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【日本ワイン ‘’丹波ワイン株式会社”ワイナリー情報】

2015/10/30

1979 年設立の京都に所在地を構えるワイナリー。
創業は当時照明器具メーカー社長の黒井氏、
海外で感動したワインを家に持ち帰って飲んだところ、
「現地での感動と何かが違う……」と感じる。
食文化がそのワインに合っていないことの違和感が理由ではないかと気付き、「自分でワインを造ろう」と、これがワイナリーの始まり。
だから、分かりやすい。
丹波ワインが目指すのは“和食(日本料理)に合わせやすいワイン造り”

昨日は丹波ワインさんのセミナー、
衝撃と感動を受け、忘れないうちに夜な夜なまとめましたが…
まとまりませんでした、長文です。

丹波市はリージョンⅢ ( 南フランス・北イタリアなど ) に属し寒暖差もある、
しかしながら、年平均降水量は 1,400mm 程にもなってしまう。
( 山梨県甲府は約 1,000mm 、長野県東御市 900mm を切る程 )
だからこそ″カバークロップ″や″暗渠排水″などの工夫が必要。

※カバークロップ…
収穫したい植物の土壌に対して栄養を与えたり、自然の作用で土が流されたりすることを防ぐ効果をもたらす植物のこと。
目的とする植物の収穫後や、栽培中の畝間、休耕地に植えることでその効果を発揮する。
※暗渠排水…
地中に穴の開いた専用のパイプを埋め、地下水位を調節する設備。
美味しいワイン用のブドウ栽培に欠かせない水はけの良い土地に近づける目的。


「もともとワイン産地でなかったところにワイナリーを造ったので、ブドウ品種に対しどんな土壌がいいのか研究が必要」
京都府立大学との研究や、48種ものブドウの試験栽培も行っています。

栄養の貧しい土壌の改良のため、樹を植える前ヒマワリを植えては鋤き込み…ということを3年間繰り返したり、
“ナギナタガヤ”による草生栽培、“クリムゾンクローバー”によって土に栄養をあげる工夫もしたり(ちなみに6 ha の自社畑をわずか3人で管理しているそうです)…
美味しいワインを追究するための謙虚さと情熱に、引き込まれました。

今後期待の品種はソーヴィニヨンブラン、タナだそうです。タナ(樹齢8~9年)に関しては補助品種として考えていたが、意外に気に入ってしまったため、今後単一で仕込みたいとのこと。

丹波ワインならでは、グルジア原産のブドウ“サぺラヴィ”は京都からかなりはずれ日本海側に近く冬は非常に寒くなる“峰山”に畑があります。
病害に強い品種であるが超晩熟なため、完熟させることや収穫時期の見極めが難しい。
豊かな酸味とヤマブドウのような野性味の印象で、スリムな果実味、初めましての味わいでした。
お料理はスパイスの効いたもの、ジビエなど…社員の方は意外にもカレーに合わせているそうです。

県外からは、長野県須坂市からメルロ / サンジョベーゼ、兵庫県神戸市からカベルネ・ソーヴィニヨン / シャルドネ / メルロ、山形県からのデラウェアなども使用。

また、興味深かったのは、”気温とタンニン”の関係について。
醸造中、渋みの成分のタンニンは、温かい産地では種から、涼しい産地では果皮から抽出される傾向にあるそうです。
丹波市はブドウにとって暑すぎるため、渋味を通り越して苦みに感じるほど抽出されてしまう。なるべく果汁との接触時間を短くするために、種が落ちる特注のタンクを使用しています。

商品に関して…
“丹波鳥居野トラディショナル”は諸事情あり36か月熟成後のリリースとなったそうですが、シャンパーニュとも違う、やさしく温かい熟成香と厚み、軸の通った酸味が美味しかったです。

以前から飲んでみたかった丹波ワイン、試飲して不意打ちを食らいました。
どれも、“奥ゆかしさ”を感じました。ブドウの味わいが前に出てこない、
7種の試飲で感じたのは、創業当時からのワインで表現したい思いがぶれずに一貫しているということ。
“和食を引き立てるワイン”
味噌・醤油の出汁の文化で育った日本人。その日本人が食べる料理、
出汁に合う、料理を引き立てるワインを造ること。

“京都=暑い=果実味たっぷり”
そしてエチケットの優美さから“敷居が高い”…という勝手な想像。
試飲して、徐々に打ち砕かれて、最後は感動してしまいました。
こんなに日本の食・文化への愛情と表現のこもった、ワイン。
こんなワイン、飲んだことないと思いました。

最近、分からなくなっていた日本ワインの好きなところ…
“ハロウィン”も“クリスマス”もなんでも取り入れちゃう日本だけど、
“出汁の文化”“和食”…
日本の伝統、独自のいいところ。それを思って造ることのできるワイン、人は日本人だけなんだなと、
ここに生まれ育って知っているからこそ表現したいワイン、
やさしく寄り添ってくれるんだなぁ、と、そんなことに感動しました。

たくさんのことを思いながらの講義、坂本さんありがとうございました。

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