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📚2024.2 教育は遺伝に勝てるか? #5

教育は遺伝に勝てるか?(安藤寿康 朝日新書)

"あらゆる能力は遺伝的である"
親や家庭によって与えられた学習するための環境の影響があらわれているという意味で、知能や学業成績には親の出番と責任は少なくないといえます。それでもやはり遺伝的要因は20%から多い場合は50%を超えることもあり、無視できません。⠀

子どもの学力定評に統計的に有意にかかわっていることがわかったのは、次の四つの項目⠀
①読み聞かせをしたり読書の機会を与えてあげること⠀
②親が子どもに「勉強をしなさい」と言わないこと⠀
③子どもをたたいたりつねったりけったりしないこと⠀
④子どもを自分の言いつけ通りに従わせること⠀

"教育環境を選ぶ"⠀
親がどのような子育てをしようと、子どもはその中から、その子の遺伝的素質を通して取り入れられるものを取り入れ、そうでないものには距離をおいて、その子自身の心で自分の人生を築き上げている。⠀

"そもそも、子どもにとって親とは?"
そもそも自分の遺伝子にぴったり合った環境に出会うことなど理論的に絶対にあり得ないのです。なぜならこれまで説明してきたように、一人ひとりの遺伝子の組み合わせは、古今東西誰一人として同じものはない。⠀
子どもの遺伝的素質に合った教育環境や職業を選ぶにはどうしたらいいでしょうとよく質問されるのですが、それは「素質に合う」という状態がどこかに実在すると考えているから発せられる質問でしょう。しかしそんなことはいつまでたっても絶対に起こらないのです。生命体は常に環境との間にズレをもちながら、そのズレを少しでも小さくしようと認識を変えたりし続けます。⠀

最近は学校でも、一人ひとりの子どもに「何ものかになること」を求めるようになってきました。これは諸刃の剣だと思っています。まず学校のような、ともすれば制度の中で形式的になりかねない環境で、そんなことをしても、素直に自分の「何ものかになる種」が芽をふかせるほど、遺伝的個性、遺伝的才能は強いものではないのです。⠀

そもそも個性的であること、何らかの才能を発揮すること、志をもって人生を貫くことをよかれと考えること自体が、一時の流行にすぎません。ボトムラインは、まず生き抜くことです。それすら大事業です。個性や才能や志は、その人の時代と環境で見つかる人もいれば見つからない人もいる。それは遺伝と環境の条件の偶然が生み出す必然です。⠀

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タイトルの「教育は遺伝に勝てるか?」の問に対して、⠀
Yesとも、Noとも取れる微妙な一文ばかりを抜粋してしまったけど ...⠀
要約すると、もちろん遺伝するが、そればかりではなく、⠀
その子を取り巻く環境・非共有環境を影響も大きく受けている。⠀
また遺伝が強くでる分野と、そうでない分野があり、一概には言えない。⠀
遺伝が勝つこともあるし、勝たないこともある、
というようなかなり曖昧な答え ...⠀

なんだけれど、⠀

おそらく著者も、そして読者である私自身も、⠀
いちばん大切だと感じるのは、⠀
最後の「そもそも子どもにとって親とは?」の抜粋文だと思う。⠀

私自身が、この年になっても、年齢や職業、性別を取り除けば、⠀
何ものにもなりえていないことに、常に焦っていた。⠀
けれど、誰もが「何ものか」になれるほど遺伝的個性や才能は強くないと。⠀
そして、そもそも与えられた命・人生を全うし生き抜くこと自体が
大事業であると。⠀

敷いていえば、私は、
本が好きで、読むことが好きで、書くことも話すことも好きで、⠀
大人になっても趣味で、それを続けていて、⠀
そんな能動的な「好き」が1つでもあって、なんて幸せなことなんだろう、
と思う。⠀

だから、子どもがうまれたら、⠀
期待する気持ちも、応援する気持ちも、一旦横において、⠀

・まず生き抜くこと。⠀
・無理に「何もの」かになろうとしなくていいこと。⠀
・能動的な「好き」を大切にしてほしいこと。⠀

この3つをしっかりと伝えたいと思う。⠀
____________________⠀

なんだかここ最近狂ったように教育論の本ばかり読んでいたけれど、⠀
どれもあまりしっくりこなくて。⠀
でもこれは科学的データに基づいて、エビデンスありきで中立的だし、⠀
のわりに最後のテーマは「心」が感じられて、⠀
すごく納得しながら読むことができた。⠀自分の中でストンと理解できた。⠀
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