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マラソンとnote

今日3月17日(日)は、とくしまマラソンの日だった。
親友が出場するので、応援に行ってきた。

今年の参加者は、地元新聞によると1万5000人弱だそうだ。
徳島県を東西に流れる吉野川沿いの土手を走るコース。
ふだんは車がビュンビュン走る土手だが、とくしまマラソンの日は、通行規制され、とても静か。
静かな土手の景色を見つつ、春風にあたりながら走るのは、なかなか良さそうだ。

ここ数年は、仕事として給水所の運営にあたることが多く、活動の一環で大勢のランナーに声をかけるが、友人だけをじっくり応援する余裕はなかった。今年は部署が変わったおかげで運営からお役御免になり、ゆっくりと友人の走りを見ることができた。

今日はあいにくの天候で、晴れたと思えば、1時間後にみぞれが降るような不安定な天気。
昼食を早めにとって、ランナーがいる吉野川沿いの土手に向かう。
冷たい雨と川風のせいで、体感温度は相当低い。応援する私たちは、真冬の格好だ。
土手には、隙間なく、色とりどりのランニングウェアを着たランナーが、ゴールに向かって走っている。
可愛いランニングスカートを着た女性、「ザ・ランナー!」という完璧な出で立ちの男性のほか、志村けんさんの変なおじさんそっくりの格好の人、ビジネススーツに革靴で走る人、頭にツノを生やした人、「愛媛県の集中豪雨の支援ありがとう」と胸に貼って走る女性のグループ、股間に白鳥をつけて走る人。外国の方。
毎回、見ていて飽きない。いろんな人が走っている。
その表情や行動も実に様々。
寒さと雨にやられて相当苦しそうにしている人、足が痛いのか途中で何度もストレッチする人、友人を見つけてはしゃぐ人、寡黙に前を向いて走る人、ハイタッチしてくる人、声援に「ありがとう! 頑張るよ!」と笑顔で答える人。

大勢のランナーの中から、目をよーくこらして友人を探す。
最近は、友人がどこを走っているのか教えてくれるアプリがあるので、そろそろ来るなとわかるけど、みなさんの個性豊かな走りに気を取られて、友人を見失いそう。

招待選手のようにめちゃくちゃ速い人ならもうゴールしている時間。でも、ゴールまで道半ばという人もこんなにたくさん。

noteみたいだなあ。
noteに書く人はたくさんいて、マラソンを2時間ちょっとでゴールする人みたいに、さらっとすごく素晴らしい文章を書く人がいる。
一方で、ゆっくりと景色を見ながら走ったり、面白いコスプレで走ったり、苦しそう走る人がいるように、書きたいときに書いたり、面白い経験をそのまま書いて楽しませてくれる人や、書くことが苦しいと思いながら書いている人もいて、玉石混交な感じが、ちょっと似てる。
私のnoteは今、どんなふうに走っているだろう。

親友は、もうかれこれ10年くらいマラソンをやっている。
彼女も最初は「タイムが速くなるには」「うまく練習する方法が」「食べ物が何がいい」とか相当ストイックに考えていたように思う。速い人と比べて、自分はまだまだなんて話もよくしていたし。
フルマラソンやハーフマラソンに出るたびに「今回のタイムどうで、あの人はめちゃくちゃ速かった。あんなふうに走りたい」と一生絵懸命、語ってくれた。ときには、練習のやりすぎで足を痛めてドクターストップがかかったことも。
それが何年もかけて、何度もフルマラソンを経験するうちに、次第にタイムのことも練習のやり方とかそんな話をしなくなってきた。
それは、彼女には完走する自信がついて、走ること自体にに楽しさを感じるようになったからだろうと思う。

私は、以前の親友のよう。
うまい文章を見つけると「あんなふうに書きたい」と嫉妬や憧れを抱くし、スキやコメントの数に一喜一憂したり。毎日無理して書いてたら、友人に「そんなに無理しないで!」と心配されたり。

友人がマラソンに自信と楽しさを持つようになったみたいに、私も書き続けていれば、褒められたとかスキが多いとかを気にしなくなって、何でも書ききる自信がついて、書くこと自体をただただ楽しめるようになるかな。
うまく書ける日もあれば、そうでない日もあって、書きたいときもあればそうでないときもある。すごく共感される時もあれば、自分のために黙々と書くこともある。でも、それもこれも全部、とにかく「書く」という行為にには変わらなくて、どれも尊くて、それでいいんだなっていうことを、ゴールに向かって一心に走るマラソンランナーを見てて思った。

いよいよ、友人がこちらへ走ってくる。
ピンクと白のランニングスカートがとても可愛い。
雨と風に打たれて少しお疲れ気味の様子。
彼女の名前を呼ぶ。彼女が、私に気づいた。
「頑張って! あとちょっとだよ!」
彼女の大好きなアーティストのライブグッズのタオルを振る。
「あ、源くんのタオル!」
ふっと笑顔になって、こちらに手を振ってくれた。ほんの一瞬、多分数秒。
そして、彼女はゴールに向かって走って行った。
少しでも元気の回復に役立っただろうか。いや、きっと役立ったと思う。
「あ、これもnoteのスキやコメントみたいだ」
なんて思いながら、コースを後にした。

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