アニメやってます。世界にマシュマロを投げ続けたいです。

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ベルリ・ゼナムは「ニュータイプ」を超えられるか?:劇場版『GのレコンギスタⅠ』後編

はじめに「脱ガンダム」を目指す劇場版『Gのレコンギスタ』。 『Gレコ』が本当に『機動戦士ガンダム』を超えられるのためには、『ガンダム』が紡いだ物語を超えなければならない。それはつまり、『ガンダム』に代わる①新しい少年の成長譚と、②新しい未来像を提示するということだ。 そこで、まず1章で、宇野常寛著作『母性のディストピア』を参考に、『機動戦士ガンダム』を「ガンダム」「アムロ」「ニュータイプ」という3つの視点から確認する。 これを踏まえて、2章では、『Gのレコンギスタ』でこ

    • 【雑記】『Gのレコンギスタ』は『ガンダムUC』を否定している

      『Gレコ』関連の記事も3つ目になりました。 今回のテーマは、『Gレコ』は『UC』の否定形として生まれたのではないかという仮説の検証です。 ◇ 『Gレコ』は、監督の前作『∀ガンダム』を土台に作られています。そのため、「宇宙で暮らす人々と、それを知らずに地球で牧歌的生活を営む人々」という構図をはじめ、『Gレコ』は『∀』と共通する設定が多くみられます。 しかし、そこから描かれる物語は真逆と言っていいでしょう。『∀ガンダム』は、宇宙世紀のすべてを否定しながら肯定する終焉の物語

      • このディストピアを、君は生き延びることができるか?:劇場版『GのレコンギスタⅠ』前編

        はじめに11月29日、劇場版『GのレコンギスタⅠ 行け! コア・ファイター』が公開された。 この作品が目指す目標は、「脱ガンダム」である。「Beyond」というプロジェクト名が示す通り、脱ガンダムとは、『機動戦士ガンダム』を超えるという意味だ。 ロボットものに革新を起こし、ジャンルを40年にわたって牽引してきた『ガンダム』を超える。壮大な目標の前に、一度はTV版で挫折したのだが、僕は、この劇場版には、それを成し遂げられるだけの可能性があると思った。 そこで前編では、劇場

        • 世界を操る君と僕と、セカイ系の革命:『天気の子』

          どうもです。 見てきました。天気の子。同時上映のアレで。 いやほんと、新海誠監督の全身全霊が見られる圧倒的な映画でした。こんな映画を、このタイミング、このクオリティ、この規模で提供できるのは新海監督しかいないでしょうし、監督が信じ続けたものを貫き通していると私は思います。 今思えば「世界を変えてしまったんだ」というトレーラーのセリフこそ、この映画、そして新海監督の信念をまとめていた一言でした。 「おかしいな」とは思ってたんです。大の雨好きで知られる新海監督が「晴れ女」

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        ベルリ・ゼナムは「ニュータイプ」を超えられるか?:劇場版『GのレコンギスタⅠ』後編

        • 【雑記】『Gのレコンギスタ』は『ガンダムUC』を否定している

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        • 世界を操る君と僕と、セカイ系の革命:『天気の子』

          湯浅政明監督とヒーローの誕生②:『きみと、波にのれたら』後編

          「泣き虫」のヒーローから託されたバトン:『DEVILMAN -crybaby-』2017年にNetflixでアニメ化された『DEVILMAN -crybaby-』は、ピンポン以上にラディカルな変更が加えられており、物語の着地点も大きく異なります。 時代設定を現在に設定するにあたって、サバトに同性愛者を自然に配置したり、BEAMSやプロのラッパーに依頼したりした点が評価されました(しかも物語に密接に関わります)が、なによりも大きな変更は、人間と悪魔(デーモン)との差異が少ない

          湯浅政明監督とヒーローの誕生②:『きみと、波にのれたら』後編

          湯浅政明監督とヒーローの誕生①:『きみと、波にのれたら』中編

          後半は、『きみと、波にのれたら』のメインテーマである「ヒーロー」について、湯浅監督の過去作を踏まえながら分析します。長くなってしまったので中後編の二つに分けました。 象徴としてのキャラクター湯浅監督のアニメでまずもっとも目を引くのは、独特なパースと色使いでしょう。陰影をつけないフラットでミニマルなデザインに、現実とは異なる不自然な彩色を施し、物理的な価値観を無視して縦横無尽にパースを変えるため、監督の作るアニメは非常に特徴的で、ある種病的でもあります。 アニメーションの本

          湯浅政明監督とヒーローの誕生①:『きみと、波にのれたら』中編

          リア充は爆発しろ、だが『きみ波』は見とけ:『きみと、波にのれたら』前編

          どうもです。 今回は劇場アニメ『きみと、波にのれたら』です。 『マインド・ゲーム』、『四畳半神話大系』の湯浅監督の新作とあって、ギラリと鋭利でポップな作品を予想して見に行ったら、まさかの超王道ラブストーリー。 あまりにまばゆい愛に「リア充云々」というオタク達の僻言もかき消されていくような、爽やかで夏らしいアニメでした。 予想との食い違いから批判する方も見られましたが、個人的には、ストレートな作品の中にもしっかりと湯浅監督らしさとアニメーションの本質が感じられる傑作でし

          リア充は爆発しろ、だが『きみ波』は見とけ:『きみと、波にのれたら』前編

          『海獣の子供』後編:夏と波とモノローグ

          アニメのモノローグ問題前回提示した琉花の問題に加えて、もう1つ僕が気になったのはモノローグについてです。 マンガは絵と文字で表現するものなので、モノローグは登場人物の思考を表すためによく用いられます。一方でアニメは映像媒体なので、動きとセリフで見せるのが基本です。このような媒体の隔たりから、モノローグはマンガや小説原作をアニメ化する際に毎回難しい問題でもあります。 例えば、前期アニメ化したマンガ『約束のネバーランド』は、モノローグを多く活用して登場人物の思考合戦を演出して

          『海獣の子供』後編:夏と波とモノローグ

          『海獣の子供』前編:生命の秘密と、琉花の成長について

          はじめにどうもです。 noteはじめてみました。趣味について書いていけたらと思います。 初回は最近見た映画から、『海獣の子供』についてです。 本当に、2019年は2016年に勝るとも劣らない大豊作じゃないですか? リアルタイムで立ち会えたことがあまりに幸福です。 『海獣の子供』、田中栄子Pが言っている通り、こんなすごい傑作は二度と見れない。映像の中に取り込まれて心の奥深くに刻み付けられたような、壮大で神秘的で恐ろしくて美しい作品でした。 誰も見ることのできない、理解

          『海獣の子供』前編:生命の秘密と、琉花の成長について