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最後の夏

今日はやけに星が綺麗で、
夜空を見上げた。
一番星が眩しくて、
夏の音を聴きながら、
秋の夜風に
僕はひとつ息を吐く。
どーしても家に帰りたくなくて、
街の灯火に
自分の影を眺めて
1人かっこつけのために上を向いた。
今までよりも深く帽子を被り、
僕は夏の音を聴く。
今巣立つ喜びと
新しい世界へ旅立つ不安が入り混じる。
空には満天の星空と、
少しの雲。
ガラガラガラ、と
窓を閉める音を聴くと
ふと我に帰る。
言葉が湧き出る、
車の音、
飛行機の音、
虫の声、
働く人の足音。
0時45分
僕は1人この夜に酔いしれる。
ぶんぶんぶん、と
羽を羽ばたかせる虫。
僕の周りは明るかった
止まれの標識
路駐の車
僕はこの世界の主役だ。
さっきよりも星が眩しくなくて
目が慣れたのだろう
どうしてもと
もう一度
夜空を見上げる
輝きを失い始めた星々に
少し切なくなった。
僕は車の鍵を開け
サンシェードをし、
車の鍵を閉め
家へと帰る。
また明日。

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