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ブルーピリオドを読んでアートに興味を持った私が海外美大院生になる話

私はこの9月からニューヨーク大学のデジタルアートを専攻する修士プログラム(通称ITP)に入学します。

実はアートを学ぶために、大学院受験をしようと決めたのは2021年の10月。その時に見た志望校の受験締め切りは12月4日、準備期間が2ヶ月しかありませんでした。

社会人として働いていながら、2ヶ月で受験準備は無理だろう、最初は私もそう思って諦めてました。
でもその中で覚悟を決めて受験し合格するまでを書いてみます。

私は現在住んでいるところがアメリカでラッキーなこともありますが、アート畑じゃないところから2ヶ月の準備期間での受験はあまりいないと思うので海外大学院を目指す方の参考になれば幸いです。

アートが苦手

いつの頃からかずっとアートが苦手だと思っていました。
多分小学校の頃に、あさがお観察日記の絵が友達よりほめられなかったとか、うまく書けたと思った絵があまりいい評価を受けなかったとかそういう小さいことの積み重ねでいつの間にか絵が苦手、自分には無理と思い込んでいました。
絵が苦手なことで美術も苦手、自分には無理と思い込み、選択授業でも美術は取らずに技術を選択したり、デザインやアートに興味があっても、自分は鑑賞者側で、自分がやることは向いてないと思っていました。

ブルーピリオドとの出会い

社会人になりアートは好きでも見る専門と割り切った生活をしていました。そんな中でブルーピリオドという漫画に出会います。


世渡り上手な努力型ヤンキーが絵を描く悦びに目覚める! 絵を描かない人にも刺さる熱くて泣ける美大受験物語!

https://afternoon.kodansha.co.jp/c/blueperiod.html


もうとにかく主人公の矢虎に感情移入してしまう&名言のオンパレードでとても心が熱くなります。美術に詳しくなくても楽しめるのでぜひ読んで欲しいです。アニメ化もされています。

https://alu.jp/series/ブルーピリオド/crop/rRt03QCZ78s2CnlJgXdy

大好きなシーンです。この漫画を読んでから、沸々と自分の中で、私も作る側になりたい!と思い始めます。

コーチングで気づくアートの呪い

アートに興味がある、作ってみたいとは思っているけど、忙しい毎日、アートは苦手だし。やりたいけど無理だな〜というくらいに思っていました。
しかし個人的で利用しているコーチングの中で、自分の「アートが苦手」という思いは自分自身にかけている「呪い」と気づく瞬間がありました。
自分自身が苦手で無理と思っているだけ、そもそも自分が書いた絵が数回他人に認められなかっただけ。
ってかそもそもアートって自己表現だよな…他人関係ないよな…
というところから、ずっとやってみたいと思っていたことに自分自身の思い込みでトライしないのは勿体無いな、と思うようになりました。

アートを勉強したいけど、何からはじめればいいかわからない…
誰かに聞いてみようと思いFacebookに投稿。

めちゃくちゃめちゃくちゃ絵が下手で描くことに苦手意識あるんですが、アートに興味ありすぎて、いつかニューヨークで個展開きたいので誰かおすすめのアートスクールorアートの先生教えてください!!!

Posted by 高木 里穂 on Sunday, October 10, 2021


スプツニ子さんのコメントからParsonsの社会人コースを知りました。
そして Webサイトを見てみるとめちゃくちゃ面白そう…!最初はまずは絵画教室なのかな〜とか思っていたので、大学という選択肢がなかったのですが、むしろもうガッツリ勉強したい…と思うようになりました。
他にもあるかなと思いこの中島さち子さんがニューヨーク大学 Tisch School of the Arts の Interactive Telecommunications Program(通称ITP)へ留学した記事を見つけました。

楽しそうすぎる!もうめっちゃやりたい!
とテンションがマックスになったところで、ITの募集要項を何気なく見ると、"Apply Now"と書いてありました。

え、受験できる…という予想外の選択肢を見つけた後に、受験締め切りが12/4であることを知りました。


その日は10月20日。12月…無理やん…って普通に思いました。その時受験に何が必要かすらも分かってないそこから準備は無理でしょ…と思ってました。

海外大学院受験について調べると1年は必要…というページを見かけ絶望し、来年受けるかーと思って過ごしていたのですが、どうしてもモヤモヤする毎日。

やってみてないのに無理ってなぜ来年受けるって決めつけてるんだろうっていう気持ちと、普通に仕事もしているし2ヶ月ってどう考えても無理でしょという思いで揺れていました。

どうしてもモヤモヤがはれない…一刻も早くやってみたいって気持ちが離れない。
その状態が3日くらい続き『とりあえず残り期間やれることやって出願しよう』と覚悟を決めました。

パートナーに相談した時に、びっくりしながらも否定せずに応援してもらえたことはすごく励みになりました。ありがとう!

そこからはフリーランスでしていた仕事を2ヶ月間ほぼお休みさせていただいて(本当にわがままを聞いてくださりありがとうございます)準備に励みました。

大学院受験準備

私の大学院受験に必要なものは

  • Personal Statement(志望理由書みたいなもの)

  • ポートフォリオ

  • 履歴書

  • 英語のスコア

  • 成績証明書

  • 推薦書

  • 2分間のビデオ

です。ここからどうやって準備したのかを書いていきます。
海外美大に受験した知り合いも周りにおらず何から始めたらいいのかわからない…状態からのスタートでした。

Personal Statement

海外大学院にはStatementが一番大事!と参考にしたnoteに書かれていたので一番初めに取り組みました。Statementはいわゆる「志望動機」です。
なぜその大学がいいのか、自分はその大学で何をしたいのか?などを記述します。

