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【文章】ぼくらの夏休みした


1章 ぼくらの夏休みした

夏休みというのは無垢純真な時間だったと思い出されます。幾多の人々に。
あなたがそれを体験している時代からすでに実証的懐かしさを感じていたというのなら、時刻想念の変容は遅れておこなわれていました。
灼熱に抱きしめられながらの孤独感。郷かしい愁いに抱擁されるのが、礼儀正しく了解しかねるのだろうか?
私たちのある願いは、まばらに幸せな夏休みを各自に持ち寄りするしめやかなホームパーティ、もしくはジグソーパズルらしく楽しいはめ込みです。
数直線上座標の7月28日に哀情抱えるのが一人いるとすれば、示し合わせの吉兆のように、7月25日に慶福を咲かせた人物が現れる算数。
まさしくモンタージュ壁画は、自由工作、共同開発、抑圧の逆の創作活動、悦楽。私もそうできればいいけど。
廊下の先には、歩き進みが幸福と化した夏休みの思い出、存在しない懐かしい思い出が、総数として積み上げられて蜩はいつも耳に聞こえました。棟上げを待つ必要はありません。
そして、それが始まります。時間の熱気球的膨張讃歌の降り注ぐ夏休みが。

7月25日 名前を痴れ・雌雄同体・名は字を呈す

共通項される夏休みの子の氏名を、仮にXとした。バツ印は基督教的、虐待的含意が絶無であるとの指摘、しかし意図の汲み尽くされない日常の経験則だとみなされた、その知恵。
彷彿とさせる○は魚卵のような置き換えで、人間は魚ではないと知られたのは、言語使用の多寡であり、時代の物語です。
首に変形した脳があるため、自然食品のみを好んで食べます。
真理を司るふくろうは、もはやその”もこ”とした見た目を明らかにしなくなりました。私たちの目にふくろう媒介の癒えは、一度も羽ばたきません。
人権、つまり記号表記へのヘイト運動の一環で、漢字のひとかたまりを投げたうち、良きプロポーションなら、その人に選ばせてください。
ポイ。毛蟹的外見の意味性を贈与したところア・プリオリな漢字が弄ばれていたのだがそれが「ホ」。木を衝撃したことで結合がゆるんでしまいました。
でもまあホを選んで握りめる手は逆手持ち、絶望の逆らしく、だから私もならってホと呼んでいます。あなたも。

7月26日 休暇の前日こそすべて幸福へ・選ぶパンの宝玉性

虚ろなお尻、それは私に無限の奥行きを思い出させました。都市、そのとおりです。
植物の木は、かの通路にとどまって生えるのにちょうど反発し始めるのではありません。
毒まみれの街路は植樹は私たちに、仕事、賃金、食事をそれぞれを個別に給付するようです。
義務? あきらかなそれは (満腹なる困惑状態で)
私たちは私たちを私たちらしく見せるための消費財を手に入れるための元手を私たちに与えられた私たちが私である。パン。とくに美味しいものがそれです。
ホも買いに来た日は、夏季休暇の始まる数時間前の赤黒い空と、いじけた太陽の瞬間という有様が景色。麦なき世界のパン。
チイズとベエコンの摂食について:ホに禁じたとすれば、チヨコレイトの挿入された別様のものが今、鳶に狙われていた。
空が濃紫にごうごう燃え炎上している火事を眺めるための浜辺の休息を食べる鳥どもは注視します。
上空が見られているホの周りを旋回。ルウレットに飛び込む玉みたいに鳶一匹落っこちて。
波ががらん、がらんと地球をこすりあげたのですか。
明日から始まる夏休みは寒冷前線ごとく冷え冷えと待ち構える日付変更線だから、(昇天)
私たちは未来を意図しない。
現在への決定的な固着、と言ったのに絶望の逆したんだ。私は感動しました。心が肺になって燃えた。お水を。滴。
夕飯に食べるものが入る予定の位置を残されてある。思いがけない胃でした。
吹きつのる風で運ばれるためには重すぎる質量だったのが、私はホに勧めることになるでしょう。
エネルギイ変換の過程で消耗しますが、電子メエルは粉々に砕かれた詩情なのです。
都市は鳴門の渦潮のように拡大と縮小が危機的なピンチイン・アウト運動に従っているあいだに沈み込むのは地獄蟻の習性ですが、薄羽蜉蝣の涼しげな美しさによって強調される残酷な陰影ですがそれは故郷となります、ホにとって。
生物は、地上にパンを欲しがるのは人間を除いて他にいない。
闇は夜ですから。
ホは頬張ったパンを咀嚼しながらです。
潮風のような夏の招待状です。
笑み、明日から長いお休みがホを抱きしめられるのですから。

