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#渾身の一句

が村の口説くどきはラップ下駄踊る

路傍の花

 【季語】は”踊る”。踊(おどり、をどり)。盆踊りのことで、初秋の句となります。

 ウチの田舎はかの有名な『炭坑節』の発祥地。そう、あの「月がぁ〜出た出ぇた〜月がぁ出ぇた〜ハァヨイヨイ♪」の『炭坑節』です。が、実は盆踊りで踊られているのは『炭坑節』ではなく”口説くどき”なんです。このことはさほど知られていません。『炭坑節』は〆で踊られる程度なのですが......。では”口説くどき”とはどんなものでしょうか。

 【口説くどき口説くどき】とは民謡の一種で、単調なふしに乗せ、壮大な叙事詩や長編物語(口承文芸)を歌ったり、大衆色の濃い数え歌などを歌う”口説き歌”(”口説き唄”)のこと。盆踊りで歌われるので”踊り口説き”とも言われます。

 この”口説き”で踊られるウチの田舎の盆踊りは『炭坑節』や『◯◯音頭』などに見られるような手の振り付けはほとんどありません。小刻みなステップとクルクルと素早く回される団扇うちわ、クラップと掛け声。矢倉を廻る踊りの輪は夜が更けるにつれ速くなり、小走りのようなステップへと変わっていきます。掛け声もだんだんと大きくなりヒートアップ。お盆最終日は一晩中、何処からか口説き唄が聞こえています。唄はまるでブルックリン辺りのラップのよう、踊りは原始的なアフリカカンダンスのようです。今では少なくなりましたが、私が子供の頃はクルクルと器用に団扇うちわを回し、いなせに踊れる達人が沢山居ました。最高に格好良くてシビレたものです。


↓根っからの炭鉱町のお盆は実は炭坑節は登場せず


 なんだか句の説明ならぬ、盆踊りの説明に終始してしまいましたね。自己満でスミマセン。その大好きな盆踊りも、過疎化の影響でやらない地域が増え、このご時世で去年と一昨年は中止。ベテランの踊り子様方はどんどん去って、私もステップを忘れてしまいそうです。


が村の口説くどきはラップ下駄踊る


 2019年作。「伝統の火よ、どうか消えないで」と地元愛を込め、渾身の一句とさせていただきました。ラベンダー様、素晴らしい企画をありがとう御座います♡




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