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現金給与、実質賃金が増加へ|迷想日誌

3月の労働・雇用統計に変化が現れています。
まず毎勤統計の現金給与総額ですが、28万2164円で前年同月比0.2%増となりました。
前年同月比増となったのは、コロナ禍が到来する直前の令和2年2月の0.7%増以来です。
つまり今年2月まで11ヵ月連続して減少し続けたということです。

今回増加した理由としては、ボーナスや時間外手当が引き続き減少した中で、所定内給与が唯一0.8%増加したことにあります。
さらにこの背景には、一般労働者の所定内給与が0.3%増加したことがあるでしょう。
全体として0.2%増加したからといって喜べません。前年3月といえば、コロナの影響が出始めてきたときかもしれません?

また実質賃金も前月に引き続いて上昇したようです。
前月は0.1%増、3月は0.5%増加しました。これも決して喜べません。
消費者物価指数が0.2%下落したことによる影響が大きいからです。

上記以外の特徴では、パートタイム比率の継続的減少が続いていることです。
この結果パートタイム比率は令和2年3月の31.61%からほぼ1年間で31.02%まで低下しています。

もうひとつの異変は、失業率が低下したことです。
今年1月及び2月はともに2.9%でしたが、3月に2.6%となりました。
コロナ禍で厳しい状況にある中、雇用を維持できているのは厚労省の対策が功を奏していることと考えられます。
雇用調整助成金の特例支給終了後にどうなるかが注目です。また有効求人倍率もやや上昇しました。

田村厚労大臣は「これだけみていると良いように見えますが、求人が弱含み求職者が増加する傾向があり厳しさがみられる」と会見で語っています。
意味がよく分かりませんが、一時的に好転はしているものの、今後の動向は予断を許さないという意味のようです。

いずれにしても今のところ失業率は3%を超えず、有効求人倍率は1.0倍を下回らずということで何とか踏ん張っています。
しかし全体として厳しさが続いているのは明らかです。
政府は、今のところ補正予算を組む予定はないようですが、この方針を早急に転換してアメリカのように大規模な現金支援を行う必要があります。
日本国民の貧困化がますます進みつつあります。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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