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「願立剣術物語」を読んでみました。

原文
迷いたる眼をたのみ敵の打つを見てそれに合わさんと計るは雲に印のごとくなり。
まず手前の角を定め稽古の道をそのまま尽くし、かゆき手の及ぶ如く五体流通せしめ心と身と眼とひとしく離れず自由なれば覚えず知らず自然の勝ちあるべし。
その時に随って敵の像を積もりよきほどとにわかに計ること愚の至極なり。

解釈 
敵がどうくるか迷っている眼を頼りにして、敵の動きに合わせようと目論んでいるのは、雲に印をつけようとしているのと同じだ。
まず自分の正中線を意識し、日ごろの稽古の動きそのままに動けば、かゆいところに手が届くように体が滞りなく動き、心と体と目が離れることなく一体となれば、知らず知らずのうちに勝つものである。
その時々で、敵の動きを予想して動くのは愚の骨頂である。

コメント
敵がどんな動きをするか、どんな技を使ってくるかなどわかるはずがない。
そのわかるはずもない動きに合わせようとするのは不可能だ。
しかし、動きの起こりには合わせることができる。
どんな不可思議、奇想天外な技も動き始めは単純なものだ。
一心のその動きの起こりを捉えることが大切だ。
その方法としては自分の正中面に剣を置き、相手との間合いの中央に居るということ。
そこから下がるのも進むのも自由。
あとは剣が判断する。
稽古の時の動きが出てくる。
知らないうちに勝っている。

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