見出し画像

珍しい脳の病気で入院(急性期病院編その1)

乳がんの治療が終わって5年後。
 
今度は、脳静脈洞血栓症という脳の病気にかかってしまいました。
 
これは、珍しい病気で症例が少なく、学術論文はあっても、闘病記録はほとんどありません。

そのため、患者の立場で自分の経験や思ったことを、このブログを通して紹介したいと思います。
 
 
 
私は、急性期病院で脳の治療を受け、それからリハビリテーション病院に転院し、職業訓練施設を経て復職しました。
 
急性期病院は、重症度の高い病気やケガを治療するための病院です。
 
今回のブログでは、急性期病院での経験を紹介したいと思います。
 
 
 
今から6年近く前、頭痛がひどいので市中の脳専門の病院に行きました。
 
その時は単なる頭痛と診断され、筋肉を和らげる薬とロキソニンを渡されて様子をみることにしました。
 
しかし、さらに頭痛はひどくなるばかりで、とうとう意識がなくなり救急車で病院に運ばれました。
 
長い間頭痛を我慢していたせいか、血栓で閉塞された範囲が広く、血液を溶かす薬だけでは間に合わず手術を受けなければなりませんでした。
 
この病気にかかると静脈洞の中に血栓が作られてしまい、脳の外に血液が出ていかなくなるため、脳内の圧力が高くなって頭痛が生じてしまうのだそうです。
 
 具体的に私が受けた手術は、脚の付け根の動脈からカテーテルを入れ、レントゲンで透視しながら脳の静脈洞閉塞部までカテーテルを送り、血栓を搔き出すというものでした。
 


手術が終わって起こされると、ドクターがにっこりしながら「旦那さんが心配で泣いていましたよ。話しかけてくださいね。」とおっしゃいました。
 
それを聞いて、私は泣き笑いをしながら相方の手を握りました。相方は安心したのか泣いてしまいました。
 
病名の特定に尽力をされたこのドクターは、執刀はされませんでしたが、全国から患者さんが押し寄せるほどの名医でした。

本当に人徳のある素晴らしいドクターで、病名特定までに時間がかかって麻痺が生じたことについて、「本当に申し訳ない」とおっしゃってくださり感動しました。
 
 
 
手術後は、血栓を溶かすため点滴にずっと繋がれていなければなりませんでした。

この血栓がなかなか溶けず、退院できるまで1か月半程度かかりました。
 
乳がんの治療で左脇のリンパ節を切除していたため、リンパ浮腫を懸念して左腕の血管には点滴などの針を刺せず、右腕だけに刺されました。
 
検査や点滴が多かったので、針を刺せるところが少なくなり、何度も何度もやり直しでした。

看護師さんも申し訳なさそうで、それをみている私自身もつらかったです。

血管に針を刺すとその部分がこぶになって、針を刺せなくなるそうです。

ずっと点滴がされていたので、その部分も痛かったです。
 
 
 
私は、退院したら、また山に行きたかったので、ベッドの上で太ももに力を入れてみたり、軽くスクワットをしました。
 
 それなのに、です。
 
点滴が外れた後、階段を2,3階ほど上り下りしてみたら、なんと翌日筋肉痛になってしまいました。

筋肉は動かさないとすぐ落ちる、と聞いていましたが本当でした。
 
 
 
入院中は、病気の特定、病気の原因究明、血栓の残り具合の確認のため、CT、MRI、放射線診断、胃カメラ、大腸検診、血液検査など、ありとあらゆる検査を受けました。
 
意識がある中、脚の付け根の動脈から脳にカテーテルを入れ、脳の状態を確認するために造影剤を注入します。
 
造影剤注入のペースが速くて気持ち悪くなります。
 
検査後は、カテーテルを入れた動脈からの出血を防ぐため不自然な状態できつくテーピングでぐるぐる巻きにされました。

肩が痛すぎる状態で6時間も動かしてもらえませんでした。
 
大腸の検査の器具挿入時は、痛くて死ぬかと思いました。(大腸がん検診を受けるなら麻酔をかけてもらった方がよいです)。
 
どの検査もかなり辛かったですが、病気の原因はわかりませんでした。
 
 
 
手術が成功したといっても、頭痛はなくなりませんでした。

脳神経が死んでしまうと、四肢の麻痺、言語障害などが起こると言われています。

私の場合は、頭痛、右手の麻痺、右脚のしびれ、左手の麻痺、言語障害といった症状がでました。
 
言葉が出てこない、職場の人の顔は出てくるのに名前が出てこない、自分の名前は何とかカタカナで書ける、でも漢字が書けない、引き算ができない。
 
そんな状態でしたので、検査と並行して、社会復帰のためのリハビリを受けなければなりませんでした。
 
 

急性期病院での治療が終わると、リハビリテーション病院などに転院することになります。
 
リハビリテーション病院には、高齢の方が多い病院、社会人が多い病院などがあります。
 
自宅からの通いやすさは重要なファクターですが、病院の特性を踏まえて転院先を決めるとよいと思います。