7月27 赤熱の朝の幻影・草地彷徨いが得る一つ目のメリット

押しつぶそうとする車両に押し潰されそうになっていたホは見抜いていた目は、目やにに汚れている。
犬の寿命ではないから、寝ぼけ眼に鈍く反射した正体は赤い衣をまとった黒い髪の長い涼し気な白肌の女の体重だと思えばの罵倒語。
蟻の戸渡りのごとく行列する語の出どころはすぼまりのある小さな口に歯が並んでいるがずれている八重歯でした。
それだから、夏の熱意なのだ。
赤い衣は薄い浴衣なのですから、JAのちょきんぎょのような泳ぎだしそう。
(祝祭。)むき出しの丸い尻が魚人のアリエル、朝焼け賑やかに歌えば海棲生物らの蠢きだすがかましくて嫌悪する私が。
あくび「ほわあ」をしたホ。そして消えた、のは赤い金魚の泳ぎはまるで。
スイッチの入れられた冷房は泳ぎながら、ホの汗の蒸発させられまして今も残らずにある。
音がロブスタアの歌声だとわからないまでも、目覚まし時計に先んじて目を覚ましているのでしたから。
食欲がないのは私ですが、アイスクリイムなら無限に食せますと曰く。
物理法則からいって、不可能な収納ですから、流体とはいえ。などは木の味がするくらい舐めた棒アイスの棒です。精神!
もしもそれが実現するなら、実現することを知るでしょう。
冷凍庫にしまってあることが頻繁ですが、それをそこから取り出すことです。
プラスチックの包みをきはがしたのがホです。
片手が持っているスマホであるといえど、ホは草むらに入り込むときから。朝露が蒸発した黄みがかった草はホのすねをくすぐられています。半ズボンがあって。
複数のポケットが埋められることがないままですから、このような思い出は重りです。天に樹木が貫かれてある。
日々の継続が私たちの正気でしたね。
今日からは社会的に、+して自然的に、ホの自由が駆け巡るこの大地、そのようなものです。
永遠の親類がまるでもてなしを招致したのですか、極小生命体は草葉のかげから見守りながら飛び出し方は鹿。
カモシカのような鹿ではありませんが、ホは連れて帰りましたけど、形のはっきりしないなよとした虫ですら、あるのだと知られています。とても可愛らしいから程遠いでしたがショッピング。僥倖。
こんな出会いモバイルアプリケーションのタップルでもどうかと思いますし、厳然たるメリットの。1

7月28日 毛の麁物あらものらのいる・別実存に接触

曇りの雲が遮られるのですが、日光、あまりにもなので意識的ではないのかもしれないのである。
湿り気のあります、拭きすぎる風が通った窓はカアテンが膨らみ方はふわりだったが、それは南中以前だった。
数枚の羽の窓に迷い込むのだが、仕方ないことかも知れません。
(解脱。)簡単ではない睡眠は持続できない。
敷布団は上に羽を載せてられてあったことにより、そのためにしたことが、水筒に麦茶を注ぐことになります。
動物園は、動物らがいます。
左右回りによって、思考された。ゴリラ・猫族・一本足鳥が最初にされ、犬族・爪長水棲・キツネが次にされ、やがて折衷されました。
犬族 爪長水棲 キツネ
門 別様の門
ゴリラ 猫族 一本足鳥
映像は美しく動きますが、現実よりも可愛らしくなることがほとんどです。(天使。)
眠気を起こすからこそ、ノックするのは心臓とセロトニンだと思われていましたが、手。そうして、また没入していく小学生ですが、最新の香川県の動向こそがホに思わせるのだ。
いくつかの具体的な概念は、飛び回らせるモンシロチョウかも知れませんが、けれども。今は高フレエムレエトの羽つきの虫に舌なめずりするほどの悦びの視覚を得るのか。とてもエキサイティングなことがあります。
数分前の3時間後のことですが、二度目の食事なのかもしれない声に引きずり出された部屋には誰もいません。食事は必ずしも不幸と結びつかないのだとわからされるような空間が、この場所に見当たるとしたら、まず割愛されない。はじめてのおつかいの涙、それらは再放送のされる日ですが。
無限のキッチンから出されているのが生肉だとして、資本は膨張を続けるのだとか。完全に没頭するものがあることが幸せを条件化させるものだった。垢のつかれたコントロオラアでさえ、完全に壊れることを求められていなかったのだし、早急に使い込まれ続けたかも知れず。
鳴らすのが背骨だったのだが、日が暮れ始めているのよ。
まさしく胃の中でしょうが、思いもよらず静寂であり、およそ以前と同じとは思われない。蝉は降る。
あたかも、吹いている、です。南中以前の風は思い出が練り込ませてあって、私たちは思い出しましたか。
悲鳴は、悲喜こもごもの動物に所有される特権でしたから、専有されることに反対された。
やがて眠りにつく柵の向こうの生物らを私たちは眠りにつかせることもせずに、私たちは回游しているのだった。
ある地点から、別の地点への移動を記念するための記念品を購入することになるんだ。
ホは蛍光色に自立する、踊る、喋る、一つのチンパンジーのぬいぐるみを抱きしめて夜中に眠ることになりながら、しかしすでに出会いというものが別にあった。(ダンス)
目。黝い玻璃玉の目は毛むくじゃらの人形のため。
もう一つのものは毛が少なく、ために人間の子どもであって、ホは心臓に記憶した。

7月28日 海のコレスポンダンスの怪・水没危機意識

見られた夢、アメエバがその状態で、光芒に光りました。
まとわりついいた木枯らし枯れ木枯れた褐色は滲んでいる秋晴れは青空ですなのに。高速船は観光の余地もない(観光客の仰角は大でしたが)。
セラミックの身体性の流線型のは、空気抵抗は、ということの逆を意識して、体作りが励まれて。
「(あまりにもですが)そのようなものを見ることを私は望んでいましたの?」
「時間軸を前提に話されますよ。過去は、すなわち時間軸の左から、時間軸の右へ、摩擦を生じさせることを生じさせないまま、すべらせることができます。は、ローショニング」
「(興奮は疑いですが)そのようなことが生じるというお話は、私にさまざまな可能性考えさせた。それについての思考が生まれます」
「幻を見た? これまで」
「幸せな幻を見たの。グノーシスの不幸せな幻を見たことがあるの」
「幸せな幻は幻です。不幸せな幻は現実です。あはは。それは一つの違いだ」
街路樹の隙間には、いくつかの見られた景色がありますが、複数の窓が。
ある、私たちにとって不都合な事情。それは区別のできない状況という形式かもしれず、目に見ることの可能方法としています。
機能数の異なる脳が、保存することができる光の太陽は色々の形式です。
   
