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[仲間意識]つり橋わたれ

「つり橋わたれ」は小学校の教科書にのっていた話だ。

都会から田舎へやってきた転校生が
なかなか馴染めずいる。
「友達になりたくばこの橋をわたってみせろ。」
と村の子達に言われる。
恐怖と心理的葛藤に打ち勝ち、見事に渡りきった。
その一部始終を眺めていた村の子達は本当に友達になろうと胸を開いた。

そんな話だったと思う。

秘密結社の入会儀式みたいだ。

私にとっての「つり橋」はなんだろうと思い出してみた。


大学時代、学科単位で山で泊まり込みの実習があった。

何やら騒がしい。
先生達のうちの1人がマムシを捕まえたのだ。

咬まれなくてよかったと思った。

夕飯時になると先生が
「焼いて食うぞ。」
と言い出した。

変わったものを食べる人だ。

興味本位で下処理をのぞいたら、
溶けたネズミが出てきて
みんなでみてしまったことを後悔した。

山に入って何日かたっていた。
夕飯風景はいつもと同じだった。

先生の前に焼かれたマムシがあること以外は。

「この実習に参加したものはマムシを食べるもんなんだ。これを食べてこそ真の学生である。」
と聞いたので耳を疑った。

冗談言ってる顔に見えなくもない。

まもなく1匹のマムシが人数分にわけられた。

さっきのネズミを思い出して私は絶対嫌だって思った。

ところが茶道の菓子皿よろしく、皿がまわりはじめると食べ始めるんだよ。
みんな。
…みてたよね?

どうしてもダメな子は青い顔して寝室に引き上げた。

寝室に引き上げるほどグロッキーでもなく、
「マムシアレルギーなんです。」
という機転も効かない私の前に、
皿はやすやすと到着した。



食べたね。


味はどうってことないんだけど、ゴムゴムしてて、
飲み込むとき、
またネズミを思い出して軽くウエッとなった。
ちょっと涙がでたよ。

でも飲み込んでしまったら、次の人がどんな顔して食べるのか気になるの。

不思議なもんだ。

それで卒業してからも、今でも
「後輩達は食べてんのかなー?」
ってちょっと思うんだよな。

嫌だったから、別に食べてなくていいんだ。
でもちょっと食べてたら面白いなって思うんだよね。

食べてたら真の後輩だなって思うんだよね。

変なの。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

会社員時代
給湯室に入ったら
ギチギチ音が聴こえるから
なんの音かとおもったら
流しの上に蜂の巣があって
驚いて尻餅ついたこともある。

ギチギチの正体は、
蜂の巣にはいった
蜂の子達の大合唱。

蜂の子食べる文化圏だったんだよね。

お茶の時間に、みんな生でパクパク食べ始めるの。
「健康にもいいし、甘いよー、トロっとして美味しいからいただきなさい。」
しきりに勧めてくれる。

「ムリです。」
って言っても
みんな熱心に
「トロっとして甘いから。」
って。

さらには
「生きてるのがムリならフライパンで炒るといい。」
と新しいフライパンまで出してくれた。

観念するよね。

じゃ1匹だけ。

甘いってどんなのかなー。
ハチミツみたいな味かな。
トロっとしてるっていうから
ハチミツバターみたいな感じかなー。

炒めた蜂の子口に入れて噛んでみたけど

ちょっ!!

甘くないじゃん!

甘いってご飯のこと甘いっていう感じだった。

考えてみれば
スズメバチはハチミツ作らないじゃん!!
肉食じゃん!!

バカバカバカ私のバカー!!

この時の、私の一部始終の様子で
私はこの会社の真の社員になった
気がする。

ほんまかいな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

みなさんにとっての
心にのこる「つり橋」はなんですか?



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