見出し画像

一番好きな時間

「何食べてるの?」そうやって君が聞くから。
「教えない。」そう笑う。
手に持っていた甘いものを隠すように、そっと背を向ける。

「ズルい。教えてよ。」
絶対甘いもの食べてる、そう頬を膨らませる。
その顔も好きなんだよな。
でも一番は。

「口開けて?」
「ん?あー・・・。」
何の疑いもなく口を開けて、待ち構える君。
その口にポイっとそれを放り込む。

「ん・・やっぱ甘いやつだ。」
ほんのり目じりを下げて、幸せそうな顔をする君。
「やっぱり隠してたんや。ずるいなぁ。」
「怒った?」
「いや、まぁ・・別にいいけどね。」
「そっか。それならよかった。」
そうして低い位置にある頭をくしゃくしゃと撫でる。

「子ども扱いしてない?」
「まさか。」
「ほんとに??」
「嫌だった?」
「まぁ、こうされるの・・・好きなんだけど。」
「それならよかった。」

またくしゃくしゃと頭を撫でた。

一番好きな時間なんだよ。

END

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?