ざわ

1993年生まれ。日記的な感覚で3分で読めるふんわり虚構を混ぜたエッセイ兼私小説を投稿…

ざわ

1993年生まれ。日記的な感覚で3分で読めるふんわり虚構を混ぜたエッセイ兼私小説を投稿中。

最近の記事

プロポーズをした夜、僕は元カノの夢を見た。

10年付き合った彼女にプロポーズをした夜、僕は中学時代の元カノの夢を見た。 夢の中で元カノは、かつて一緒に帰った通学路の上で、真っ直ぐ僕の目を見ながら笑っていた。 現代にも、呪いはあるんだと思う。 街ですれ違うショートカットで茶髪の女の子が一瞬元カノに見える呪い。 文房具屋に行くたびに彼女が愛用していた薄いピンクのクルトガが目に入る呪い。 地元に帰省するたびに駅前のカラオケ屋で一緒に歌ったYUIの曲をなんとなく聴きたくなる呪い。 プロポーズした夜に、夢に出てくる呪い。 僕は

    • 元カノにLINEをした。

      歳を追うごとに自覚してきた。 俺は自己中心的で、エゴイストで、自分に対して様々な言い訳を駆使して、自分のやりたいようにする人間で、そんな本質を隠して他人にはいい顔をしている。 30歳になることは怖くはない。 26歳から27歳になる時の方がよっぽど怖くて、焦燥感があった。もう若者ではなくなるし、会社でも若手ではなくなる年齢が27歳だと考えていた。 30歳になっても29歳と何も変わらず、無為な日々がただただ続いていくだけだと思っていた。 元カノにLINEをした。久しぶり、元気

      • 歳をとると、周りに死んだ奴が増えてくる。

        自然の摂理であり、全ての人がどこかのタイミングで、友達が死ぬ数が友達が増える数を追い越す瞬間がある。 これを70を過ぎた人が書いているならいいのだが、残念ながら自分はまだ20代だ。 初めて「友人の死」に直面したのは25の時だ。これは初体験としては遅めなのかもしれない。 高校を卒業して以来会っていなかった同級生の結婚式に呼ばれ、参列者であった同じく卒業以来の同級生たちと喫煙所で思い出話をしている時、何の気なしに現状を聞いた友人が死んでいた。 特段仲が良い友人ではなかったが

        • たくあんみたいな月だな、と思った。

          耳にはめたAirPodsからは銀杏BOYZの「夢で逢えたら」が流れている。28年の人生で一番聴いた曲かもしれない。 中学生の頃、寝れない熱帯夜の中でたまたま点けたラジオから流れていた「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」。そのエンディングテーマだったその曲を、13年経った今も聴き続けている。 そういえばその夜もカーテンを開けて月を見たな。その時は月だな、としか思わなかった。13年の時を経て「たくあんみたい」と思うようになったのは、果たして成長と呼べるのだろうか。 0時を

        プロポーズをした夜、僕は元カノの夢を見た。