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絶滅危機動物ファイル09「コツメカワウソ」

こんにちは〜。
ちょっと間があいてしまいましたが、絶滅危機動物ファイル09「コツメカワウソ」です。twitterでは2022/12/09に公開しました。

コツメカワウソ01
コツメカワウソ02

コツメカワウソは、姿も動作も本当に愛らしく、動物園や水族館で群れで活発に動き回っている様子はいつまでも見ていられますね。自分も大好きです!
そんな動物園や水族館の多くが、「コツメカワウソをペットにしないで!」というメッセージを繰り返し訴えています。WWF保全団体もですね。近年では目にする機会が格段に増えた印象で、コツメカワウソが好き・興味があるという人なら、多くが目にしたことがあるのではないかと思います。
代表的なものとして、WWFのものを貼っておきます。

他にも、たくさんの施設が情報を掲示したり、SNSやyoutubeなどで発信しているので、ぜひ調べてみてください。

それでもちょっと前には、Adobeペットのコツメカワウソを使用して「ペットの魅力を引き出す編集術」という広告を出すなど(指摘を受けて取り下げられた)、「ペットにしないで」というメッセージは世間的にはまだ広く認知されてないのかなと思います。
自分は見たことないですが、youtubeなどではそういったペットのコツメカワウソなどを見せるチャンネルがあるそうですね。
何も知らずにそういったもの見ると、ペットにすることへの違和感などは感じにくいでしょう。
そういったチャンネルの人が、ペットのカワウソを虐待したという容疑で書類送検されたというニュースは見ました。「しつけるために棒で叩いた」んだそうです…。

2019年にはワシントン条約附属書Iとなり、これはもう「ペットとして飼いたいとかもう絶対思わないでね」ということです。

そんななか、昨年出たカワウソの本で、んんん!?となるような概要を見てしまい、気になったので読んだんです。

「この本はカワウソ飼育のすすめではない」と冒頭で言いつつも、飼育はとても難しいけどそれでも飼いたい人のために…と、コツメカワウソの入手法から家庭での飼育法まで細かく解説しています。ペットとして飼うための本にしか思えませんでした。
最初から、実際にコツメカワウソを飼っている方々の紹介。 飼育は大変だけどカワウソがいる暮らしはこんなにステキ!みたいに見える、とてもキラキラした内容。カワウソが大好きで(この本にある)飼うための条件をクリアしてれば飼ってもいいよ、というスタンスに思えます。あまりに身勝手です。
条件はとても厳しいように見えて、本来は広い水場が必要なところを、お風呂で大丈夫のように言っていたり、家庭では絶対に無理な部分は触れていない印象もありました。

「カワウソを飼ってはいけない」とまでは思ってない人にとっては良い本と受け止められているようです。 実際レビューなどは高評価各書店も好印象で紹介し「カワウソを飼いたい方へ」と言ってる所さえあります。今まで(飼育の)情報入手苦労したけどこれ1冊で済んじゃいます!なんてものも、有名な書店が書いていました。
書店や図書館では、当然のようにペットコーナーに置かれています。
レビューでは、これでやっと飼うことができる!と言っている人もいました。

サンシャイン水族館が密着取材とインタビューを受けてたので気になりましたが、下のリンク先(日本アジアカワウソ保全協会)で「本の内容があまりに一般人によるカワウソ飼育を助長するようなものに傾いていて、そこに協力したことは不注意であった」とコメントされてます。(もちろん、本のなかでは、サンシャイン水族館の方自身がペット飼育を助長するようなことは言っていません)

2022年度「世界ペンギン・カワウソの日 in サンシャイン水族館」での 本協会への寄付、および「カワウソをよく知るための本」について 2022年度「世界ペンギン・カワウソの日 in...

Posted by Asian Otter Conservation Society of Japan on Tuesday, August 2, 2022

この本を書いた人たち、そしてこれを読んで飼おうとする人たちも、コツメカワウソのことが本当に好きで、コツメカワウソのことをよく知りたい!という思いまでは、私たちと一緒なんだと思います。
ただ、そこから、こんなにも好きで、飼育方法も勉強して、一生懸命向き合って愛してあげられるから、飼ってもいい!という、あまりに自分勝手な思考で、飼育にOKを出してしまっているのかと思います。
このコツメカワウソを愛する方々が、あれだけ発信されている「ペットにしないで!」というメッセージを目にしないはずが無いんですが、そこには目をつむっているのか、自分たちならOKだと思っているのか、本当に悲しく残念だなと感じます。

そういえばこの本を制作した「コツメカワウソ研究会」という団体?に関しては、検索しても何の情報もないんですよね。後ろめたい気持ちもあるのではないかと思ってしまいます…。
ちなみに、「カワウソ研究会」というのもありますが、こちらは私が尊敬する熊谷さとし先生たちがカワウソを守るために熱心に活動している団体ですので、このコツメカワウソ研究会というのとは全然関係ありません。

ただ、この本を監修された方があとがきを書いていたんですが、その思いは私たちと一緒で、コツメカワウソを愛するならばコツメカワウソを飼いたいという思いには至らないはず、というような内容でした。この方は、この本の内容をどう受け止めていたのでしょうか…。

ちょっと今回は長めに書いてみました。
ちなみに、自分はペット自体に反対しているわけでは勿論ありません。
ペットとして向いている動物たちもたくさんいますし、そういったペットを愛して一緒に過ごすということはとても尊く素晴らしいものだとも思っています。
しかし、どうやってもペットには不向きな動物もおり(野生動物のほとんどがそう)、さらにそれが動物を苦しめ密猟などにもつながっていくということが多々あります。

こうしたことでコツメカワウソを苦しめている国の代表が日本であることをとても悲しく思います。
動物園などが熱心に発信しているメッセージを、少しでも多くの人が受け取ってくれたらと願っています。

それでは〜。

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