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工場音が大好きな男たち(2)

前回のnoteに引き続き、工場の音の話ですが、今回はNFTアートとメディア・アートの話です。

このたび INDUSTRIAL JP ASMR がめでたく文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品として選出されました。個人的にもうれしい!INDUSTRIAL JPは2018年にも優秀賞に選出してもらっていて、この芸術祭にはお世話になっている。ASMRはその続編として活動中。メディア芸術については、このnoteの後のほうで書くけど、不定形な制作をする自分にとっての発表の場として、とても貴重でありがたい。

NFTに挑戦

この1年間(2021年)は、自分がとてもNFTに興味があり、INDUSTRIAL JP ASMRでも挑戦させてもらうことに。これまで、Youtubeにて視聴できた音と映像をNFT化し、Foundationにてコレクションを展開することに。Foundation というのは、市場みたいなもので、ここでNFT作品を取引することができる。

GS-D001
FM-D001
AS-D001

金属の物体は、工場の音から生成され、音を視覚化している。なので、NFTにはもちろん音も含まれている。このプロジェクトの詳しい説明は前回のnoteでご紹介している。

NFTって、なに?

そもそもNFTアートって、なに?という方に、おすすめの情報はこれ。

この1年間、NFTについてのいろいろな情報に触れて来たけど、美術手帖の2021年12月号がとてもおもしろかった。

ここでのNFTの説明は「NFTとは、本来複製可能なデジタルデータに、非代替な電子証明書を付けることで、そのデータが「唯一のものであること」を保証するという技術」とある。つまり、JPGやMP4などのオリジナルのデジタルデータがコピーされても「元のデータはこれだよ」という証明ができるということなんだと思う。それをブロックチェーンという技術で可能にしているそう。

メディア・アート?メディア芸術?

冒頭にメディア芸術祭のことを書いたけど、日本国内で流通する言葉「メディア・アート」が何かがちゃんと説明できない。芸術が長らく、絵画(壁、キャンバス)もしくは彫刻(石、木、土)といったメディアに表現を託してきたアートの歴史のカウンター、または拡張として登場した映像をつかった表現や、コンピューターを使った表現、などを含めていく枠組みの言葉。

ラスコーの洞窟壁画
ミケランジェロのモーセ像

となると、絵画や彫刻以外はもう全部「ニューメディア」なので、なんでもかんでも「メディア・アート」になってしまう。ということで、自分にとっての「メディア芸術」の解釈は、以下のようにしてみた。

メディア(何を媒介に表現するのか?)に対して意識的な芸術のこと。それは、常に「自分が表現するのに、このメディアでいいんだっけ?」というメディアに対する意識をすること自体が「メディア・アート」なんだ、という解釈。

だから、もし今から絵を描こうとしたときに、キャンバスに描くべきか、和紙に描くべきか、いやiPadで描いてそれをNFTにすべきか…みたいなことを真剣に考え始めたら、それはメディア・アートの始まりなんだと解釈してみた。

NFTはメディアアート?

で、そうなってくると当然NFTもメディアのひとつとして数えることになり…そして、自然に興味が湧いてくる。

自分はINDUSTRIAL JPで、長らく音と映像に対して価値をうまくつけるよい方法がないかモヤモヤしてました。この10年の間に、音楽はストリーミングで消費され、映像も無料で視聴できる時代が到来、質の高い制作物が誰にでも提供できるようになった反面、それ自体に金銭的価値がつけづらくなってしまった。基本的に収益化を目指す場合は、動画の再生回数を増やし広告収入を得たり、定額購読の恩恵を音楽の再生回数にもとづいて得る、などになってしまう。それが、いいのか悪いのかはわからない。

そのような状況の中で、2017年あたりから密かに盛り上がりを見せてきたデジタル暗号資産。その流れで、ついに1点の音と映像にも一定の価値をつけられる仕組みが登場した。ということで、モヤモヤに対してのひとつの答えが出てしまっているようにも思える。もちろん、価値化できることと、実際に価値が出ることは全然違う。NFTにしたからといって、それを所有する価値を感じてもらわないといけないのは、絵画や彫刻と同じだ…。

INDUSTRIAL JP ASMRのコレクションページ

このNFTの実験がどうなるのかはわからないけど、作りながら引き続きNFTの行く先を見ていこうと思う。よかったら、INDUSTRIAL JP ASMRのコレクションも、ぜひのぞいていってください。


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