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二月の新譜リリースが熱すぎるので今のうちに過去作で予習しておこう!

今回は、2022年2月リリース予定の新譜が目白押しで、更に先行曲を聴く限りどれも良作そして、前情報によると大作になりそうなので、先にそれぞれのバンド、アーティストの過去の代表作を先に聴いて予習復習をしておこう、という趣旨の記事です。
2月に新譜をリリース予定のアーティストはかなりいますが、その中から筆者が厳選したおすすめの4アーティストをご紹介したいと思います。今回ご紹介するアーティストの作品はどれも良いアルバムなのですが、いかんせん数が多く全部ご紹介すると読者も筆者も大変なので、代表作、代表曲をかいつまんでご紹介していきます。

Mitski

エモーション溢れる孤独のシンガーソングライター

最初にご紹介するのは、2月4日に6thアルバム「Laurel Hell」をリリース予定の日系アメリカ人のIndie rockアーティストMitskiです。
筆者は彼女の大ファンで、前回の来日公演では初めてライブで号泣してしまいました。

彼女は2012年から自主制作でアルバムを2枚出しており、その頃はピアノを主体とした曲が多いです。

1stアルバム「Lush」収録曲「Liquid Smooth」

この曲のように陰りのある曲調、メロディと表現力豊かで魅力的な歌声が特徴的です。007の主題歌っぽさを感じますね。特にサビのメロディとリズムなど。最初は、ピアノと歌だけのシンプルなサウンドですが、徐々にドラムやストリングスが入って来て盛り上がります。ほぼ全曲全編英詩なのですが、この曲での”崩れてゆく前に”の様にごくまれに日本語が登場します。歌詞はこの曲の様に孤独を歌った曲が多い印象です。

2ndアルバム「Retired From Sad, New Career in Business」収録曲「Goodbye, My Danish Sweetheart」

MVと共に、明滅するような歪んだギターとピアノが印象的な一曲ですね。それが、曲に不安定な印象を付加しています。そして、二番のサビでのカタルシスにも繋がっていますね。どこか日本的な感じもあるサビは、日系アメリカ人の彼女ならではのメロディではないでしょうか。タイトルは「さよなら、私のデンマークの恋人」です。初めと終わりの歌詞は”There's nobody better than you|あなたよりいい人は居ない”です。

同作収録「Strawberry Blond」

手拍子で始まる、アコースティックギターを基調としたワルツですね。流れるように歌われるポップで可愛らしいメロディが堪りません。効果的に使われる様々な楽器が上手く曲を盛り上げていて、最高です。聴いていて幸せな気持ちになる音楽ですね。この曲も片思いと失恋の歌ですが。

3rdアルバムからはインディレーベルに所属し、それと共にこれまでのピアノ中心だったスタイルから歪んだギター中心のAlternativeな曲調へと変化します。そのアルバムの曲から、この最高のライブ映像をご覧ください。

3rdアルバム「Bury Me At Makeout Creek」収録曲「Drunk Walk Home」

力強く打ち鳴らされるドラムに乗せて、力強くも哀愁漂うメロディが歌われます。ファズギターとベース、キーボードが入ってくる二番も良いですが、ハイライトは激しいアウトロです。狂気をはらんだコンテンポラリーなパフォーマンスも最高です。これを見たらもう好きになるしかないですね。大好きです。

その後、インディレーベルの名門Dead Oceansに移籍をして、彼女の出世作となった4thアルバムを送り出します。

4thアルバム「Puberty 2」収録曲「Your Best American Girl」

アコースティックギターによって静かに始まる曲ですが、サビで歪んだオルタナギターが炸裂します。それに乗せて歌われるエモーショナルな歌も堪りません。MVでの彼女のパフォーマンスも良いです。MVは失恋がテーマになっていますが、歌詞はそうとも言い切れず、どちらかと言うと日系アメリカ人としての、また世界中を飛び回る事になった彼女の子供時代による彼女のアイデンティティの問題について、普遍性を持って歌われています。
この曲のヒットとアルバムの高評価により、彼女は一躍人気アーティストとなりました。