  明るす
  ぎる死
  の太陽
            旗たなびく
           く
           く
         みっくっみ 
       ら    窓  ら          憧    ホ
      せ         せ 泡泡           躰
水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水汀汚辱まみ
                             れの大地

幼児の喜びが拡散されたのは、柔らかい関節の柔軟性が無いからだった。
浴槽で思考した、水没に伴われる窒息という人間のひとつの死因を。これ。
対向車のハイビイムのごとく光のような光だった。
いったい、まさに希望の影こそが! 人生の額縁なのだと、神さまは狂ってしまいました。言った。

7月29日 きれいな虫です、たのしいですね。・角をふるう虫です、いさましいですね。

暗闇の証言で、早朝に起床されたことが今までになかったことが示されるのだ。しかし、持続性の高温。
快適さ、に油性絵の具による技術が塗装的には低下した、まったくの茶色。生存圏内であったとしても、だ。
反骨心を意識すればボブスレエですら進化の過程だったのにも、すでに古生物学者が看破されたが、歴史だっということが知られるまでの時間がじつはあった。速度を加速する行動は簡単ではないのが、私たちの原因ではない。
謝罪だったか。
「等しく命は、そして等しいの?」
「等倍換算」
「簡単な数学は……」
「です。できることから」
ショットグラスに赤ワインを注がれず、魂の完全性としては昆虫らの器に注ぎ込むのは、さて、物憂げな眼差しよりも一本の木ですが。問題の目測のやりかたです。
踏み潰される前に、ではない。呪う。
、いた。

                                     虫 けら

分泌ジュウスを舐め続けたままい続けます。
切片ですから朝日、時刻を裂きますし、引く。そう、邂逅を幻滅することができます。さながら、夕立が雨脚から覗かれる蛍光色の寂しさかもしれない。
けっこうな安全靴。整備されたか知れません一本ある。獣道だった! 履いていたとして。
それを採る可能性の把捉中である網が、鈍重な抜け穴の過剰な泥濘に酷似されています。
さながら、時空間を超越する入道雲が、コントラストは群青世界をしています。
数センチの行動体に満たされることは夢見ることです。携帯式透明箱は一つだが。
飲む。そこから取り出されたのは、氷に満たされた麦茶がある。蓋をコップにすする。
汗が流したため、代わりに補水されたのだ。
「飲むことが重要です」
と、ホの父親は語る背中広くもなく狭くもなく。
ポロシャツ。汗じみが。

7月30日 火葬場の太陽が灰にするホを

ゼリイは甘ったるいので。
太陽が陰る前の時間帯のことがあります。蜥蜴の這影。
頂点でした、太陽。その色が激しいのでしたが、風が涼しかった。窓。
いつもではない。
田んぼに引かれた空が水の反射の中にあって、塗りたての水色を思い出させるのです。ねじれていますが知っていました、それが、アクリルガッシュなのだから。
「いいですよ。眠ること」
なるほど、運転席なので父は言うことにしたようでした。
「おやすみなさいとは言うことができません」
「不可能なのでしょうか。口内に残っていませんので?」
「可能でしょう、努力を伴うのですが」
「過度でなければ推奨。といった」
ホは弱気ではなかったため、眠りにつくのを早めることになることに辟易をさしだした。
開かれたまで、閉じられたあったが、光はまばゆい、迎光、目に入れることにするのか。
前方方向は、光だったのだが、銀白色であることだった。じきに。
父親車が停車されていたため、永遠ではかったことが伺われる。
思わせました、母親の遺灰。箸は長く、ホは右手に一本、左手に一本が持たされ、掴まされかけました。それが失敗した。
燃え残りが、灰を泳いでいたのは、箸を避けていて。
注がれた有機体、グラスなのでしょうか。
注がれたグラスが有機体で、注がれないグラスというものが存在しないのだとするそもそもの話として。意見の裏付けのように泳ぎ。
つまり魂と体の話題。
ハハハ。
違って、掴ませたくなかったと思考してのことだったのかもしれません。
遺灰を思わせたその砂浜が、父がふんづけ、ホがふんづけ、それを増やした大勢の人間たちがふんづけたのだが、赦されている。
野球キャップ下の目が細められ、遠くの水平線はいつまでも遠くて歪んだ曲線の描かれて。
寂しさをこみ上げて、ホは願うような声。
「沈まなければ、太陽ではない。浮かばなければ、太陽ではない。その常識が不要な心にも?」
「今日のために昨日が、明日のために今日が、一貫性を壊さぬように連綿と、長く長く、生きながらえさせて・・・・・・」
「逃れたい」
「逃れられない。いまに25歳になる。45歳になる」
「おそれている」
「父親がここにいる。母親は欠席だが」
父親の表情に雲がかかる。天の青空は、雲が出払って、父のおかげだった。
「ここにいる?」
当たり前です、と言うつもりが、父親は見失った。
ホがいま消えた。

