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【感想文】偽装SFと仕事論『天地創造デザイン部』

見終わりましたよ!
デザイナーと名のつく人と一緒に仕事する人は見るべし!

面白い〜。これは2つテーマがあってよくマッチしてると思う〜!
ひとつが「多種多様な動物の知識を満たしてくれる」ふたつめが「デザイナーさんの苦労の描写」ですねー。

あらすじ

世界を作った神様が、動物を作るのは面倒くさくなって下請けに出した。その下請けがデザイン部で、デザイン部の面々が、神様のオーダーに振り回されながらも、動物を作っていくというお話。

動物の話

「高いところの葉っぱを食べられる動物」とかの曖昧なオーダーを、実現するためにデザイン部の面々が試行錯誤を繰り返すんだけど、首を伸ばすと脳に血が行かない、足を伸ばすと水が飲めないので、両方を半分ずつ長くすることで解決→キリン、みたいな感じです。

試作品の動物がバンバンでて、バンバン適応しなくて倒れていくんだけど、適者生存の話をしてるから「進化論」の話に近いんだけど、切り取り方としては「創造論」になってるの面白いよね。

デザインの話

デザインとは見た目のことではなくて解決策のことだ、というのはデザイナーさんは100人が100人理解してることなんだけど、世間一般の非デザイナーは100人に20人も理解してないんだろうなあという苦悩が誰にでもわかるように描かれてると思う。その80人の代表が無邪気なクライアントの神様として描かれてるわけです。

環境という制約があって、空気圧や温度、重力、物質の強度、自重、表面積、栄養、外敵などなどに左右されて、好きな”デザイン”(非デザイナーのいうところの)の動物を自由に作れるわけではないのだけど、そのへんてなぜだか一般の人に意識されにくいのよ。なんか感性とかいう存在しないもので仕事していると思われてるじゃん。

デザイナーさんは縁の下の力持ちですよ。本当に。その辺が表現されててすごい!

まとめと余談

キャラクターとかポップだからとっても見やすくてうまく偽装してるけど、要所要所では硬派なSFの部類だと思います。デザインが環境という制約の解決策というのを描いているから、科学的なアプローチ抜きには話がない立たないからです。もちろんその一方で仕事についても描かれている。

余談ですが、神話ベースで神様出てくるけど姿が描かれない作品って、あたりが多い気がするなー。『よんでますよ、アザゼルさん』とかもそうだと思う。

余談の余談ですが、海外版だと ten-de-bu って呼ばれてたりするみたいですね。なんだろうな日本に暮らす人にとっては『天地創造』は一般名詞なんだけろうけど、キリスト教・ユダヤ教圏の人には『the Creation』とかは旧約聖書の7日間のやつをさす固有名詞なんだろうな。わかんないけど。マンガやアニメの海外版にするときのそういうコントロール って誰が判断してるんだろう。気になるな。


他感想文



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