そして、各種メディアで年間ベストアルバムの一位を飾るなど、高評価を獲得した前作をご紹介します。

5thアルバム「Be the Cowboy」

3~4枚目の彼女の特徴だったディストーションギターは鳴りを潜め、サウンドはより多彩になっています。

同作収録「Nobody」

突然のディスコソングですね。筆者もこれを一人旅行先の大阪で聴いた時には、驚きました。一方、歌詞は孤独感について歌われておりとても共感して、知らない街を独り歩きながら、この曲をひたすら聴いていた事を良く覚えています。

And I don't want your pity
I just want somebody near me
Guess I'm a coward
I just want to feel alright
And I know no one will save me
I just need someone to kiss
Give me one good honest kiss
And I'll be alright

同情なんていらない
誰か側にいて欲しいだけ
私は臆病者なんだと思う
ただ安心したいの
誰も救ってはくれないことは分ってる
キスする相手が欲しいだけ
誠実なキスをひとつ頂戴
そうしたらもう大丈夫

と歌われますが、サビで”Nobody”と繰り返される通り、その相手は誰もいません。盛り上がるディスコサウンドの中”Nobody”と繰り返し歌われるのが、孤独感を演出していてとても切ないです。

同作収録「A Pearl」

とても美しい曲です。美しくも哀愁漂うメロディが涙を誘います。この曲では、ディストーションギターが鳴り響きます。また、それだけではなく、シンセやホーンなども合わさって、美しい轟音サウンドを生み出していますね。筆者はこの曲が一番好きです。サウンド、メロディ共にどこか浮遊感があって、とても切ない気持ちになるんですよね。

今から彼女のアルバムを聴くなら、最初は名盤である本作から聴き始めることをお勧めします。他にも名曲が数多く収録されているので、ぜひ全編お聴きください。
他のアルバムも全て良いアルバムなので、本作が気に入った方は色々聴いてみてください。

そして、2月4日リリース予定の新譜「Laurel Hell」からは、既にシングルが三曲リリースされています。その中から一曲ご紹介してMitskiについては終わりにしたいと思います。

6thアルバム「Laurel Hell」

同作収録「Working for the Knife」

重いシンセとインダストリアルなドラムビートが耳を惹きます。日本語のリリックビデオまで用意してくれるのは、とてもありがたいですね。ナイフとは何の比喩でしょうか?色々考察されていますが、まだ情報が足りないのでここでは書きません。

新作は前作である名盤「Be the Cowboy」の延長線上にある作品となりそうで、とても楽しみですね。

代表作だけをご紹介と書いておきながら、全作ご紹介してしまった気もしますが、次も筆者の大好きなバンドなので、多分また長くなります。


Big Thief

フラジャイルな歌が魅力の新たなインディヒロイン

次にご紹介するのは、2月11日に彼女達初のダブルアルバムとなる5thアルバム「Dragon New Warm Mountain I Believe in You」をリリース予定の、USのIndie rockバンドBig Thiefです。
現在、筆者の好きなバンドTOP3に入るほど好きなバンドです。

2015年結成、2016年デビューとまだまだ若いバンドですが、もう5枚目のアルバムを出すという多作な彼女達。しかも、その間にボーカルギターのAdrianne LenkerとギターのBuck Meekもソロ作を数枚出しており、それらも秀作ですので興味があれば、ぜひ聴いてみたください。ちなみに、Buck Meekの2ndソロアルバムは筆者の2021年マイベストアルバムの一位としました。そちらも併せてお読み頂けると幸いです。

筆者がこのバンドに出会ったのは、2ndアルバムがいくつかのメディアで年間ベストアルバムに選ばれているのを見て気になり、聴いてみたのが最初です。最初に聴いて好きになったのがこの曲です。

1stアルバム「Masterpiece」収録曲「Masterpiece」

「マスターピース」日本語だと「傑作」ですね。デビューアルバムに傑作と名付けてしまう度胸も凄いですが、その名に恥じない傑作アルバムだと思います。
イントロのギターとドラム、これだけで心を掴まれてしまう方も多いのではないでしょうか。そして、ボーカルAdrianne Lenkerのフラジャイルな歌声で歌われる、これまたフラジャイルなメロディが最高ですね。更に、ギターソロですよ。この乱雑なギターソロが堪りません。他のバンドではあまり聴いたこと無いですね。