7月31日 待機陽動

天球。
・・・・・愛されてない。
 完全に後悔         かさかさの人生。
干カラビロ!    生活のための死                 お金なら払うから。殺して殺して
無人だ。         一七〇〇〇〇〇〇〇の孤独だ。
火火火火火火                 心が腐り果てた。
  うるさい! 耳元では静かに!・・・・・・・・蛍が死んで土に。緑緑緑。     くさるのに充分な時間が。。
   嫌いだよ。。。暑さ・・・・も。寒さも・・・。優雅な飛行船、、、、それは叶わなかった未来・・・だ。
           退屈だよ。? それは違う眼。                まだ目覚めない眼・・くそ。  
          真っ白だ/座ってろ                           地上じゃない。       地下の湿気が        頭をオカシクさせていて。。。。胃液が逆流して。。。
胸郭を剥がして  !ああ、真っ赤な肉です顕微鏡で、光の不足に怯えつつ覗いた胸の中の景色。。。
                  木が複数。
あ、一枚の葉を滑る虫がみえました。
あ、ちっぽけな尺取り虫。羽を得る前に墜落シていく。
あ、コンクリに混ざり合う緑色の体液。
あ、死んだ。
あ、心が死んだ。
あ、みじめに死んだ。あ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・  ・・・・・もう、レンズは不要。
草木が大きく震えている。
空が波打っている。
風が踊っている。
大地が裂ける。
鳥が歌う。
星が。
すべてがあるべき場所であるべき生を炸裂させた。
心身の弔いもそこそこに。
          !!!!!。!!!!。極彩色の花が開く。。・・・・・・。。。・・・・・・・・・・・・・・・・      夢のような芳香が、
死体の開かれた胸のうちから溢れ出す流れ出す解き放たれる。

!喜びだ!
!すべて喜びだ!
!すべてが君の隣に、すべてが愛の果に!
、惨めな喜び、辱めを受けた生、涙さえ流れないのだ。
隠される、永遠の閉ざされた森のうちに。世界は開かれる、金属のように輝いて燃える森の煙が、たかくたかくたちのぼり、逃げ場のない狂気の神々の住まいにみちみちる。雷のような咳込みが耳に心地よい。頭を下にして落下してくる人影が複数。午後から急な降雨の予報。この地に染み渡り。

2章 再統合の試みが阻まれるのは子どもの野放図な魂のため

むしろ、わたしたちが愛を寄せるこの8月の始まりが、あまりにも祝われないことのほうが不自然だと言いました。
呪われのごとき熱暑があることの見落としが、後世に言われることがあるのだとするために、控えること、とりなすこと、その他のことに動機を与えているのだとされ、素直に目を背けてしまうことの一人勝ちとして。
受け入れが、あることのうちのすべての選択肢以上だと。
ゆえに一粒の種子の芽生えに産出さる感情のありがたみから、アスファルトの「ひび」を想定するようにしておきません。後の祭りが。ホが消失したのが、そのためです。ハンカチ落としの人の輪の切れ目、侵入が許されたことを喜ぶ暇がなかったのはなぜなのでしょうか。早かったからだと思いましたが、遅さが測られたというのはいたって奇抜といえる。
ものづくりが想定通りに終了時のやりがいの、いくつかの所有分が、植物の太らせの堆肥と等しい撒かれとなるかは限られませんし、一面の落下が、多面における落下では不適用になったこともありましたね。
さながら決裂することが、意外な疎外に包摂にさらされたかもしれなかったらしく。
純白コンクリが照り返しの太陽が白いので、ホが満喫する夏休みを願いながら書く人々が幅広の門をくぐる。そのとき、眩しいくらいの拒絶が起こったのは、一個の自我であったのか。
そこにホがすでにいないこと、おそらく悲劇的に思われ、喜びは完全な低劣を示して。しかし目指しているのだ。
不幸な自由をば、書き記されることから身を離し。

8月1日 空港

ホの座る固い椅子がプラスチック製品であった。
手すりが取り払わされてあったいくつもない事実のひとつのため、それが排除アートでなかったことが、おそらくしかし眠りの遠因とすらもいえないのだ。しかるに、夢の後追いの居眠りだったとしても、いずれ紛れもない気絶が空洞と表現されるとすれば、むしろ注がれた。悔恨の紫色が五月雨のように注がれたので、まるで一つの器を溜めることの推測でしょうか。
足音がほとんど全てだったと聞いているホの鼓膜は、残り約数パーセントくらいのものだからまあ許したのだと。赤い太陽の沈まされる地平線の凹凸が誰に見えたのか知れず、やはりビルの高い影の伸び上がる姿すら。見づらいとして、やはり降っていたのだが、その雨の中に含まれるSOx、つまりキリストのための長靴下、指を振るピンク色の悪魔、足りない努力。
燃えていた、赤く、その雨粒ひとつひとつが油かのごとくであり、緑雨の言うような地獄であればかの写真がすべてに乱反射し。飛行機が高く燃料が燃やされながら、大気は道を開いていてしかもその道は独特だが。
頭痛のような類似に、ホは立ち上がりの術も知らないころのヒトであったかのような座りの姿勢を保つことの意識が勝っていた。首を回さないことで、そうすることで、ホは窓外の方向に体が向けられることになっている。
まっすぐ直線に遠ざかってゆく小さい体にしかと角度がつくことを測るほどではないにしても、少しの算数的な所作はあったのがたぶん了解された。そういう脳波の検出手法がいくつか紹介されてあってよい事柄かもしれない。いちいちの元素が重力波を忘却したのだとするが、それは集団催眠なのか面の割れない魔術師のようないびつさであり、モームの喜び、ヒュームは怒声を発した。
ホ、今やかの憧れの投影物でありえなくなったことをやかましく理解し、悲しみの統一理論の着陸地点は決して指定をおろそかにしない。デパートにさえ行くことができたとされる場合でも、めったに言わされないことではあり、したがって察するとすればこれはもはやホについて語られること一つとして用意不足としてある。
思い出の混ざりあった瞬間に反発し合うのはことごとくスーパーカミオカンデ形式に基づき、不思議と安らかに見通しの立つ破滅へ。
血の吹き出す楕円形の心臓、破り捨てられたフィルム青写真、昨日見上げた曇り空の星座、天井に張り付いた眠り。
夏の思い出は繰り返さずに個に所有されることが事実だろうか。ありふれた思い出が、大量生産マグの並びに加わるのでは?
最期の8月の散歩道。

