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技術音痴、XRの今後を考える

ご縁あってお話する機会をもらえた方に、「XRは今後どうなっていくと思うか」と尋ねられた。

先に言っておくと私は技術的なことはほとんど分からない。
企画職時代に「基本情報技術者試験」の参考書をノリで購入したが、二進法のところで丸投げしたレベルである。(ヤバ)
ITパスポートはギリ合格。

そんな私が改めてぼんやり考えた結果、
・XRである理由を自問して人に伝え続けること
・倫理観込みで、創り手の育成に注力すること
さえできるのであれば、巷でやりたいと語られていることはほとんど実現できるんじゃなかろうかと思う。

すでに語り尽くされている部分もあるだろうけど、私が現状思っている、XRのあれこれの話。


XRである理由

XR活用の事例を見ていると、やはり他のツールの例に漏れず
・「XRにしかできないこと」
・「他の手段でもいいけどXRの方がいいもの(=XRじゃなくていいもの)」

がある。

重要なのは前者だけど、ことに「XRにしかできないこと」の例は少なく感じる。
例えば、
・人の命に関わること
・莫大なお金を要すること
・この世には「もう」存在しないものを復活させること
などが、私にとってはそれに当たる。

パイロットの訓練や医師の手術練習のように、人の命を落としかねないこととか、宇宙旅行のように、個人ですぐ数億円出してなんて行けない体験とか、事故で両足を失った子供がスイミングを体験することとか、もう閉館になったテーマパークを復活させることとか。

これらはXRなしではできないことだから、注目もされるし、私みたいな初心者でも手を出してみたくなる。



一方で、今はまだリアルにある他の手段で代替できるものがほとんどだ。ショッピングやアート、カウンセリングや面接も。

「XRじゃなくてもいいもの」は、ユーザーを無理やり既存の手段から引き剥がすのが難しい。

強いて言えば、XRであるメリットを伝えながら「選択肢の一つとして持っておくと○○できるチャンスが増えます」と訴求するくらい。

しかしそうすると次に起こるのは、より安価で使いやすいツールが出てきたときに、一気にそれにユーザーを持っていかれることだとも思う。

かつてコロナ禍初期に注目を浴びた「評価機能付きweb面接システム」の顧客のほとんどが、無料のzoomやGoogle meetに流れてしまったように。


だから、個人的にはいかにして「XRでしかできないこと」を考え続けて、それに沿った空間を作るのかが、誰をターゲットにするにせよ今の段階ではまだ必要なんだと思う。


倫理観込みの、創り手の育成

これも良く言われることだけど、XRはあくまで手段であり、使い方一つで毒にも薬にもなる。

例えばVRについて。
スタンフォード大学教授のジェレミー・ベイレンソンさんは、その著書でVRにおける危険性として「暴力の行動モデリング」「現実逃避」「過度の利用」「注意力の低下」を挙げていた。

VRでは一人称視点の暴力ゲームを作らない。ゲーム開発者は早々にこの結論に至った。
「VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学」より


この辺りのルールや法律もそのうちできてくるのかもしれないけれど、VRについてまだまだ浅い知識の私でさえ、危険性だけはひしひしと感じてしまう。

もっというと、XRを知らない人の脳内では、その危険性だけが異常に独り歩きしている気がする。
実は私の周りにはアンチXRが多いのだけど、そのうち何人が実際に体験をしているのかといえば、その名前すら挙げられないくらいである。

だからこそ、必要なのは先述の「XRにしかできないこと」を伝えて(それも社会的意義があるものを共感を生むストーリー付きで)興味を持ってもらってからまずは体験してもらうことだし、

「XRほど、クリエイターやアーティストの『倫理観』が必要なものはないんじゃなかろうか」と感じてしまう。

どんな危険性があるのか正確に理解し、その対策を講じた空間を作る。

ユーザー側に倫理観を求めるよりはよっぽどマシなのではと思う。



まとめ

「XRは今後どうなっていくと思うか」という問いに対して私は現状、

・XRである理由を自問して人に伝え続けること
・倫理観込みで、創り手の育成に注力すること

さえできれば、巷でやりたいと語られていることはほとんど実現できるのだと思う、と回答したい。


読み返したら「まあそりゃそうだよね」という話かもしれない。

でも前提として、私は生活に関わるもの全てをXRにしなくたっていいと思っている人間だから、
稲刈りをするときの鎌の音や感触とか、藁を干してるときの匂いとか、炊き立ての新米を口に運んだときの甘さとか。
そういうものはまだまだ感じていたいし、リアルな五感をフルで使いたい。

「リアルを良くするためのXR」であってほしいなあというのが、目下私の思いである。


すでに語り尽くされている部分もあるだろうけど、以上が、私が現状思っているVRのあれこれの話。




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森逸崎はまだまだ勉強中ですので、「自分はこう思ってるよ」という方もしいらっしゃればぜひ、メッセージやらでお気軽に教えていただけますと幸いです。

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