彼女達MVはあまり作らないみたいで、紹介する曲を探すのに苦労しています。ここからライブ映像が多くなりますが、ライブも良いので(中止になった来日公演が悔やまれます)ぜひ聴いてみてください。

同作収録「Paul」

こちらも初期の名曲です。シンプルなバラードですが、メロディがとても良いです。強弱つけたボーカルも表現力豊かかつパワフルでカッコいいですね。ギターソロの音色も堪りません。この曲の様にFolk rock色の強いバンドです。

1stは曲も粒ぞろいで起伏もあり聴きやすい作品なので、ここから聴き始めるのも良いとは思いますが、やはり後の傑作達と比べると完成度が違います。ですが、良い曲が多数収録されているので、後で聴いてみてください。

2ndアルバム「Capacity」収録曲「Mythological Beauty」

同じようなメロディとフレーズが繰り返されるミニマルな曲ですが、リバーブのかかったドリーミーなサウンドと相まって、陶酔感を生んでいます。力強いドラムが曲の推進力となっています。タイトル通り神話的な美しさのある曲ですね。
この2ndは、各種メディアから高評価で迎えられました。とても良いアルバムなのですが、ほぼ全曲この曲の様にミニマルな構成なので、最初に入るのには向かないかなと思います。ただ、良いアルバムなので、ぜひ後で戻って来て聴いてみてください。

そして、2019年に2枚も名盤を送り出し、このバンドが一躍注目の的となります。

3rdアルバム「U.F.O.F」

こちらは、Folk rock色の強い内容となっています。「天」がテーマだという本作。前作の方向性を更に拡張して発展させた内容です。

同作収録「Cattails」

サウンドの話しがしたいのに、ライブ映像しかない…でも、アルバムもほぼ一発録りらしく、ライブでも上手く再現できていると思います。音源では、アコースティックギターが使われています。音源について特筆すべきなのは、ラストにかけてのサウンドスケープですね。一定のリズムで刻まれるアルペジオとドラムによって駆動していく曲ですが、徐々に包み込むようにシンセや、キーボードが打ち鳴らされます。それらによって、聴いていると気づけば夢の様な陶酔感に包まれています。この陶酔感は、アルバム全体を通して通底しており、聴いていて非常に気持ちが良いアルバムとなっています。

同作収録「Orange」

この曲は、アルバムが出る前からライブ映像で聴いていて、恋してしまった曲です。ギター一本弾き語りで歌われるこの曲。途中音量が気に食わなかったのでしょうか、途中で止まってノブを弄りながらアカペラで歌われます。その後、ギターを弾き始めますが、アカペラの感触が良かったのか、再度アカペラで歌われます。力強く歌われるフラジャイルなメロディが堪らないです。アカペラでも、魅力たっぷりの美しい曲ですね。
二曲目は、次作収録の曲なのでここでは触れませんが、前曲から一転してバンドサウンドが鳴らされる瞬間の快感は凄いです。

結局、陶酔感のあるアルバムのサウンドをちゃんと聴いてもらうことは出来ませんでしたが、ぜひ本編を聴いて感じてみてください。最初に聴くアルバムとしては、Folk rock好きなら本作。Alternative rock好きなら次作をお勧めします。

それでは、同年に出たその次作をご紹介します。

4thアルバム「Two Hands」

こちらも、前作同様高い評価を獲得しました。レビューの平均点や年間ベストを見ると、こちらの方が若干ですが評価は高いですね。「地」がテーマという本作。作風は前作から一転して、Alternative rock的です。

同作収録「Not」

この曲はこのライブ版が最高なので(アルバム版も最高ですが)、ぜひ聴いてみてください。タイトル通りNot ~と繰り返し歌われるこの曲。その繰り返しが気持ちいいです。前作とは一転して、歪んだギターがかき鳴らされます。もう一本のギターによるノイズも気持ちいですね。後半叫ぶ様に歌うのもカッコいいです。なんと言っても最高なのは、アウトロのギターソロですよ。電撃の様な迸るギター。これを生で浴びたかった。

