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居酒屋のノリ

 私は常々、なるべく自分で出来そうなことは自分でやらなければいけないと思っている。そして何より、人に頼みごとをするのに罪悪感がある。本当だったら出来るはず(出来なければいけなかったはず)のことが、私の力不足によって相手に頼むことになり、申し訳ない気持ちになる。妙に責任感が強いのと、完璧主義である弊害だ。

 この習性は、しばしば私を苦しめる。私は心の余裕がなくなると、自分の殻に閉じこもってしまう。放っておいてほしくなってしまう。このモードに入ると誰かに頼みごとをするなんてことは難しい。その殻を開けられる、つまり周りが厚意で何かしらのアクションをとってくれているのだが、これは私にとってつらいことだ。イライラして出来損ないの自分を責めたり、相手の優しさを無下にして心を閉ざしてしまう。

 困ったことに、私の仕事の特性上、必ず誰かに色々と頼んだりしなければならない。ある日同僚にあることを頼んだところ、「喜んで!」と居酒屋ばりのノリで引き受けてくれたことがあり、つい笑ってしまった。夫もそうだ。何か家事をお願いすると、「任せろ!」と言ってくれる。

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 人に頼ることは今の私にとってはまだ苦しいことだ。でも尊敬する同僚や、夫となら一緒に苦しんでも許されるような気がする(同僚や夫はおそらく苦しんではいないが)。
 
 私も誰かに頼まれごとをしたときは、満面の笑みで「喜んで!」と引き受けたい。

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