8月2日 湖

爽やかすぎる森林浴!
鮮やかに塗り分けられた森にある緑色を充満させて!
乾いた心があるが、それが潤う!
一匹の長いしっぽの栗鼠がよろけることがありながら、転ぼうとしないで走りながら生き続けていることの目触りをたしかめる。混沌の渦巻きに引きずり込まれそうになりかけた一艘の草舟が沈む前だった。秋桜が生い茂る足元からたつ香りに鼻と肺臓をふくらませ浮足立つ(水風船みたいに)。
遠く降りかけた雨雲の見えないふりをする観測船が、アイコンタクトが遅らされていずれまた会うとき。
思えば首長竜の幻も、木斧を貴金属に変える女錬金術師も、たそがれの国も、重層フィルタされているごとくに。ときに、現実知らない、って想像されるときもあって、こう答えることがあるらしい。充満の言葉がじつは現実を霧がける気象現象として表現される。
中心が複数地点にあるとして偏在を思わせ、かつ無数の星々が隠される青空に飛行機蒸気たなびいている。数年後に埋め立てられたのが今は冷たく皮膚を濡らし、潜熱が黄金色の発行体で目に見えた。皮膚の路上をさまよう水滴の群れ。意地の悪い精霊の顔が薄汚い老人質で、間抜け面の木々が表情を若年質に色あせながらそこにありつづけておられる。刺し傷をもたらす楠の先端の棘にやはり刺され。
呆然が明らかにセンセーショナルな照応に似合う態度としてホに浸透しつつあって、まさに信じがたいほどのにこやかさと対にある。提案が1枚の写真に写し取ってみたらいかがでしょうとなったが、流れの早すぎる移行状態に追いつくことがままならないのだ。心すら置き去りになるらしい速さがあった。
燃え上がる炎が奪う緑色の鮮やかな塗り分けがあるのかもしれないことがあるという時点を、燃え続けながら今の中を生活されていることになる。灰色の砂場でむせながら寝転がったりして、いたり、いない。

8月3日 コンビニ

完全な炎夏というものは明礬のらしい見端をあらわせたなら、御身の目に盲従することと、ぜんぜん無視しちまう間隙にうるっと葛藤を産することあろうかもしれない。だから、すべからく信の置けないことのできない光化学の進み行きはベンゼン環が回転し続ける車輪であるためで、粛々の書字があったのがほとんど蔓日々草の巻き髪やら、コンクリート製品はひび割れてあった。
あとの世の末端に残り捨てられ、土汚れの濃い淡いとしていた。
呵呵、婉然、喜色満面、誘惑するないちいち顔が水ふやけの形姿で保てずにあって野面にシールみたく貼り付きて残って。経済資本に媚びりたる西施の顔らのコピーは(けっして一人に還元されないからのためだが)、まるで仮面のようですね祭りの、と語りかけられる声は誰かの不明の夏休みの名残、否、只中であって風鈴の音色と同じと聞こえる。アンモニア臭のそろそろ耐えらんない店内だった気がするけど、あれは、あれこそは、祝祭のしまいに花火があがった夕暮れ思い出では今は草いきれ、もしくはゲオスミンとあらゆる食材の腐敗臭か漏らしたのだったら、帰り道は人間たちの長い行列に埋められて溶けた時計の融点は唯脳すら熱暴走にさそい、経過しながらもいまだ直立不動のまま膀胱の膨張を意識させるにはじゅうぶん。道中の座式便所を求めて殺到したあの刹那、19歳の店員は肉体の危険を感じてただちに今や枠組みのみ残されてあるガラス扉下にろそうとしたシャッターは。排外主義が認められて。
ことで、により、撒かれつつ敷かれつつの、破り捨てられた文字や顔、もしや脂肪と筋肉。ニヒリスティックな運命論に決定された計算づくの表情ら、有り余る独創性が焦土を作ったのか。窓枠が食い込まされた大気のくびれが、割れたことで忘れられていた鳥の墓碑銘か、血の記章。
不可視の足の跡が目やにのように薄ら視界に侵入し、ホの足より小さいものは少ないがあり、ホの足より大きいものは照れて植え込みに飛び込む。椅子があれば寝転がって夢を見ました。なくても夢見たがどんな夢を見たんだろう、ツンドラに生い茂る森、カチコチ荒原、植林された礼儀正しい杉林じゃなく手つかずのグーグルアースで歩き回れないような幻の頭の中で太陽光を浴びる炭の上の狂い咲きの花ありなん。イボイノシシ暮らしの姿の森の逆光の夢想。

