見出し画像

ひきこもる理由とひきこもり続ける理由

前回は、ひきこもりは問題行動ではなく、緊急事態にとる対処行動だと書きました。ストレスから距離をとり続けると、時間の経過とともに元気になります(元気にならない場合は、物理的、あるいは心理的に十分な距離が取れていないと思われます)。しかし、「いやいや、十分元気そうに見えるけど、ひきこもり続けている」「好きなことばかりしているけど、社会には一向に出ていこうとしない」と思われる方もおられるでしょう。こういったケースは珍しくなく、むしろ多くみられます。

どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

ひきこもる理由とひきこもり 続ける理由は異なる

実は、ひきこもる理由とひきこもり続ける理由は異なると言われています。ひきこもる理由は、何らかの緊急事態への対処です。
しかし、その状態が続くことで別の不安が出てきます。たとえば「人間関係が変わってしまい、自分の居場所がなくなっていないだろうか?」「周囲の人は自分のことをどう思っているのだろう?_」「長く休んでしまったけど、仕事についていけるだろうか?」「勉強が分からなくなっているかもしれない」など。社会との距離ができたことで新たな不安が生じるのです。不安な時、その対象から距離を取るのは動物として自然です。しかし、この類の不安は、距離をとることでイメージの中で増大し、ますます動けなくなってしまうのです。

その結果、当初ストレスとなっていた状況が解消されたとしても、社会に出ていくことが難しくなります。これがひきこもり続けてしまう理由です。

ではどうしたらいいのでしょうか?

スモールステップで触れていく

やるべきことはシンプルです。まずはストレスから距離を取るのは正しい対処です。ですが、元気になってきたところで、不安はあるもののその対象に接することが大切です。こう書くと、「ただ不安に立ち向かえ」という根性論と思われるかもしれませんが、そうではありません。ポイントは、不安の対象にスモールステップで触れていくことです。「今はやっていないけれど、やれなくはない」といったレベルのものに触れてみてください。例えば、近くのコンビニにだけ行ける人は、もう少し先にある本屋には行っていないだけで大丈夫なのかもしれません。そこにトライして、「大丈夫だった」「思ったよりも普通だな」「取り越し苦労だった」といった体験をすることが重要です。そして、それを1つずつ積み重ねていくのです。

やるべきことはシンプルですが、頭では分かっても不安だから避けたい気持ちになるのも自然です。どんな課題設定が良いのだろう?といった疑問も生じます。そんな時は、カウンセラーと一緒に問題に取り組むことも有効です。新型コロナウイルスの蔓延で、オンラインカウンセリングも普及しつつあり、ひきこもっている方もカウンセリングが受けやすくなりました。興味がある方は、一度、試してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?