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ファミコンとその時代 ~ファミコン40周年に思うこと~

今日でファミコン発売から40周年なんだそうだ。


私が「ファミコン」という単語を初めて耳にしたのは、1985年のクリスマスも近いある日のことだった。

母が「今年のクリスマスプレゼントは何が欲しい?」とそれとなく弟に聞いたところ、弟が「ファミコンが欲しい」と言ったので、母は「クリスマスプレゼントとお年玉我慢したら買ってあげる」と答えたのだ。

当時の私はサンタさんを信じていた。
だが、高価なものだから仕方ないとはいえ母の言葉で「サンタさんはいない」という事実を知ってしまった。

だが、サンタさんという夢と引き換えに我が家にやってきたファミコンは私たち姉弟にとってまさに「夢の機械」だった。

テレビに映された小さなキャラクターが、手元のコントローラーで動かした通りに動く、今となってはなんという当たり前のことを、と思われるかもしれないが、当時はゲームというものがまだ物珍しいものだったので、とても新鮮なことだったのだ。

母が厳しかったので家にはファミコンのソフトはマリオの他に数本しかなかった。

だが弟は友達とのゲームの貸し借りで、それなりにいろいろなゲームを楽しんでいたようである。

放課後になると弟の友達が家に集まってファミコンをするので、私がファミコンを遊べるのは彼らが帰ってから夕ご飯を食べるまでの時間。
だいたい5時半から6時半までの1時間くらいだったと思う。

当時、高橋名人というファミコンが上手いひとがいて(この高橋名人、現在でもご健在でTwitterをやってらっしゃるのにびっくりした)「ゲームは1日1時間」というファミコン世代には有名な?言葉を言っていた。

その影響力は大きく、我が家でもなんとなくファミコンは1時間でおしまいという空気があった。

私は弟と交代でマリオをやったり、弟と対戦したりしたものである。
(弟と対戦するのは次のスーパーファミコンでも同様で、マリカやスト2をよくやっていた)


ファミコンの影響は大きく、お絵かきが好きだった私はノートの片隅や自由帳に、「なんとなくファミコンのゲームに出てくるような創作キャラ」を描くようになっていた。

そんなある日のこと。
学校で男子が持っていた下敷きのイラストに衝撃を受ける。
その下敷きは「ドラクエ2」のパッケージ絵の、鳥山明先生のイラストだったのだが、隅っこのほうに描かれたフードの女の子に私はめちゃくちゃ惹かれたのだ。
調べてみるとその女の子は「ムーンブルクの王女」というキャラだという。

このムーンブルクの王女だが、「悪者の魔法で犬にされているのだが、助けて人間に戻ると主人公の仲間になる」という当時としては珍しいキャラだった。

当時のファミコンのゲームのヒロインって、例えばピーチ姫とかもそうだったのだが、悪者にさらわれ主人公の助けを待つ「囚われのお姫様」が主流だったので。
それにムーンブルクの王女のドット絵自体も、個人的に好みだった。

だったらドラクエ2を、買ってもらえばよかったのだが。
親の方針で、我が家ではファミコンのゲームは誕生日かクリスマスプレゼントにしか買わないという約束になっていた。
私の誕生日は11月である。
迷っているうちにドラクエ3が発売されるという情報が流れてくる。こちらも魅力的、、、

だがしかし、ドラクエ3は発売延期になり、クリスマスに手に入ることは無かった。


そんなこんなになっているうちに、ゲームのやり過ぎを危惧した母が、「ファミコンは銀行の金庫に預けた」と言い張って、どこかに隠してしまった。
私はそんな見え透いた嘘を、と思っていたが、どうやら弟は信じていたようである。

そのうち弟に友達が吹き込んだのだろうか、ファミコンは発見され、再びテレビに繋がれたのだが、入力端子が壊れていたらしく、めちゃくちゃ映りが悪いものになっていた。

ここでファミコンの入力端子についてちょっと補足しておくと、ファミコンの入力端子は「RFスイッチ」という特殊なもので、簡単に取り付けができるものでは無かった。

親にバレないよう子供が取り付けようたって、簡単にできるものではなかったのである。


そのうち我が家のファミコンは完全に壊れてしまった。
それから大人になるまで、私がファミコンに触れる機会が無かった。
そんな私がファミコンに再会したのは、ファイナルファンタジー3というゲームがきっかけである。

FF3をやりたいと思っていたのは、このゲームに出てくる「導師」というジョブのドット絵がきっかけだった。

一応公式では男の子のはずなのになぜか猫耳フードという時代を先取りしすぎたキャラである。

私はこの導師に会いたくて、リメイク版FF3が出るのを待っていたのだが、一向に出ない。(2006年になってリメイク版が出たが、そちらは個人的にはある意味別物であった)

そんな時ファミコン生産中止のニュースを耳にした私は、接続が容易なNEWファミコンの本体と一緒にファミコン版FF3を買った。
2003年のある日、実に10数年ぶりのファミコンとの再会である。

そしてこのファミコン版FF3をプレイして、「ちょwwwスクウェアはファミコンでここまでやってたのかwww」という当時の旧スクウェア社の技術力の高さを目の当たりにする。

ドット絵の精密さ、飛空艇の異様な速さ、主人公たちの住んでいた場所が実は浮遊大陸だったという演出、、、

その頃合併してスクウェア・エニックスとなった会社の原点に触れた気がした。


NEWファミコン実機ではFF3の他にはドラクエ2と3くらいしかやらなかったのだが、その後バーチャルコンソールやswitchオンラインで過去の名作を今でも遊んでいる。

私にとって原点のゲーム機であるファミコンに出会えて、本当に良かった。
そう思う40周年の今日である。

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