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蝉の鳴き声でお腹はすくか?

4月に入り暖かい日が続いくと、いよいよ夏が来る!!と先走ってウキウキしてしまいます。

そう、夏と言えば蝉です。今年は北米で素数ゼミが大量発生するらしく賑わっていますがどうなることやら。
そんなわけで冒頭の問いに戻ります。

「蝉の鳴き声を聞いてお腹がすきますか?」

何言ってんだコイツ?
そんな反応が一般的多数派の答えですが、昆虫食界隈は違います。
蝉が鳴く時期になると、Twitter(x)で「蝉の声を聞いたらお腹がすいてきた」なんて声が上がります。だって界隈にとって蝉は食べ物ですから。

ただ、私はそれについて実は密かに疑問を感じています。なぜなら、私は昆虫を普段から割と食べてますが、蝉の鳴き声を聞いてもお腹は全然すきません。ネタとして、夏の挨拶代わりに「蝉の声聞いてお腹すいた」なんて言ったりしますが、スミマセン、白状します。心からはそんなこと思ってないです。それは挨拶です!
私がそんなんだから、これは本心ではなく挨拶やネタとして言っているんじゃないか?と密かに疑っています。

たまに行く水族館で真鯛の泳ぐ姿を見たら「美味しそう🤤」と呟いてしまいますし、捌きたくて仕方なくなります。これは紛れもない本心です。
でも、家に帰ってきて庭に植えたパセリをムシャムシャ食べるイモムシを見ても、美味しそうとはなりません。むしろパセリ食われて憎いです。食いっぷり見とれちゃいますが。

そこで考察したのが、蝉の鳴き声やイモムシを見て美味しそうってい言っちゃう人は、ナチュラルな虫食人。天然。本物。ニュータイプ。
そう感じないけど食べる人は、理由付き昆虫食人。養殖。後付。強化人間。
言葉のチョイスはさておき、私の中ではニュータイプと強化人間(詳しくはガンダム参照。この言葉がしっくりくるので勝手にそう呼びます)に分かれます。

今の店で昆虫食の仕事をしていると、度々本物のナチュラルのニュータイプの方に出会います。
巨匠とか、某アイドルとか、某研究員とか…。
そのまんまの虫を前に、臆することなく何の抵抗も無く食べる姿は、潔く格好いい。凄い。同時に同じフィールドでは絶対に敵わないなと思います。だってそのまんまの簡単に食べる人を前に、ちょっとでも躊躇しちゃうような人間が太刀打ちできる訳がありません。
強化人間はニュータイプと同じ土俵では分が悪いです。

ただし、勝てるチャンスはあります。
それは、(シンプルじゃない)料理にすることです。
なぜなら、そのまんまが美味しいと思っている人にとっては、シンプルがいちばん。面倒な工程を踏んで素材を調理すること自体、あまり必要なことではないのでは?と思えるからです。(想像です)
感覚的にそのものを美味しいと思える人と、工程を重ねていくことで美味しさが増すと思える人の違い。

刺身は醤油とわさびがいちばん。と思っている人に、イタリアンのドレッシングやフレンチのソースをかけてもなかなか受け入れてもらえないし、自ら他を試そうとはあまりしません。 
でも、今日初めて魚の刺身を食べる人には、醤油とわさび以外にも沢山の選択肢を与えることが出来たら、刺身を食べてもらえる可能性は増えるんじゃないか?と。
なので、昆虫食もニュータイプより強化人間寄りの考えの人の方が、食べれない側の気持も多少わかるので、料理として美味しいものが作れる素地があるのでは?と考えてます。

素材=美味しさの最適解、の考えではないからこそ、幾つもの選択肢を模索出来るのではないかと思います。

ナチュラルな本物のニュータイプの人が凄い料理を作ることも勿論ありますが、それはもうそこに勝とうなんて思いません。お手上げです。ただのいちファンとして味わいに行きます。

そんなわけで、今年の夏も蝉の声でお腹がすかない側の人間として、蝉のシンプルじゃない面倒臭そうな料理をいろいろ作っていられたら、とっても幸せです。

ちなみに、刺身はシンプルに醤油&わさびがいちばん好きです。

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