精神科病棟に入院しています

りんさわと申します。20代の女性です。
ハンドルネームの由来はりんごサワーが好きだからです。そのままりんごサワーと名乗るのは芸が無いなと思ったので、省略してなんとなく名字っぽくしてみたりしました。
20代の女性らしい、フレッシュで可愛げのある仕上がりとなりました。何卒よろしくお願いいたします。

かれこれ一ヶ月半ほど、某所の精神科病棟に入院しています。
入院当初は毎日飽きもせず死にたいと願っていましたが、今は病状も落ち着いて近々退院の目処が立っております。
自分でも予想外なことに、私はこの入院生活をそれなりに楽しく過ごすことができました。入院に楽しいとか、ありえないと思っていました。むしろ「入院」と「楽しい」という言葉を並列に扱うことは、不謹慎に値するのではないかとすら考えていました。
厳密に言うと楽しい瞬間よりも苦痛や退屈を感じるシーンのほうが多いのですが、それでも例えば年の近い入院患者とBL本の貸し借りをしたり、売店で初めて購入したミレービスケットの美味しさに感動したり(病棟に来てしばらくは病院食しか口にしていなかったので、うますぎて劇薬かと思いました)、読書といえば専らクッキングパパしか読まないという看護師さんにおすすめの本を紹介したり、なんだかちょっとおかしいな、幸せだな、と感じられる時間も想像以上にたくさんありました。
患者さんも看護師さんも優しい人しかいません。家族も定期的に面会に来てくれています。私は環境に恵まれている。みんなにありがとうと言いたいです。

何より自分にとって良かったのは、二年以上も放置していた「小説を書く」という行為に再び着手できたことです。徒然なるままに、暇に任せて書いてみました。
既にここに二件アップしております。奇妙な小説ですが、ちょろっとでも読んでもらえたら嬉しいです。

文章を書くことは私の数少ない趣味のうちの一つで、学生時代は文芸部に所属していたり、社会人になってからもいくつか賞に応募してみたりしましたが、最近はすっかりご無沙汰になっていました。
そのくせ街コンに行くたびに、プロフィールカードの「趣味」の欄には「小説を書くこと」と一丁前に記入し続けてきました。理由は引きが良いからです。男性陣も女性陣も、みんな「すごーい」とか「頭良さそう」とか言ってくれるので、私はいつも半笑いで「いやいやいや……」と返していました。
それで終わりです、最悪です。実情が伴っていないせいで引きの良さをまるで活かせていないし、なにより街コンで出会った数多の男女を私は半笑いで欺き続けてきたことになります。懺悔。でも今はこうして「小説を書く」という行為を再開しているので、どうかこれまでのことは水に流してもらいたいものです。

なんか変な願掛けチャレンジをずっとしています。
病室からナースステーションに行くまでの間に、他の患者さんと一度もすれ違わなかったら彼氏ができる。病院食のメニューで、苦手なパプリカと鶏肉の和え物を完食できたら便秘が治る。そういう願掛けをずっとしています。運に左右されるものもあれば、己の努力次第でどうにでもなるものもあるので、基準が定まっていなくて本当に変です。
今日は夕飯を食べたあと、お盆と食器を返却する際に配膳係の看護師さんに「ごちそうさまでした、美味しかったです」と大きな声でお礼を言えたら全ての枝毛がツヤツヤに蘇るといった願を掛けました。ごちそうさまでしたは入院初日から今日までずっと言い続けてきたものの、肝になるのは「美味しかったです」です。あんまり周りに味の感想まで逐一報告している患者さんがいないので、結構恥ずかしいのです。
ですが、私は言いました。小学生時分、給食の時間が何よりも楽しみだったあの頃のピュアなハートを思い出して。

私「ごちそうさまでした、美味しかったです!」
看護師さん「ああ〜、はい」

結果は、ああ〜、はい。でした。
なんかめちゃくちゃ恥ずかしくなって、病棟の廊下で許される限りの速歩きで部屋に戻りました。ピュアの押し売りです。あいさつの魔法のやり逃げとも言えるでしょう。
果たして私は看護師さんに何を求めていたのだろうか。笑顔で「そう、よかった!」なんて返してもらうことを期待していたのだとしたら、それはあまりにも厚かましい精神です。自分の枝毛のために人様を利用しようとして、それはそれはみっともない。
そういうわけで、今後の願掛けは他人の好意を巻き込まないやり方で統一しようと決めました。病棟に入院して早一ヶ月半、日々反省し、学ぶことばかりです。

退院したら松屋のシュクメルリを食べたいと思っていましたが、どうやら直に販売終了になるみたいです。
何か他に、飲食チェーン店のメニューでおすすめの一品があれば教えてください。退院後の楽しみにしますので。

長々と読んでいただき、ありがとうございました。
漫画本としるこサンドの包装紙が鎮座する、ありふれた病床の上から愛を込めて。
※身バレを防ぐため、上述の文章にはほんのりとフェイクを入れています。

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