先ほども書いた通り、オルタナ好きはこのアルバムから入る事をお勧めします。と言っても、「Not」の様なオルタナオルタナした曲はそんなに有りませんが、サウンドはオルタナ風味なので聴きやすいと思います。

最後に、2月11日リリース予定の新譜「Dragon New Warm Mountain I Believe in You」から一曲ご紹介して、このバンドについては以上としたいと思いますが、先行リリースされている曲達がどれも良くて、一曲選ぶのも悩ましいです。それだけアルバムへの期待が高まりますね。

5thアルバム「Dragon New Warm Mountain I Believe in You」

同作収録「Little Things」

新譜の曲はまだいいライブ映像も無いので、静止画(若干動いてます!)になってしまいましたが良い曲なのでお聴きください。この曲もドリーミーなFolk rockソングですが、乱雑に弾かれる歪んだギターが印象的です。包み込まれるようなサウンドが心地いいですね。演奏は今まで以上にグルービィです。ほぼ一発録りだった前作までと比較すると、サウンドにはより凝ってそうですね。

新譜は今出ている曲で判断すると、Folk rockよりな作品になりそうです。新曲がどれも良いので、本当にアルバムが楽しみですね。


では、次のバンドに行きたいと思います。残りの二つのバンドはキャリアが長いので、全作はご紹介しません。

Spoon

いぶし銀のロックンロールバンド

次にご紹介するのは、11月11日に10thアルバム「Lucifer on the Sofa」をリリース予定のSpoonです。シンプルすぎるバンド名で今の時代は検索しにくくて困ります。
1993年結成、1996年に1stアルバムをリリースしたUSの人気ベテランIndie rockバンドです。

既に記事がだいぶ長くなってしまっているので、手短に行きたい所ですが、このバンドも筆者大好きです。今回取り扱うバンドはどれも大好きなんですよね。そんな大好きなバンド達が2月にまとめて新譜を出すって言うんだから、そりゃ記事も書きたくなるってもんです。
それでは、行きましょう。

4thアルバム「Kill the Moonlight」収録曲「The Way We Get By」

初期も中々カッコいいのでご紹介したかったのですが、動画が無いですね。
では、高評価を獲得した2002年リリース彼らの出世作4th「Kill the Moonlight」から中期の名曲をご紹介です。
タイトでリズミカルなピアノによって駆動されるこの曲。ミニマルでソリッドなバンドサウンドがカッコいいですね。そして、ボーカルBritt Danielの歌声がめちゃくちゃカッコいいです。憧れますね。メロディも捻くれポップで最高です。この様に、ソリッドなバンドサウンドに乗せてしゃがれた声で歌われるポップなメロディが魅力のバンドです。

5thアルバム「Gimme Fiction」収録曲「Sister Jack」

それまであまり売れていたとは言えない彼らですが、このアルバムで見事ヒットします。
爽やかな曲ですね。サビではタイトルが繰り返されるシンプルな歌詞ですが、歌い方で変化を付けています。サビで刻まれるギターもカッコいいですね。ギターの音がとても良いです。ギターノイズとグルービィなベースライン、タイトなドラムによるバンドの演奏も良いですね。手拍子やタンバリンなども効果的に使われています。

6thアルバム「Ga Ga Ga Ga Ga」収録曲「You Got Yr. Cherry Bomb」

この曲は日本でも某携帯キャリアのCMに使われていたので、聴いたことのある人も多いと思います。
キッチュで可愛らしいポップソングですね。ホーンやピアノ、可愛らしいキーボードなど多くの楽器が使われていますが、ソリッドなバンドサウンドというイメージは崩れていません。従来のバンドのカッコよさを保ったまま、ポップに振り切れた名曲です。

このアルバムも彼らの代表作なので、ここから入っても良いと思います。特に一曲目「Don't Make Me a Target」は、アルバムのオープナーとして最高級の一曲だと思います。その後の流れも良いです。ですが、筆者は次にご紹介するアルバムから入ることをお勧めします。

