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【読書(漫画)感想】二月の勝者を読んで塾講師としての感想

『ニ月の勝者』すっかりなんのことだか、お分かりになる方も多いのでは。

そう、中学受験を描いた漫画です。
最新刊が出たので早速買って読みました。

さて、今巻の注目だったのは
今川さんと原くん。
この二つの家は、親がね、ある一定の偏差値以下の学校はねーと渋りまくって、子供の実力を全く客観的に見ないケース。

で、もちろん全落ちですよ、当たり前。
奇跡なんて起きません。
小学生は、解けない問題は解けません。
バッサリ言うけど、ある程度のランク分けされて勉強しちゃうのでなかなか上に上がるのは難しい現実もある。
塾の良し悪し。

全落ちは、心を抉られます。
当たり前よね。まだ12歳なんですよ。

まだまだ親のために頑張るって気持ちがある年頃(全員ではない)。

しかし今川さんは、きちんとお母さんに気持ちをぶつけられたのは良かったですよ。
「お母さんが選んだ学校はもう受けたくない!」泣きながら。全落ちしたから。

原くんは、先生に
「僕がまだ受けられる学校はありますか!」と泣きながら縋ったんです、お母さんはもうテンパっちゃって受験終わりました宣言したところだったんですが。

結局2人とも、ギリギリの夜中前日出願で受けに行く、というところでシーンは終わっています。

そういう意味ではここまで子供の心を追い詰めちゃう親も悪いですけれど、塾もなんとかならなかったのか!と同じ塾講師としては思います。手を替え品を替え、お子さんの合格は必ずどこか取りましょう!ってさせるのがある意味役割の一つでもあるのではないかしら。
全部チャレンジ校という組み合わせ、しかも実力から程遠いところしか受けなかったら、ダメに決まってますやん。

塾によるのかもしれませんね。Sとかですとそこまでセーフティネットは張らないのかも。

なかなかそのあたりの機微も難しいのですね。
親御さんが頑なって漫画では描いてますけど、日々のお子さんの学力面と向き合ってるのは我々塾講師なわけですから。

この漫画は、子供を伸ばす授業という観点は全く描かれていないので(当たり前)、そこじゃなくて子供達の心の動きや、大人の気持ち、そして中学受験の流れを掴むのにとても良いです。

あと、漫画に出てくる子どもたちがやる気があるのが良いですね。

開成受けた2人の友情とかも、戦友って感じ。現実はどうなのかな。今のところ2人ともNGだったからお互い感情が美しく通ってますが。

さて、次巻は、波瀾万丈繰上げ合格祭。
トップ校は、補欠を出さずにいきなり繰り上げてくるのでこの時期の親御さん、携帯電話の音には油断大敵です。

ところで今は開成も、筑駒受かればそっちに行くので繰上げが回るんですよね。

いわゆる三冠と言われるのが、灘、筑駒
開成。
ちなみに私の教え子も三冠達成したことがあります。まぁ幼い頃から算数やら何やら好きでたまらない子でしたが。

今の塾では三冠どころか、うーむむむ。
でも、どこに行ったかじゃ価値は測れないんです。その子にとって素晴らしい母校となったかどうか、どう過ごせたか。そんな環境の一つとして、中高一貫校の私学に進むために受験をする、それは忘れたくないですね。

そのあたりは、この漫画も描けてると思います。学校選びってボリュームゾーンの子たちにとって意外に大変。多いから。人数が。

だから理想を言うと先行逃げ切り型が取れると良いんですけどね。ある程度トップ層維持。学校選べる状態。チャレンジ、実力相応のベストミックス。それでも不合格という文字は辛いものです。

二月だけ勝っても、この先人生は続く。
きっとこの漫画はそこまで見越してのこのタイトルなんでしょうね。


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