8月4日 理髪店

もしかして、機能に歩み入ることがためらわれたのですか? 多くの場合それは間違いだと知られています。明日になれば好転することは一般的にありえません。脳は常に稼働を続けるマシンのようなものです。(それは考えたくないことですが)動くもの必ず壊れる、これは偉人の仰った言葉ですから、期間内のマシンの交換がサポートされるようになりました。今朝は無事でしたか? 昨日は? チェックしましょう。壊れマシンの自動復旧が期待されることは稀です。手動が推奨で。
あと、眼球の養生によって悲しみは乗り越えられました。皮膚延長として毛髪が認識されることは困難です。床に散乱する毛髪の絡み合いが発見できなかったことはひとつの特徴でした(性的な連想あるいは)。赤青白の赤ばかりが目に強調されるケースでは眼精疲労が主な犯人です。割られた鏡、歯の折られた櫛、錆びされた鋏、ぼろぼられたポリエステルのケープ・・・・・・。流し台と椅子たちの存在感!電磁駆動の背もたれ付きの椅子の革張りの裂け目の部屋から顔をのぞかせる虫のほほえみが、座り心地の良さを証左。洗髪の屈辱を性的興奮に持ち上げるための心配りです。
鏡の複数の破片に現存在が見せる笑顔を除く乱れ髪の顔が、夏休みの往還劇の不気味さを教えています。私たちは過去に戻りながら、今この瞬間死に続けているのだとわかります。恐れが、店の奥の小さな扉を開いてバックヤードに逃げ込こませたのですか?さいわい、冷えたコンビニ弁当が置いてます。むっとするヘアバームの匂いは瘴気のごとく充満します。
ゴム質の生姜焼きが氷のように冷えて歯茎を刺激し、米が徒党を組んだように団結し、箸でふれたブロッコリイがばらばらに崩れ、ピンク色の漬物は溶けて水たまりになりました。
嚥下した物が喉を圧迫する快感に元気づけられて? からホは、鏡の前を駆け足で過ぎました。雷雨が常時降り注ぎので。

8月5日 ゲームセンタア(1)

地球ア!表面からの潜航、その先、ネズミ.. . の死骸の山積がかもす芳香、生肉のエッセンス、目まぐるしく立ち小便が残りの水分をはじけさせて、鮮やか血痕よ。かような環境が影響する一つぽちの表情をホは想像する。土色、なだらかな感情なら好ましいほど限り揺さぶりつつ、九天の日没なら恐れようとしない志を得ようとする努力、永久凍土に寂しく燃焼する体脂肪の炎に暖をとるには暑すぎる真夏の正午過ぎの目覚めからわずかに数分の準備と移動。たどり着くまでに張り付かせた汗のしずくを冷気のやすりで削り落として、敏感になった肌に染みる液晶の蛍光。ドラム式洗濯機への尖兵が体験した渦巻く電子音のガタガタ。
無限との類縁が、経過時間の堆積はいわずもがな、チリクズ埃であってみれば、吹いて飛ばすほどの労をいとわない日々から隔たれた距離に立ったホにとっての印象を尋ねるまでもないのかもしれない。炎暑熱風からの隔絶を望んだ電子シェルターの保存状態は竹槍のごとく営利に地面から突き出しさながら無加工品種のごとくであったけれど先端の人為的悪意黒く燃えてあって貫かれんとする心象風景のナイーブさは、むしろホこそ隔絶されるべきだあったかもしれず。あ  八つ裂きなんだな。いずれ向き直される足首の角度を柔軟に折り曲げてはかられる可動域の限界の外へ、今この過去=現在ともいえる時点において骨折られずに試行できる。
無数の銀コインが山・山稜、忍び音に泣く藤。フと積み上げられた祭壇を密閉する強化プラスチックは割れ落ちてその神聖は一吹き、大恐慌時代の銀行の様相を呈し、それら人類の共有するイマジネーションのメッキが剥がれて、になっている、タンパク質繊維。赤く色めく秘密、赤黒くうぶな原初空間に踏み込む神話的虚妄体験を薄くはたいて。

8月6日 ゲームセンタア(2)

鮮やかな太陽は現実を超越して画面に収まりまして、次元超越と宇宙旅行の両者の途方なき目眩性の嘔吐感すら催させる圧倒的非生物学的距離の隔たりに、ちょっと驚くべき類似。なんとも。垂涎ものの卵黄太陽に目を奪われることのある人生のごく初期段階が訪れないものだったとしたならば、ありうる限りのお祈りの元であらためていま一度、およそバターを感じさせる日差しのもと車競走の再演が許されてしかるべきではありません? 小さな庭園での気ままな爆走に時間を忘れ て、この次元のしがらみを抜けて楽しまれるべき時間が忌まわしき上塗りを避けるドリフトを披露することに意義を持つのでは、と。
競走に力の発露の不徹底を見るのなら、いまにも発射されそうに焦らされる象徴的拳銃を握りしめた体組織の崩れはじめたる憐れな病人の群れに聖職者的な射出を見舞うことも検討の余地が残された体験でした。し、真に造形的なこれら拡張的人間身体に惚れておられることのチワワ、しかし得策の有効範囲を著しく逸脱しており、瞬きのうちにも地球は回転しているのだと思い起こしていただくうえでもやはり一つの反撃の痛み痛み、病花、急ぎ作業の必然が目の前に明らかになってまいり。
さもあらば矩形装置、プライベートの衝立にホを隠してそのうえで鮮やかに別次元への転写を試みることは比較的推奨される退避行為であり誰しも水面に映る自己に抱く嫌悪感の緩衝材が柔らかくこねまわして頬に押しつけられます。ナルキッソスではなくアドーニスであると思われ、三等分の一はホの夏休み、一はわたしたちの夏休み、残る一切れは屋根の上に放り投げ?
そして幻の電飾の電源たちはハムスターの落命のように不意に、鋏を振るわれた赤いトマトのごとく落とされるのでした。

