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過去の私より。

自分の、過去の日記を読んだ。

毎日毎日、律儀につけている訳ではないけど、多分当時は、書きたくて仕方がないことを、書いてた。詩的な表現がたくさんあって、大好きな日記。

7年前くらいの日記。


私が今書こうとしている小説は、私の体験がベースである。つまり、その当時の日記は、もはや一次資料とも言える。

だから私は、一次資料にあたる気持ちで、今日、日記に手を伸ばした。


読んで泣いてしまった。

(今、PMSで不安定というのもあるかもしれないけど)
泣いた。もうこれでいいじゃん。このまま出版しようよ、ってなった。(きっと誰も内容を理解できないけど)

ああ、辛かったんだな。
そんな風に、誰かのことを想ってたんだな。
叶わない思いと、漠然とした不安に、どうしようもなく、泣いてたんだな。

そこには、もうすっかり忘れてしまっていた出来事も記されていて。

もはや一つの小説だった。
同じ私ではない、別の誰かの物語。

小説みたいに綺麗じゃない。整理されてない。すごくごちゃごちゃしてる現実で、必死に生きてる、誰かの。


今の私よりも、私が好きな表現で書かれてた。
私、こんな風に書けてたんだな。やっぱり創作には悲しみが必要なんだろうか。


2016/8/1
夏は、私を愛さなかった。
私には、花火はまるでしゃぼん玉のように思えた。
涙を流したということは、私はきっと哀しかったのだろう。
陽の高い昼過ぎ、話し声と頁を捲る音の響くいつものカフェで。いつものように、勉強しながら。
静かに。
まるで何事もなかったかのように。
いつもの飾り立てた言葉ではなく、「ごめん」「ありがとう」が溢れたのは、本当に、そう想ったから。
急に、自分が情けなくなったから。
もっと。上手くやれたはずだった。早すぎた。短かった。諦めたのは、彼も同じ。
私はまた、ダメだった。8月18日を超えられなかった。
今度は絶対大丈夫なんて思ってたのに。ごめんね。ありがとう。楽しかったよ。楽しかった。ごめんね。
私はいつまで、8月を嫌いなんだろう。

9/6
誰か、将来。私の隣にいる人は。
辛い時に支えてくれますか。
私が、支えたいと思う人ですか。
何かを、追いかけてる人ですか。
大好きだと、胸を張って言える人ですか。
私の涙を、拭ってくれる人ですか。


過去からの問いかけに私は、全部「そうだよ」と答える。
色んな人からの想いとたくさんの自分の想いにひたすら揺れ続けたあなたは、もう同じ人と6回も、8月18日を越えたよ。8月に終わった恋の数よりも、同じ人と8月を過ごせたよ。今年も。もう8月も嫌いじゃないし、花火も嫌いじゃないよ。


数年間忘れていた8月の呪いを、8月18日を、今年は久しぶりに思い出した。それもまた、日記を手に取ることの、予兆だったのかな。

別に、今は幸せだよ、って過去の私に伝えたいとかはない。
あの時の私も、精一杯生きてた。それは、将来如何じゃなくて、ただ、その瞬間を生きてたから。

ただ、過去に応える私は、過去の思い出と、今の幸せを思う。
幸せなんだな、私は。


もう、新しく恋をすることはない、ということが、たまに残念に思える。それは、やっぱりあの頃の熱量が眩しいからだと思う。この日記は、今の私には輝いて見える。

ここ数年の私の日記には、こんな創作的な文章は見当たらないから。早く起きれた。お出かけした。編み物をした。そんなことばかり。まぁそれが幸せなのかもしれないけど。

戻りたい訳ではない。
けどやっぱり、熱量が欲しい。燃えるような。涙するような、熱量。創作の燃料。


2014/12/16
夢は覚めた。とても幸せな夢だった。
そこらじゅうに散らばっている欠片は、綺麗な思い出。
もうすぐエピローグさえ終わる。
そして私は、少しだけ名残惜しそうにしながら其の本を本棚に並べる。
そうしてやっと、顔をあげる。

12/24
今まさに、私は本を閉じようとしている。
もうこれ以上、書くべきことはないように思われたから。
それこそ、彼は、同じ世界に生きている一人ではなく、あの、本の登場人物のひとりのように思われる。
そして、彼に関しては私すら、確かに著者であり、登場人物のひとり。著者は筆を置こうとしている。彼らの物語はここで終わる。
存在する次元が、もう違う。
せいてくる二つの本は決して新しくはなくて。
ノートを読み返して見えた決意虚しく、本を拾い上げた。
私は、本は終わるものと知りながら、終わらない本を求め続けるのか。
何故、どちらかを選べないのか。
何故、火にくべることができないのか。


小説を書きたい。
小説にしたい。

そんな言葉もたくさん見つけた。
ずっとそう、思ってきたんだな。だからこんなにも、「一次資料」が残っている。

文字通り「一冊の本」にしてしまうことで、私は過去を思い出にできると思ってたな。


書かなきゃな。と思った。


2023/8/21
将来、私は。
今を100%生きていますか。
これが好きだ、って言えてますか。
ただ私には恥じない、私、で生きていますか。

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