見出し画像

[要旨]

岩田松雄さんによれば、スターバックスコーヒーは品質の高いサービスの提供を実現していますが、これは、企業のミッションが従業員の間で共有され、マニュアルに頼らずに、それを実現するためには、道徳、法律、倫理に反しない限り何でもして差し上げるという考え方で権限委譲を行っているからだそうです。したがって、顧客に支持されるようになるためには、企業ミッションの浸透や、権限委譲の実施が重要と言えます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「今までの経営書には書いていない新しい経営の教科書」を読んで、私が気づいたことについて説明したいと思います。前回は、会社にとって「悪い情報」は、なかなか経営者には伝わってこないので、普段から、経営者は従業員との人間関係を良好に保ち、もし、悪い情報を伝えられたとしても、それを評価するように心がけなければならないということについて説明しました。これに続いて、岩田さんは、スターバックスコーヒーが、学生たちのアルバイト先として人気が高いことについて述べておられます。

「ミッションとは、企業の存在理由です。そのミッションを、如何に社長以下全員で共有し体現できるかが、とても大切です。スターバックスでは、『人々の心を豊かで活力あるものにするため』というミッションを、お店のパートナーがしっかり共有化しているから、あの素晴らしい接客ができるのです。ミッションをきちんと共有化していれば、サービスマニュアルさえ、必要がないのです。何をするかは、一人ひとりのパートナーが自分で考えて行動するのです。

おいしいコーヒーの淹れ方や掃除の仕方は、オペレーションマニュアルで細かく決まっています。しかし、サービスマニュアルがない代わりにあるのは、『JUST SAY YES』のみ。『道徳、法律、倫理に反しない限り、お客様が喜んでくださることは、何でもして差し上げること』と、スターバックスでは言われています。コーヒーが美味しくて、お店が綺麗で、素敵な笑顔でお客様をお迎えするという基本的なことができた上での、『JUST SAY YES』であり、『権限委譲』なのです。

スターバックスの店舗スタッフのアルバイトを募集すると、あっという間に応募者が殺到します。アルバイトでも、採用されるのが大変な難関になっているそうです。また、スターバックスでのアルバイト経験が、就職する際に、とても有利に働くとも言われています。それは、スターバックスのアルバイトが、ただ、言われたことをこなすのではなくて、自分で考えたことを実践できるアルバイトだからだと、私は思います。(223ページ)

ユニクロを傘下に持つ持株会社のファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「一勝九敗」という著書の中で、「マニュアルは従業員をダメにする」と述べておられますが、岩田さんのお考えも柳井さんと同じなのだと思います。私は、マニュアルは活用した方がよいと思っていますが、岩田さんもご指摘しておられるように、マニュアルはツールであって、マニュアル通りの仕事をすることが目的ではありません。最終的な目的は、ミッションの体現であり、その実現のためにマニュアルを活用するという姿勢が重要です。

とはいえ、会社がミッションを掲げ、マニュアルを廃止すれば、すぐにスターバックスコーヒーのアルバイトの方たちのような仕事ができるようになるのかというと、そうではないことも現実です。そういった活動を定着させるには、経営者が会社のミッションを従業員に繰り返し説明し、さらに、従業員がそのミッションに基づいた行動をしたときに、経営者がそれを評価するという地道な働きかけを積み重ねていかなければ、スターバックスコーヒーのような職場は実現しません。ちょっと気が遠くなることですが、だからこそ、今すぐに着手すべきことだと、私は考えています。

2023/6/11 No.2370

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?