8月7日 メトロ

ホが、ある幻影にまぎれている__半透明の人間たちが決壊した河川流のごとくに低地へと流れ込んでいる__その激流に、存在しないベクトルに導かれるようにホは穴へと墜落して__しかし実際に雨は降り続け止む気配をみせず空を濡らして、あるいは存在しているかもしれない雨雲のさらに上の空間に透明の星__可視域の外で輝いているかもしれないという思いつきを寿命を迎えた蛍光灯のごとくちらつかせながら__その存在自体も同様にちらつきを控えることは困難でいて、不安定に明滅を続けるのだが__真夏の灼熱の光がもたらすくっきりと縁取られた黒い染みがむしろ、より、鮮明な存在感を可視域の中に収めているのかもしれないのだが__薄暗く閉ざされた都市の青い看板は頼りなく光を放ってある姿によって気付かされるのは、遠近法がすべての根本問題であるということ、すなわち相対性__落下する太陽__打撃音とともにもたらされる落下物の背後に潜む白い穴が眼球の黒を濁らせる__グローブを忌むかのようにそれてゆく白球はホを嘲弄するように軽く地面を蹴ってはるかかなたへと進軍する__その間にもなにかは進行を続けていて中断されることはなく、しかしホ自身が中断されることはあるのだ__機械仕掛けの世界の歯車が乱れずにいられるあいだシステムは稼働し続けるが、はたして世界とは自己修復機能を備えたシステムなのだろうか__。
半透明の河川流は長方形の箱に注がれて、雨の降り止んだ地域への排水が試まれる__鉄道が速度を上げる一方で内部にしがみつく人々の状態は緊張性の静止か、あるいは睡眠への墜落へと遷移する__これもまた相対性だろうか、あるいは加速と活動の停止に奇妙な契約、つまり速度の保存則が成立していたのか__発汗でもしたらしく窓に水滴がこびりついて、最後の落葉を耐えんとする秋の枯れ木、風に震えるひとひらの葉__積まれた葉を掃く住職を横目に木枯らしの訪れへとさかのぼって歩き、もう一度過去へ__ホが密閉された空気の蒸し暑さと半透明の冷たい人間の混じり合いの中にあって過ごした時間は、ホに突発的な吐き気をもたらす__停車した駅はホが滑り込んだ駅と同じくしてまだ雨の降り止まぬエリアであって車内にはさらなる詰め込み、透明さを損ないそうなほど密度を高めようと寄り添うどころか重なり合う__ホは身を引き剥がして、激流を遡上し、この偶然のスコールの日を持続させようとする__あたかも夏休みを台無しにしかねない一日の続きを八つ裂きにしてしまわないのは、もはやこの日が思い出の永続性、あるいは使い捨ての単一情報ではなくなっていることの証左であるのか__。

8月8日 コンテナ

真っ黄色のペンキに塗られたコンテナが持ち上げられてゆく高さを目で調べるけれど・・・・・・。

感情がB玉のようにきらめきながら足元に転がって、拾い上げた指先に流れる太陽のあたたかみに対比的なコンテナの無表情さ。ホは覗き込んだガラスの透明さのなかの青色が伸縮しながら形を決定していく様子は、自身の一つの想像の具体的形象化が外部に現れたのだと信じる契機となり、さもそれが自身の一部であるかのように考え、いまにも一口に飲み込んでこの不完全な分離を廃してしまおうという素振りをみせている。
釣り竿を背負い込むホを引き留める直径3cmの指指はその一本すら見当たらず、飲み込まれたB玉の自然発光の青色がホの目、鼻、口、耳、からほとばしり出て太陽に拮抗したのだが、皮膚やら臓器が衝立の役割を引き受けたばかりに光は不完全であった。けれどホの灯台化はコンテナ内部の人々の暗闇の生活を根本的に変えてしまうような光の侵入をもたらさず、あるいは異なるエネルギーへの変換が行われるわけでもなかった。
コンテナ内部の人々の生活は暗闇に始まり暗闇で終わるのだったが、暗闇が均等に充満しているのではなくて片隅はより濃い暗さにあり、小さな虫食いのような強引な穴のそばで暗さは薄らいでいた。日中はその穴を起点にした生活が行われ、食料の計算の後にはつねに不足が予測される水への不安がこぼされ、皆が小便の味を思い出しては心の乱れに気づかないふりをしてやり過ごす。人々はしかし、外に出るよりはマシな境遇にとどまれているのだという確信があってこのような狭さをすら許容し愛することができたのだが、蓄積する産廃化した人間感情は糞尿よりも強烈な、しかも嗅いだだけで少気を失いかねない匂いを放ちだすのであってみれば、トータルの苦痛は内外にさほどの差はなかった。人々に含まれぬ人々の境遇を知るほどに、その人間感情は活性化され、人々を内部からずたずたに破いていしまうだろう。
ホは青く光りながら、コンテナに住まう一家あるいは一族についての感情的な想像を続けた。B玉は想像によって消費されてゆき、やがて新しいひと粒が飲み込まれるか、あるいは使い果たされてホは初めて水平線の方向へ視線を向けることを覚える。扱いきれない感情を流しさることを。

8月9日 バスターミナル

雛鳥のように、5つの停留所が輪を描くように並び待つ場所、それらのうちの一つのみの前に止まるように速度を落として。
1.循環
田畑の景色を流し去って行きかけるけれど悲しくも追いかけられ続ける道のりのさだめられた速度は上がりきらず、鈍速の尻を風にまくられ続ける。彼の周辺をまとわり続けるしつこき行為のゆえか、あるいは彼の周辺がまとわり続けるねばりの性質のゆえか、象徴的な車輪の摩耗が、まちかねた脱輪をまねくまで
2.学院 行き
9年間を過ごすに足る新鮮な出来事と風景に恵まれていることを明らかにするために発するヘッドライトの光は、より濃くうごめく影の姿もまた鮮明にする。登校の頃合いを外して席につく一つの制服姿が弄ぶスマホのディスプレイが曇り空からさす太陽光のように白い光を滲み出させている。開けた道を加速するその速度を感じ取った憂鬱な顎先がかすかに上向く。
3.桜泥ヨーカ籐前 行き
昨晩の車内にみなぎっていたものが朝日に追い立てられて空っぽになったのち、オプティミストが毎朝発刊する「新しい一日の予感」が配達される。雀たちの囀り。日中に活動を終えたい者たちの手持ち無沙汰の時間を埋めつつ、いくらか微弱の希望を脳内に生成させながらすでに終わっていく休日。
4.坂 行
私たちの知る坂は、私たちに固有の坂に過ぎない。無数の坂が飽きることなく上昇を、下降を、それぞれの仕方の傾きで表現している。あの坂。
5.プラザ 行き
プラザは近く安直な道の先。バス停はプラザの出入り口を保証しない。

