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教師の名言・格言  その37    No.043 「10歳の壁」

No.043 「10歳の壁」

教職に就き、働き出したあと教育技術の法則化運動と言うのに出合った。
向山洋一先生が中心となり、全国に広がっていった。
現在は、TOSSという名称に変わっている。
この法則化運動で数多くを学んだ。
その中の一つがこの「10歳の壁」。
小学4年生辺りから、徐々にいろいろな変化が生まれてくる。
逆にこの年齢までに獲得しなければ、のちの年齢になった時に獲得しにくい力がある。
というもの。
大学の教育心理学では、「ギャングエイジ」という言葉は習ったが、この「10歳の壁」は学ばなかった。
一番実感として感じたことは、音読の速さ。
10歳までに音読をがんばってさせることが非常に重要。
速く読めるのも上達が速いというもの。
勤めて6年目に5年生を担任した。
その時、S君と言う音読が苦手な男の子がいた。
つまってばかりで速く読めなかった。
それまで、そんなに音読をしなかったという。
そこで、毎日毎日音読をがんばらせた。
教室で個別に聞くことも多くとった。
このS君、本当に粘り強く毎日毎日音読をがんばった。
その甲斐あって、半年後の10月には周りの子どもと遜色なくスラスラと国語の教科書を読めるようになった。
夏休みもがんばったと言っていた。
これが、低学年からしっかりと音読をしていると3カ月ぐらいでスラスラと読めていたんだろうなあと思った。
計算でも同じことが言えた。
くり上がりのあるたし算やくり下がりのあるひき算の計算をする時、指を使って計算する。
1年生や2年生では、よくみる光景。
毎日10問の問題をさせていくと、2か月ほどで多くの子どもが指を使わずに計算できるようになった。
先ほど述べたS君は、やっぱり時間がかかった。
しかし、3カ月を過ぎると(7月初め)には、結構速く計算ができるようになった。
冒頭の「10歳の壁」を知ってから、その年齢で獲得しておかねばならない力が実際に存在し、その力をできるだけ数多く獲得させることが大切だとつくづく思ったものである。
その後は、音読や計算をできるだけ回数をこなし、継続してさせるようにしている。
毎年確実にできていないのが、残念だが。

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