいまや一番日本っぽいのか。シティポップとかも。

そんなわけで、見直さないとダメだということでBD買ってみました。メイキングもついているし。
映画としてのインパクトはさすがです。映像、演技、素晴らしい。
リドリー・スコット監督なのでブレードランナー的な、サイバーパンクな映像だったりします。しかもブレードランナーで歌舞伎町をイメージして作った美術は、今回は大阪の実写です。当時、日本は『ジャパン・アズ・ナンバーワン』時代なので、海外から見ると超謎の都市に見えたかも。撮影はヤン・デ・ボンJan de Bont)。その後、『スピード』(Speed 1994年)で監督デビュー。大ヒット。今ちょっと検索していたら、「本作の予告編に使用されているBGMは、『ブラック・レイン』(1989年)のサウンドトラックを使用している」とのことでした。「スピード」は、そんなに話には出ないけれど、ヒットしたし、相当インパクトありました。音楽はどんなだっけ?。ちなみに1975年の日本映画『新幹線大爆破』をヒントにしている説もあり、その映画の主演が高倉健さんだったりします。ヤンさん、見ていたと思われます^^

ということで、俳優さん。マイケル・ダグラス、高倉健、松田優作。若き日のアンディ・ガルシアも出てます。
マイケル・ダグラス。最近では「アントマン」を作った科学者として有名ですが笑、まあ長年現役。プロデューサーとしても成功してます。
ヒット作多数ですが、『危険な情事』(Fatal Attraction 1987)エイドリアン・ライン監督 モーリス・ジャール音楽 『ウォール街』(Wall Street 1987)オリバー・ストーン監督 スチュワート・コープランド音楽 そう、ポリスのスチュワート・コープランドです。彼が手がけたサントラだと『ランブルフィッシュ』(Rumble Fish 1983)とかもめちゃ好きですね。戻すとあとは『氷の微笑』(Basic Instinct 1992)も大ヒット。ポール・バーホーベン監督 ジェリー・ゴールドスミス音楽。まだまだヒット作たくさんあるけれど、このあたりの映画に若い頃インパクト受けている監督も多いと思うので、押さえておくと良いかもですね。
自分は、ということでもあるけれど、10代、20代に感動したり驚いたり夢中になった「何か」は、その後の作風だったり好きになるものに相当大きく影響すると思います。

高倉健さん。もちろん日本の誇る名優ですが、あんまり打ち合わせとかで話題になることがないような印象。唯一無二すぎるのかな。あとデビューが1956年ってことで、このシリーズで設定している若い劇伴作家が思う、年上の監督とかって、たとえば僕くらいだとすると、まさにさっきの75年の「新幹線大爆破」がギリくらいで、その前に20年くらいキャリアがあると。「八甲田山」(1977)「幸せの黄色いハンカチ」(1977)とかあたりからは出る作品、受賞の連続だったような。渋い役ばかりです。当時の若者的には、大人すぎたのかも。個人的には「野性の証明」(1978)は角川映画大ブームの頃で、とても印象に残ってます。ヤクザ映画にもめちゃたくさん出てますが、実際の打ち合わせで、ヤクザ映画というと「仁義なき戦い」シリーズが出てくるイメージが強いかもですね。音楽も含め。一作くらいは見ておいても良いかもしれません。

そして松田優作さん。こちらも唯一無二の存在です。1989年、ブラックレイン公開の年に40歳でなくなってます。こちらは逆に、いま50歳以上の男性で、松田優作に憧れたことがなかった!なんて人は信用できないかも笑(言い過ぎ)若くして亡くなったので作品は多くないですが、同じく角川映画の「人間の証明」(1977)はリアルタイムで見て衝撃でした。小説読んだのが先だったけれど。角川映画だと大藪春彦原作の映画にも数作出ています。これらも印象的。アクション系じゃないところでは、「家族ゲーム」(1983)とか「陽炎座」(1981)なども記憶に残ってます。とはいえ、もしかしたら松田さんの雰囲気や演技が後世に残した影響って「太陽にほえろ」のジーパン刑事(53話 - 111話)、探偵物語(1979−1980)とかの印象がとても強いのかも。どっちの音楽もよく話題にでます。前者は井上堯之バンド、後者はSHOGUN とロック、フュージョンバンドが担当しています。おそらく小学、中学、高校生くらいだった男子には思い切りかっこいいものだったのかと。

今回も長くなりました苦笑
次回は、今回買ったBDの特典にあったジマーさんのインタビュー関係でとても興味深かったこととか、そのほか、初期のジマーさん作品でおすすめとかをピックアップして、このシリーズの最終回にしたいと思います。


映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。

音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。
何か、間違っていたことを言ってたりしたら、ぜひ、ご指摘いただければと
思います!

僕は映画評論家でもなんでもないので、こうやって文章を書くためには、ぼんやりとした記憶をネット検索や持っている本とかでちょっとだけピントが合ったものにしているわけです。なので新発見は何もないので、どなたでも得られる情報を、飲んだ時にちょっと偉そうに話したがるおぢさんの長話程度に読んでもらえると幸いです。







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