8thアルバム「They Want My Soul」

同作収録「Rent I Pay」

AC/DC風のシンプルなリフが炸裂するカッコよくも、ポップな一曲です。バンドサウンドもよりダイナミックに進化していますね。出だしのドラムの音からもう最高です。順番に楽器が入ってくる展開はお決まりですが、ワクワクさせられます。サウンドが変わっても、演奏が相変わらずソリッドでカッコいいですね。そして、その中でボーカルが今まで以上に瑞々しく響きます。めちゃくちゃカッコいいですよね。しびれます。

同作収録「Do You」

とてもポップな一曲ですね。彼らの曲の中でも屈指のキラーチューンです。アコースティックギターの音がとても煌びやかで、全体的にも特にHi-fiな印象が強いサウンドになっています。しゃがれた声で繰り返される「Do you」が頭から離れなくなりますね。

今作は、全体的にポップで彼らの作品の中でも一番聴きやすい作品なので、最初に聴く一枚としてお勧めします。他のアルバムも良い作品ばかりなので、ぜひその後にも色々聴いてみてください。

9thアルバム「Hot Thoughts」収録曲「Hot Thoughts」

前作でたどり着いたサウンドに加え、更にElectroを大胆に導入して、新時代のロックバンドサウンドになりました。今の時代Electroを導入しようと試みるバンドは多いですが、ここまで上手くやっているバンドは一握りだと思います。なにより、彼らのタイトでソリッドな演奏、サウンドという特徴が損なわれていないのが大きいですね。そして、歌も相変わらず捻くれたポップメロディがしゃがれた声で歌われます。

そして、待望の新譜が11月11日にリリース予定の10thアルバム「Lucifer on the Sofa」です。

10thアルバム「Lucifer on the Sofa」

同作収録「The Hardest Cut」

前作からElectro要素はそぎ落として、サウンドとしては前々作をある程度踏襲しながらも、よりプリミティブなロックンロールサウンド、ロックンロールソングになっています。ミニマルなリフがカッコいいですね。間奏でバーストするギターやギターソロも最高です。
どうやら新譜では、この曲のようなエッジィなロックンロールソングが沢山聴けそうで楽しみです。


そして、最後にご紹介するのがこのバンドです。

Beach House

ドリームポップのハスキー女王クイーン

最後にご紹介するのは、2月18日に彼女達初のダブルアルバムとなる8thアルバム「Once Twice Melody」をリリース予定のBeach Houseです。
ボーカル&キーボードのVictoria LegrandとギターのAlex Scallyによるユニット。まあ、バンドと呼んじゃいます。2004年にUSで結成され、2006年にデビューしたDream popを代表するバンドで、Dream popというジャンルを語るうえで絶対に避けて通れないバンドです。

1st、2ndも良いアルバムではありますが、輝かしい3rd以降と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいます。
初期の曲を一曲だけ取り上げるならこの曲でしょうか。

1stアルバム「Beach House」収録曲「Master of None」

初期なだけあって少々Lo-fiですが、クリーンなギターとオルガン、ドラムマシン、ハスキーなボーカルによる彼女達の基本的なスタイルは既に確立されています。しかし良い曲ではありますが、現在の彼女達と比較するとサウンド、曲共にもう一押し足りない気がします。

では、早速彼女達の代表作に行きましょうか。

3rdアルバム「Teen Dream」

Dream popの金字塔を打ち立てた、歴史的名盤です。様々なメディアの10年代ベストアルバムの上位に選出されています。ここからが彼女達の輝かしいキャリアの始まりですね。

同作収録「Silver Soul」

MVも有ったんですが、古い動画だからか音が良くなかったので、静止画にしました。
とても甘美なDream popサウンドの完成です。リバーブが上手く使われています。クリーントーンのギターがとても美しいです。オルガンが音の隙間を埋める事でよりドリーミーなサウンドを演出しています。ベースが歪んでいるのも良いですね。今作からは生ドラムも使われていますが、ドラムマシンの様な機械的なビート、音としての使用にとどめられています。そして、ボーカルVictoria Legrandのハスキーで伸びやかなボーカルがこのバンド一番の魅力ですね。甘美なサウンドに乗せて歌われるメロディも甘美で、本当に夢の様な音楽です。

