たらはかにさんの企画に参加します。
『肋骨貸す魔法』
どうぞよろしくお願いします。

｢咳やくしゃみには気をつけてくださいね！｣
｢また折れちゃいますよ！｣

気をつけようがない！

肺炎になりかけて入院したが退屈で仕方ない。

若い頃から吸い続けている煙草のせいで
喘息気味だし、酒の飲みすぎで、
常に胃炎だから、花粉症の症状もひどい。

咳もくしゃみも止められない。

おもいっきり、くしゃみをすると、
気持ちいいから、

はっくしょ～んっ！！

とやっていたら、
ある日、胸が痛むことに気がついた。

｢肋骨折れたんだね～｣
｢自然治癒しかないなぁ｣

ちっ！ヤブ医者め～！

はっくしょ～んっ！！
あいたたっ

その時、見たことのない看護師がやってきた。

｢肋骨を貸せますよ？｣

｢は？｣

｢どうします？借ります？｣

｢痛みが取れるなら借りる！｣

看護師は自分の胸に手をギュッと当て、
その手を俺の胸に押し付けると、

｢えいっ！｣

と叫んだ。

あれ？痛みがない！

検温の時間

｢あれ？新しい看護師は？｣

｢新しい看護師なんていないですよ！｣

ん？

魔法使いか？

肋骨はいつ返せばいいんだ？

(了)

【414文字】