3章 或るプラザに彷徨う亡霊<探偵小説>

「あんたが新しい助手ね? あいにく、今回は殺人事件じゃないわ。人探し。でもま、いずれにしても、いい勉強になると思う。だって、この女子小学生探偵のすぐ隣で、あんたは本物のプロの仕事を見学できるんだから。その上、お金までもらえるって、あんた前世でどんな徳を積んだわけ?」

8月10日 プラザ

「いい? 説明するから聞きなさい。あたしたちはこれからプラザに向かいます。プラザは全国に127店舗もあるけど、あたしたちはその中でも最大級の規模の10店舗を一店舗ずつを巡って行くわけ。自由時間は期待しないことね、毎日一店舗を巡るって考えたら、ほとんど列島横断になるから、ほとんどが移動時間よ。不安そうな顔ね。大丈夫、あんたには新幹線とか移動車の手配とかは期待してないから。むしろ下手に関わらないでほしいくらいなの、そのへんは秘書に任せるから。そうよね、セクレタリィ?」

燕尾服を着た白髪の老人が、紅茶の入ったティーカップにシュガーキューブをぽとりぽとりと落とし入れながら、顔を上げて涼し気な笑みを浮かべる。任せてくれ、というやる気が漲っている。小学生探偵が手をふると、老人も骨ばった手をふり返した。
溶けきれない砂糖が、カップの底に小さな山を作っている。

「ああ見えて、ネット予約も得意なのよ。あんたも得意なのかもしれないけど、あたしはあんたに新幹線のネット予約の精度を期待して雇ったわけじゃないの。あんた昔、探偵だったんだってね? 日本探偵アーカイブで調べさせてもらったけど、あんたのプロファイルには動物探偵ってある。『動物の扱いに長けた動物園の飼育係出身の異端の探偵』ここに書かれていること、信じていいのよね? ・・・・・・ああ、そうなのね。輝かしいとまでは言わないけど、まあ、小綺麗な経歴だと思うわ。月夜のエレガント推理賞も受賞してるのね、すごいわ、あたしは1歳のときに受賞したのよね、懐かしい。・・・・・・うん、あんたがどうして今みたいになっちゃったのか、それは詮索しないでおく。とにかくね、」

小学生探偵はデスクの上に座ったまま、正面を指さして言った。

「あんたには、10店舗に偏在する少年の確保を手伝ってもらう。少年の名前はホ。各店舗のホを見つけ出して回収、もとい保護するのが今回の仕事。あんたは、持ち前のスキルであたしを援護してちょうだい。動物を扱うのは得意なんでしょ? 変な名前、これで日本人って言うんだから、親の顔が見てみたいわ。・・・・・・何ぼさっとしてんのよ。今から出発よ!」

8月11日 プラザ

「だから言ったでしょ、虫取り網はプラザでも買えるわ。そんな小さなカゴにホが入ると思う? ムカつくわね、考えれば分かるじゃない。ロープを持ってきなさいよ」

小学生探偵は、真夏でも名探偵風の外套を脱ごうとしない。熱中症気味で顔が赤くなっていても、推理のクオリティさえ落ちなければ、誰も文句は言わない。そして、注意をする者もいない。

一店舗目のプラザは中央に吹き抜けがあり、季節外れのクリスマスツリーが立っている。脅威の循環システムで、ツリーの周囲でのみ雪が降り続けている。

「あのツリーの近くで、ホがいそうな場所を推理しましょう。大体見当はついてるけどね。・・・・・・え、あんたそれでも元探偵? 現場に着いて、一つも閃きが無いの? あたしはすでに75の閃きを、可能性が高そうな3にまで絞ってるわよ。なに、動物に証拠を集めさせてから推理するのが自分のスタイル? ふん、たいしたことない自分のやり方にこだわるのが、大人の探偵の悪いところよね。あたしはね、大事なのは自分の仕事の仕方じゃなくて、仕事の結果って考え方なの」

小学生の3つの推理は以下の通り

  • ホはゲーム売り場にいる。なぜならまだ小学校低学年で、ゲームに異常に熱中する年頃だから

  • ホはフードコートにいる。なぜならずっと一人で失踪している以上、お金がなくて空腹のはず、ならば、フードコートで食べ残しを狙っているはずだから

  • ホはトイレにいる。ゴミ箱の中身を漁っていて腐りかけのアクアパッツァを食べたせいで・・・・・・

「ちょっと、その網貸して」

小学生探偵が網を振るった先、クリスマスツリーの根本、柔らかそうな雪の上で、薄水色の透明なホ少年が仰向けで寝転んでいた。

「オッケー、一人目確保!」

捕まったホは、ほとんど反応がなく、何も喋らなかった。
ロープで腰を縛って引っ張ると、とくに抵抗もなく、小学生探偵の後ろを大人しくついてきた。

8月12日 プラザ



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