20200228迷想日誌

「最後の砦」となった雇用情勢――今後は絶望的?|迷想日誌

日本中が新型コロナウイルスの感染状況に関心が集中していますが、このままだと日本経済が沈没しそうな統計が発表されました。2019年10-12月期のGDP成長率(季節調整値)です。
1次速報値によると、実質はマイナス1.6%(年率マイナス6.3%)と5四半期ぶりのマイナス成長となりました。
名目ではマイナス1.2%(年率マイナス4.9%)です。名目でもマイナスとなるのはそうそうありません。

毎月勤労統計調査(令和元年後の確報)の賃金水準も大変なことになっています。
令和元年の現金給与総額は32万2612円(マイナス0.3%)で、平成25年以来の前年比マイナスとなりました。
実質賃金指数の厳しさは目も当てられません。前年比マイナス0.9%で、毎年のように縮小傾向が続いています。

いよいよ最後の砦は、雇用情勢だけとなってきました。令和元年12月の有効求人倍率は1.57倍で、前月と同水準でした。
新規求人倍率は2.43倍で、前月に比べて0.11ポイント上昇です。
有効求人倍率の令和元年平均ですと1.60倍、前年比0.01ポイント低下となりました。
求人倍率は、今後、徐々に低下していき、数年後はまた就職難に戻ってしまいかねません。

残念ながら、アベノミクスは尻つぼみとなってしまったことは明らかです。
大規模金融緩和により、前政権からのデフレスパイラル脱却には成功しましたが、それ以上ではなくなっています。
あれだけ声高に宣言していたインフレ2%達成はあきらめてしまったのでしょうか。

成長率の大幅下落にもかかわらず政府の景気判断は「緩やかな回復基調」を維持と発表していることがその証拠です。
仮に「緩やかな回復」の景気判断を受け入れるとしても、新たに大規模な経済政策が打たれないと、日本の国力は失われていくでしょう。
衰退した日本を次世代に引き継ぐことは忍びないことです。

アベノミクスは、雇用情勢改善でギリギリ60点の合格点は与えられるでしょう。
経済、社会にとって雇用改善はそれだけ重要なものです。
しかし、「失われた20年」から続く貧困化から脱し切れていないのが実態です。
ポスト安倍政権においても、この貧困化に歯止めをかけるような経済政策が打てるとは考えられませんので、絶望的といえます。
できる限り長く最後の砦となった雇用情勢が維持されることを祈るだけです…

労働新聞編集長 箱田 尊文

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