誤字を愛でる③ ミョウガに見る日本語の地層
店頭でミョウガに「明姜」と表示がついているのを見た。
「茗荷」という漢字は知っているけれど、この表記を見るのは初めてだ。「ミョウガ」と読むのだろうけど...
後でネットで調べてみたら、やはりこの書き方は存在するらしい。芥川龍之介の小説でこの表記が使われているようだ。
中国語の文章もいくつか出てくるので、中国でも使われている言葉のようだが、私は中国語ができないので、中国語で私たちの食べている同じ「ミョウガ」を指しているのかどうかはわからなかった。
ミョウガといえば、数年前、こんなことがあった。
地元の農家が出品している野菜のコーナーで、ミョウガのパックに色々な表記がされているのを発見した。
それぞれの出品者が手書きで書いていたのは、下の三通りだった。
・ミョウガ
・メウガ
・ミャウガ
さあ、どれが正しいでしょう?
ミョウガは、まあ、普通だけど、メウガ、ミャウガって何だ。
メウガ...もしかして昔「テフテフ」を「チョウチョウ」と発音していたような、あれと同じかしら?
調べてみたら、どうもそうらしいのだ。「めう」は「ミョー」と発音するらしい。ミャウガというのも、どうやら存在する表記らしいのだ。
高齢化が進む田舎の町である。ボールペンで「メウガ」や「ミャウガ」と書いたのは、ご年配の方々だったのだろうか。子どもの頃、こんな表記を目にして育ったのだろうか。
誤字だと思っても、誤字ではなかったりする。
店頭のミョウガの表記一つに、日本語の地層が何層にも重なって見えてくる。言葉の世界は味わい深い。
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