Vol.5.20 平日の洗濯は贅沢だ。
内勤で働いていた頃の洗濯は、何日かにわけてまとめて洗濯をしていた。
そして常に天気予報とにらめっこをしていた。
例えば、洗濯する日の天気が午前中晴れていても仕事が終わる夕方または夜頃に雨が降る予報だったとする。
ここで私は悩む。
なぜなら私は洗濯物をできるだけ風に当てて乾かしたいという変な願望を持ち合わせているからだ。
イチかバチかにかけてベランダに干すか?念には念を入れて室内干しにするか?
はたまた乾燥機付きのドラム洗濯機を買うか?
議論の末、大体は僅かな望みをかけてベランダに干して出勤する。
その後の結果は、雨に間に合うこともあれば惨敗することもある。
惨敗するのなら最初から部屋干しにするかにすればいいのに私はそのあたり融通の利かない人間だ。
現在はほとんど家にいるのでいつでも洗濯が外に干せる。
しかも寝具類が平日に洗濯できるのはもう最高だ。
雲行きがあやしくなってきたら洗濯物をすぐさま避難させることが出来るし、まさに贅沢の極みといっても過言ではない。
洗濯の中でも、私は特に服を畳む作業が好きだ。
乾いた洗濯物をハンガーから外す際にワザと山のように積む。
それから正座になって、その洗濯の山を崩すように畳んでいく。
だんだん洗濯の山がなくなっていくところを見ているのが好きなのかもしれない。
百人一首にこのような句がある。
春過ぎて 夏来にけらし 白たえの 衣ほすてふ 天の香具山
(百人一首2番 持統天皇)
この句を読んだのは飛鳥時代に女性初の天皇となった持統天皇だ。
意味を簡単に言うと、青空の下で白い衣を洗濯しながら香具山を眺めていると夏がやって来たと季節の移り変わりを楽しんでいることを表現している。
天皇というと政を担う人物だから、家事や身の回りのお世話は他の誰かがやっているものだと思っていたので、持統天皇も洗濯をしていたのかなというのがこの句を知った後の第一印象だった。
確かに、洗濯をしていて一番気持ちのいいのは夏だ。
朝に洗濯物を干したとしても、日当たりのいい間取りなら昼過ぎには乾いている。
日の光をたくさん浴びた洗濯物は心なしかサッパリしたような印象に見える。
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