時間がなかったので、自分が大事にしていること、やりたいことを日本語で書いてDeepLで全部翻訳、その後Grammarlyに文法や文脈のおかしなところを直してもらい、自分で読み直して違和感のあるところを直す。というITに頼りまくって下書きを作りました。

その後、英語圏の友達に見てもらい構成がStatementっぽくないと言われ、Statementっぽい構成があるんだなと思い修正し、文書校正サービスを利用しました。

https://www.topadmit.com/jp

TOP Admitの担当者はとても良い方で、構成や文法以外にも、内容自体の指摘もしてくれました。その指摘のおかげで半分以上書き直しましたが、前のものよりとても良くなったのでよかったです。おすすめです。

推薦書&成績証明書


推薦書は大学の時にお世話になった教授と先生にお願いしました。(短い時間の中で本当にありがとうございます)
成績証明書は、私の大学(奈良女子大学)は卒業生の成績証明書の発行は、郵便でしか受け付けておらず両親にお願いして発行して郵送してもらいました。学校によってはネットで発行したり郵送したりできるそうなので、私の大学もこういう手続き簡単になってほしいなあ…と思ったりしました。

英語のスコア

正直英語の勉強が一番きつかったです。
大体の大学は、英語が母国語でない場合は、英語のテスト (TOEFL,IELTS, Duolingo English Test等) のスコアの提出が必要です。

私が志望する学部のサイトには、必要な点数は書いていませんが、類似する学部のサイトを見ると必要なスコアはIELTS 7.0と書いてありました。

一番最初に受けたIELTSのテストが5.5で、いくつかのWebサイトには大体半年で0.5上がる、という記述を見て絶望していました。
そこから片っ端から自分が行けそうなIELTSのテストを申し込みまくり(受験料高くてきつかった)参考書も買いまくって勉強してましたが、IELTSはwriting, listening, reading,speakingと勉強することが多く時間も足りず…
絶望している時に、応募要項をよくよく見直してみるとコロナのためDuolingo English Testというものが利用できると書いてあることに気づきました。
調べてみると、1時間で家から受験可能。1ヶ月に2回受けられると書いてあり、これしかないと思いDuolingo English Testの受験対策に切り替えました(IELTSの受験料と参考書の痛手は大きかったですがなりふり構ってられません)

そこからも0からの勉強だったので大変でした。Duolingo English Test勉強については以下の記事にまとめています。

英語の点数は全然上がらなくて本当に一番辛かったです…
受験期限を考えると2回しかテストを受けれないわかっていたのでとても緊張しました。1回目は自分の実力と必要な点数の差を知るために早めに受験。90点くらいで25点ほど足りてないことに落ち込みました…
2回目はギリギリまで勉強して期限ギリギリに受けました。手応えは全くなく、特にListeningしたことに対してSpeakingする課題がまず何言ってるのかわからなくて適当に答えてしまったので受けた直後から落ち込んでいました。
そうするとDuolingoから、聞いたことに対して答えてない(何言ってるのか分かってないから当然といえば当然)を理由に、もう一度テスト受け直せというメールがきて、恥ずかしながらもラッキーでした。
受け直しでなんとか115点というIELTS7.0相当のスコアが取れてよかったです。

ポートフォリオ


恥ずかしながら最初はアートの大学なんだからなんらかの作品を0から用意しないといけない…0から作らないと…と思い込んでいて焦りしかなかったです。
しかし他の受験した方のポートフォリオを拝見していると自分が今まで関わったプロジェクトやサービスなどをアピールすれば良いことを知り、自分のやってきたプロダクトやRails Girlsなどのコミュニティ活動についてまとめたポートフォリオを作成しました。

奨学金・お金問題

受験当時30歳で、奨学金には年齢の制限があったり、そもそも急すぎて時間がなかったため奨学金は諦めてました。
お金のことは考えるとネガティブになってしまい意欲が薄れてしまうので授業料とかは受かった後にどうにか稼ぐしかない…くらいの覚悟を決めて考えないようにしてました。(楽観的すぎる)
結果としては、授業料50%免除の奨学金をいただけましたが学費が高すぎて
お金が足りてないです笑
良いお仕事あれば紹介してください。

2分間のビデオ

私の大学では、自己紹介と大学に入り将来したいと思っている、関心のあるプロジェクトについて語るビデオも必要でした。
これはパートナーにとってもらったのですが、緊張したりうまく暗記ができず真面目に100回くらい撮り直しました。

結局メンタルが大事

時間がない、いろんな点でネガティブになることが多かったです。
アートの呪いも残っていてふとした時に、私にアートができるわけない、やっても無駄という声がよぎることが多くありました。
満腹がわからなくなったり夜にどうしてもチョコを食べる手が止まらなくて泣きながらチョコ食べてたこともありました笑
でも、瞑想をしたり、卒業生の方に話を聞いてモチベーションを高めたり、いろんな方法で乗り切りました。
瞑想は本当にネガティブになった自分をフラットに戻すことができてとてもよかったです。Netflixのこの番組はその日の気分に合わせて5分から瞑想できるのでおすすめです。

まとめ

アートが苦手と思っているところから、なんとか2ヶ月で大学院出願し、合格することができました。決めるまではやらない理由を探し続け、覚悟を決めてからはやり方が見えてくる、というのは本当だなと実感しました。
やれることをやる人生ではなく、やりたいことをやる人生にしていくためにこれからも決断、チャレンジし続けていきたいと思います!!!

参考にしたnote


このnoteの皆さんには感謝してもしきれないほど参考にさせてもらいました…!またnoteだけではなく、zoomでお話をさせていただき本当に参考になりました。本当にありがとうございます😭
こういう恩はPay it forwardかなと思うので、もし同じ境遇の方がいればTwitterでDMいただけると相談にのります!


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