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売り物ブギ/ダウンタウンブギウギバンド Urimono Boogie / Downtown Boogie Woogie Band

小学校5年から6年になる春休みに家族でスキーに行った。
N県M市の親戚の家から車で出かけてO町のスキー場に着いた。
父親がN県の出身だったこともあって毎年スキーをしていたが、
当時S県の自分の周りにはスキーをやる人はもちろんいなかった。
少し自慢もあって俺はスキーが好きだった。
その日も調子良く滑っていたのだが、
「もう日も傾いてきたのでそろそろ帰るぞ」と父親が言うのを遮って
「もう一本だけ滑っていい?」
「もう帰らないと」
「いいじゃん、もう一回だけ」
「もうしょうがないなあ」
「やったー」
ロープで上まで行き最後の一本を滑っていたら途中に大きな穴が空いていてそこにズボッとはまり込んだ。

足をゴキっと捻ったが寒さで何も感じない。

見てみるとスネがおかしな角度に曲がっている。

「おとうさーん」下で見ている父親にストックを振り回して助けを求める。
「動けないよー」
最初は笑っていたが、いつまでも起き上がらない俺を見て異変を察知した父親がゲレンデを登ってくる。
俺の足を見るなり、「ちょっと待て、人を呼んでくる」
パトロールの人を連れてきてくれた。
オレンジ色の救助用ソリ?に初めて乗せられた。

医者に連れて行ってもらったら左足のスネの骨2本とも複雑骨折だという。
応急処置をしたその日の夜は痛くて眠れなかった。

(父親の言うことを聞かなかったからだ)と反省した。

母親が痛い痛いと泣く俺の手を一晩中握っていてくれた。

翌日実家に帰って改めて病院に行き、1ヶ月入院することになった。

隣のベッドにいた人が東北のA県からバイクでS県まできて交通事故にあったというI田さんというお兄さんだった。
10歳ぐらい年上だったのかな。
そのI田さんが退院するときに俺にダウンタウンブギウギバンドのカセットをくれた。
そこには大ヒットした「港のヨーコヨコハマヨコスカ」と一緒に「売り物ブギ」と言う曲が入っていた。
今思えば笠置シズ子の「買い物ブギ」のアンサーソング的なものだと思う。
山の手のお嬢様が没落してお金が欲しいから、あるものなんでも売っちゃえって曲なんだが、「シュミーズ、ブラジャー、ガーターとパンティ」と言う歌詞が出てくる。
「なんちゅう曲だ、エッチな」と思ったが、そこは悲しいかな田舎の「いたいけな」小学生なので「ガーター」が分からない笑
この並びだからエッチなものだというのは確実。
う〜む、何だろう?

結局それが何か分かるのは、ランナウエイズの「チェリーボム」まで、
もう2年ほどの年月が必要だった。

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