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QuestReading[9] セルフ・コンパッション

Harvard Business Reviewの特集をReview。
以前QuestReadingで「マインドフルネス」について取り上げ、「ありのままに実況中継する」という客観視の重要性を吸収しました。様々なことのスタートは<認識する>ことで、「マインドフルネス」は現代的な認識方法の1つでした。

今回の特集『セルフ・コンパッション』は、その「マインドフルネス」とも関係がある自分自身のマネジメント方法で、こういう風にモノゴトはつながっていくのかと実感しました。
2019年5月号HBRの特集から『セルフ・コンパッション』をQuestReading。

書名:DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー|特集|セルフ・コンパッション SELF-COMPASSION
著者:セリーナ・チェン、有光興記、クリストファー・ジャーマー、リッチ・フェルナンデス、モニク・バルコア、宮本恒靖、中島隆博
出版社:株式会社ダイヤモンド社
出版年:2019年(5月号)

『セルフ・コンパッション』とは、<ありのままの自分を認め、自分に愛着をもつこと>で、直訳すると、<自分への思いやり>と言えます。

なぜ、自分自身への関与が世の中の関心を集めるのか、そこには”ヒトの資本主義”というキーワードが見えます。
ここでの資本主義とは、「価値を探りだし、差異を作りだし、そして、その価値や差異を消費していく」と考えます。
この資本主義が、モノからコトへ、そしてヒトへの移っているという主張です。

私の働く会社も、ヒトが資産だと言い放ちます。作られているモノや提供しているコトではなく、そこにいるヒトたちが大切なのだと、これは、昔に比べ、我々個人が価値や差異に相当な責任を負っているということだと言えます。

さらに、いわゆる炎上と言われるように、様々な事象について、個人の責任を追及することが容易にもなり、昔に比べて、自責を感じる深さも深くなっているのではないでしょうか。

『セルフ・コンパッション』は、失敗や挫折をした時に、自分に対して寛容になる方法を示します。それは、家族や友人が失敗したときに寛容になるのと同じように、自分にも接しましょうというものです。

うまくいかなかった時、
・自己批判するのではなく、自分に優しくなる
・私だからダメだったと孤独に落ち込むのではなく、共通した人間性(=誰だってできなかったはず)ととらえる
・過剰に同一にした一般論ではなく、マインドフルネスで客観的に認識する
その結果、レジリエンス(再起力)が生まれてくると書かれています。

私は、『セルフ・コンパッション』を他責と自責の中間概念と考えました。
ネガティブな場面で、なんで周囲が協力してくれないんだ!でもなく、あの時ああしていたらもっと良かったのに・・でもなく、自分をなだめ、でも、失敗は失敗と認識し、そこから学習することで、成功に向けて動機付けも行っていく過程です。

認識し、受容し、探求するというは、一般的な課題解決のための学習サイクルです。これを他人や組織に対してではなく、自分に向けてできるのかが問われています。ヒトが資産の現代には、その重要性が高いことも納得です。

そして、再起するためには、周囲の強力なサポートも重要です。
家族や友人など安心感がなければ、レジリエンスは生まれてきません。

各々がそれぞれに寛容で再起しそれを周囲が支えていく、成長と挫折を上手に繰り返しながら、価値や差異を生み出していく、そういう社会は面白い社会だなと感じた特集でした。

免責:
本を精読しているわけではありませんので、すべての内容が正確とは限りません。詳細は、実際の本でご確認ください。

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