見出し画像

【エッセイ】修道女のように生きてゆきたい

「皆さま、修道女はお好きですか?」
と書いておいてなんですが、きっと日本でこんな言葉を放ったことがあるライターは私くらいではないでしょうか?

「一体何を言っているのですか?」と言いたくなるでしょうが、少しお付き合いください。

理想の暮らしってなんだろう?

修道院関係の本たち


30代前半で「エシカルに生きてゆきたい」と思い、本を読み、暮らしの中で実践を重ねた上で、「エシカルに生きる=小さく生きる」という結論に至りました。

小さく生きるってどんなことでしょう?それは、半径数キロのなかで、衣食住の全てを賄い、誰かの役に立って、自分の仕事を全うする暮らし。ということではないかと思います。

コロナ禍で移動が制限された時、地球の空気が澄んだ。という話を聞いたことはありませんか?つまり、人々があっちゃこっちゃと移動しなければ、空気が綺麗になる。わぁ、シンプル〜。

だからと言って、誰もが田舎に定住できるわけではありません。私も過去には憧れましたが、今はその時期ではないと、現在もにわか都会のすみっこ暮らしです。

その中でふと思い立ったのが「修道女みたいに暮らす」ということ。

修道女とは、教会に仕えるシスターのことです。あの、白と黒のお洋服に頭からほっかむり(ではない。正式にはトックと呼ばれます)を被り、化粧っけのない顔で微笑む(の限りでもないでしょうが)人たちの暮らしは、教会の中で全てが完結します。

修道院の中に畑があり、自給自足に近い食生活を送りながら、修道服は自分で仕立て、ほころびは自分たちで繕い、伝統のあるレシピでお菓子や石鹸やジャム。ロザリオやメダイやお化粧品や薬草を煎じた薬などを作り、お裾分け程度で販売し、教会の運営費にあてます。

1日は3時30分にはじまり(土日の私の起床時間と同じ……)、夜課と呼ばれる読書・聖なる読書・沈黙の祈り・賛課(朝の祈り)・ミサ・朝食・3時課(祈り)・労働・6時課(祈り)・昼食・9時課(祈り)・労働・晩課(祈り)・夕食・終課(1日の終わりの祈り)・就寝(20時30分)という具合で進行してゆきます。

1日7回の祈りの合間に、労働と食事と読書がある。あぁ、シンプル・イズ・ベスト!教会に向かって叫びたい。いや、祈っていただきたい。

想像してみてください。石畳の小さな部屋に、持ち物の全てを仕舞い込んだチェスト。壁にはマリア様の画と小さな十字架。窓辺のテーブルには真っ白のテーブルクロスがかけられてあり、燭台にのった手作りの蜜蝋ろうそくに炎が灯されています。シンプルな修道服を身に纏った修道女が静かに本を読んでいる。窓辺には小さな三色すみれの花が、古い小瓶にいけてあります。

食事は、修道院内の畑で採れた野菜を、シンプルに調理したものを静かにいただく。食器は古くから伝わるアンティークで、何百年も前のもの。リネン類ももう何年前のものか分からないほどです。

あぁ、なんてシンプルでエシカルな暮らし。まさしく私の理想の暮らしです。こんな暮らしに強烈に憧れており、50代には辿り着きたいと思っている次第であります。あと7年。頑張れ私。


何からはじめる?


そんな理想の暮らしを実現するにあたり、私がまずはじめたのは、クローゼットの大整理。400着から40着にしましたとさ(※詳しくは拙著『暮らしは楽しくエシカルに。』PR)。この時に、どんな人になりたいか?を明確に思い描き、服を整理してゆきました。

私自身の理想の人に出てきたのは
・古き良き物語に出てくる(赤毛のアンや大草原の小さな家のローラ)主人公
・魔女
・ターシャ・テューダー
・修道女

でした。魔女と修道女は同じ鍋に入れて煮てはいけませんが、まぁイメージとしてはシンプルなワンピース。または長いスカートにエプロン。といった感じでしょうか。

ということは、これ以外の服は必然的に対象外。
子どもたちの学校や、野球やスポーツの時の洋服はまた別ですが、クローゼットの基本はシンプルな長いワンピース。になりました。

まずは、洋服を自分のなりたい像に合わせるって、女性ならではの楽しみでもありますね。

そこから、10年以上かけてモノを減らしてゆきました。徹底して買わない。使い切る。古くなっても、次の用途を考える。次の貰い手を見つける。「ゴミ箱に捨てる」は最後の手段。これらは、エシカルな断捨離の基本中の基本です。

そうして43歳の今、5人家族にしては随分モノが少ない家になったと思います(実際に編集者さんなどに、かなりびっくりされる家のようです)。ぶら下げる。とか、磁石で宙に浮かす。とかする必要があるほど、モノを持たないのは、エシカルに暮らす上で鉄則。私はどちらかというと、便利に収納するよりも、美しくモノを仕舞いたい。モノに敬意をはらいたいのです。


人生後半の挑戦


うるう年・おまけの日の収穫


それはもうひとえに、畑でございます。ハーブは育てていて、そんなハーブから日常の化粧品を作ったり、お茶を作ったり、自分で自分を手当てする術は身につけつつありますが、畑はといえば、登場するのは芋掘りのみ。

いやぁ、畑ってすごいんです!じいじが。
大変なんです!じいじが。
農薬を使っていないから、虫や動物との戦いなんです!じいじが。

売られている野菜なんて安いくらいです。そしてやっぱり、本当に美味しい。土は神かと思うほど、ちゃんとした味がする野菜なんです。いや、神はじいじか?

畑ができたらですよ、我が「マイ・ライフ修道女計画」は80%ほど完成に至るのではないでしょうか?

あとは、私に敬虔な精神が宿るのみ……。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?