同作収録「Walk in the Park」

はい。もう彼女達の魅力はもう先ほどほとんど語ってしまったので、書く事がもうあまりありません。やってる事は基本的にずっと同じです。それでも、このサウンドと魅力的なハスキーボイス、甘美なメロディで素晴らしい作品を作り続けています。どんどん変化していくバンドももちろん凄いのですが、同じスタイルで良い作品を作り続けていく事もとても難しい事だと思います。それをとても高い水準で出来ているので凄いバンドです。ライブでもその魅力は健在どころか増していますね。

この歴史的名盤3rdアルバムで彼女達は、そのスタイルを完全に確立しDream popの新時代を切り開きました。これ以降も傑作アルバムを出し続けていますが、最初はこのアルバムから聴き始めて、この後のアルバムを順番に聴いていくのが良いかなと思います。

もう締めに行く流れですが、まだまだ彼女達の輝かしい歴史の第一歩しかご紹介していません。あと数曲だけ筆者の好きな曲をご紹介したいと思います。

4thアルバム「Bloom」収録曲「Myth」

星が瞬く夜空の様な美しい曲ですね。クラクラします。ライブでも変わらずこのサウンドを実現しているのは凄いです。まあ、あまり難しい事をやっているわけでは無いですが。でも、やはり魅力的なボーカルは唯一無二です。ささやく様に歌われる前半も良いですが、伸びやかに歌われる後半は圧巻ですね。

5thアルバム「Depression Cherry」収録曲「Space Song」

彼女達もあまりMVが無いです。非公式で人気のやつはあるんですけど、リンク切れるの嫌なんで避けてます。
タイトル通り宇宙の中を旅している様な曲です。美しすぎますね。ドリーミーなサウンドに加え、明滅するキーボードが宇宙を漂流しているような感覚を生み出しています。ビートはHip hopからの影響を感じさせます。

同作収録「Sparks」

これもタイトル通り火花の様に迸るギターが印象的な曲です。彼女達の曲の中では珍しく歪んだギターが聴けます。重苦しい音のオルガンが暗闇を表現しているのでしょうか。その中で輝く火花の様なギター。美しすぎてとろけそうです。

7thアルバム「7」収録曲「Lemon Glow」

こちらも、タイトル通りレモンの香りが漂ってくる…流石に無理がありますね。このアルバムでは全体的に歪みが多用されています。映像もモノクロなのにサイケデリックで、曲と相まって陶酔感が凄いです。アルバム全曲この様な映像が作られていて、今作の世界観に浸るのには最適なので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

そして、2月18日に彼女達初のダブルアルバムとなる8thアルバム「Once Twice Melody」がリリース予定です。

8thアルバム「Once Twice Melody」

同作収録「superstar」

映像が極彩色になり、更にサイケデリックになりました。サウンドも前作よりカラフルになった気がします。ドラムがより生っぽくダイナミックになっていますね。
この曲含め既に多数出ている新曲がどれも良いので、新譜がとても楽しみです。

さて、Beach Houseは特に3rd以降どれも本当に良いアルバムなので、ぜひ色んな作品を聴いてみてください。


以上、「二月の新譜リリースが熱すぎるので今のうちに過去作で予習しておこう!」でした。
2月には他にもAnimal Collectiveや、Bastille、Black Country, New Road、The Districts、Alt-J、Metronomyなどなど、挙げだしたら切りがない程注目の新譜リリースが控えています。しかし、全部紹介するわけにもいかないので、特に年間ベスト級のアルバムになりそうな4バンドを厳選してお届けしました。ぜひ新譜が大量にリリースされる前の今のうちに、これらのバンド、アーティストの過去作を聴いて新譜への準備をしてみてください。

まだまだ未熟ですが、好評でしたらこれからも執筆していきたいと思いますので、スキ、シェア、フォロー等していただけると嬉しいです。

お読みいただき、本当にありがとうございました!

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