妊娠判定陰性確定後、親と上司以外に報告しないといけない人が一人いました。
ほぼ毎週会っている友人で、昨年第一子を産んだばかり。私たちが赤ちゃんを欲しがっていることを前々からよく知っていましたし、体外受精をして妊娠した友達が何人かいて、気軽に不妊治療の話をしている相手です。

採卵していることは伝えていましたが、このたび、移植については知らせるべきではなかったな、と実感しました。

自転車乗るな事件

移植旅行から帰ってきて、TWW（判定日までの２週間）中、その子と偶然すれ違ったときのこと。
いつも通り自転車に乗っている私を見るなり「自転車なんてだめじゃない！」とびっくり顔。「お姫様みたいにしてなきゃ（安静にしてろの意味）♪」と。

自身の妊娠中はもしかしたら高リスクで医師に止められていたのかどうだか知りませんが、確かに「自転車に乗っちゃだめって言われてるの」と言っていたのはおぼえています。ただ、一般的には妊婦の自転車も運動も禁じられていない。

それはまあどうでもいいとして、嫌だったのが、これをたまたまそこにいた、私も知っている彼女の友人の男性にもはっきり聞こえる声で言われたこと。正確にはそこに第三者がいるのを意識せず発言した感じ。
婦人科系を特定する内容ではなかったとはいえ、何であっても個人的な話なので、こういうときにとっさに匂わすような言葉が口に出てきてしまっては意味がない。

妊娠判定も出ていないのに、会うたび、または知らないところで「妊婦」扱いしてもらっては困るんだよね。

移植失敗を報告すると泣かれた事件

そこで妊婦扱いをやめてもらおうと、生理がきてしまってすぐに知らせることにしました。

すると、事実を聞くなり、大泣きを始めたのです。

「こんなの不公平よ！」

私も、とまどいつつ、つられてもらい泣き。
というか、泣く必要がないのに強制的に泣くという儀式に参加させられたともいえるかもしれません。

私は夫や実の親といったごく近親の人前以外では、あまり喜怒哀楽をあらわにしない性格です。
彼女は出身国のお国柄か知りませんが、オープンに感情表現する人だというのはわかっているし、それが彼女の魅力であるともいえます。

そして私を大事な友達と考えてくれているからこその嘆きよう、というのもよーくわかります。
私の悲しみを自分ごとのように感じてくれたともいえる。
けど、私たちは違う人間だし、私の悲しみ＝彼女がそこで想像し投影した悲しみではない。
そこにすでにすれ違っているというか、感情をシンクロできなかった。

私の代わりに泣いてくれたともいえる。
けど、泣くという感情のカタルシスを眼の前で代行されても、私自身はちっともすっきりしない。
本人じゃないのにそんなに悲しまれても、ぶっちゃけ誰も得しないんだわ。

ふつうなら、女性と女性は共感しあって友情を育みます。
恋愛相談だったらこれでも全然良かったのかもしれません。
でも、妊活は全然違った。
少なくとも、私の取り組み方、感じ方は違う。

実際、夫と私の「喪」は早々に明け始めていた。
私たちの"Grieving"（嘆くプロセス）は終わったんだよね。
気持ちを切り替えて前に進もうとしているのだから、もう乗り越えた苦しみをリピートさせないでほしい。

トドメの一言

それだけでもおなかいっぱいだったのですが、続けて私を慰めようとかけてくれた言葉が追い打ちとなりました。
「あなたのことは、こんなに勇敢な人がいるってみんなに自慢してるんだから」

英語はI'm proud of you. (あなたを誇らしく思う）的な褒め言葉を照れもせず使う言語で、私たちは英語で会話しているので、それ系の言葉が出ても別に
こそばゆくも何ともありません。

ただ、人に誰かの話をするときに、どこの国の人で…という説明を加えることはよくあります。

以上を合わせると、私の知らないところで、彼女の話の種になっている可能性がある。不妊治療している日本人がいるっていう。

世間は狭い。個人を特定するようなことを人に言いふらさないでほしい。

不妊治療と友人との距離

ことわっておきますが、この友人はめちゃくちゃいい人です。基本、知的だし、すばらしい人柄で、彼女を慕う友人がたくさんいると思われます。
が、時々論理的でない混乱した反応や、よく考えずに感情的な反応をするんです。今回みたいに。
彼女が間違っているとかいうことではなく、文化の違いというしかありません。
ここまで感性が違う（と思われる行動が見られる）人だと、説明してもわかりあえるか確かでないし、そこに時間や心を割いている余裕もありません。

が、今後また移植するたびTWW中には妊婦扱いされ、妊娠しなければ自分ごとのように悲しまれるのはぶっちゃけありがた迷惑。
私の（いい）話を知らないところでされるのは止められないけど、もうこの人に妊活の進捗報告をするのはやめよう。
物理的に距離が近いからこそ、不妊治療のことを伝えるのは慎重になったほうがいいと感じました。

逆に、めったに会わない友人、遠く離れている人に言うのはむしろOKなのかもしれない。
近くにいると、顔を合わせて会話しなければいけないときがあり、来週何する、海外行くんだ、何しに行くの…といったやりとりが不可避なことがありますが、Lineでしか話さない相手なら、そんなことありませんから。

それこそ、匿名のフォーラムやスレッドでかなり踏み込んだ相談をしたり、ここnoteで妊活の浮き沈みを赤裸々に書いていますしね。

リア友に不妊治療の話をするなということではありません。
その人との物理的距離と性格を考えて慎重に決めましょう。